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無人島へ持っていく10枚

2020-04-21

【注意!】
この記事はいわゆる”名盤紹介”的な記事ではありません。すごく個人的に選んだものです。しかも、この記事は長い(引用含めて15,000文字弱) です。読む人にとって”価値の無いコンテンツ”が多数含まれております(笑)
ですので、時間が惜しい方は「読まない」または「飛ばし読み」を推奨します。

 

前書き

突然ですが、あなたは音楽を曲単位で聴く人でしょうか? それともアルバム単位で聴く人でしょうか?

昔は、音楽が好きな人は「アルバム単位で聴くのが当たり前」という感じでしたが、サブスクが盛り上がっている現在では、プレイリストで聴く人も多いと思います。

私も基本は「アルバム派」ですが、サブスクを利用する時は「プレイリスト」で聴く事も多いです。
でもやっぱり、5年後も10年後も「アルバム単位で聴く」姿勢を大事すると思います。アルバム単位で聴く方が、「アーティストや作品に向き合っている」感じがするからです。

 

もう一つ質問させてください。

あなたは「無人島に持っていくアルバムを10枚」選ぶ事ができますでしょうか?(スマホで音楽を持ち歩く時代、この表現も絶滅危惧種ですが…)

「たった10枚なんて、その時の気分によって変わるから選べないよ」という人がほとんどだと思います。私もそうです。

ただ、私は最近「10枚選べる!」ようになりました。

というのも、このサイトをやっているからです。
このサイトで取り上げている曲が多く入っているアルバムこそ、私にとっての「無人島に持っていくアルバム」になると気付いたんです。

心の中のもう一人の私が、「まだ和訳してないけど好きなアルバムがたくさんあるよ?」と訴えかけますが、700曲ほど和訳してきて(2020年4月現在)、その中に1曲も含まれていないアルバムが、果たして無人島に持っていくべきアルバムか?と尋ねれば、答えはNoです。

 

 

本当は、邦楽(日本) のアルバムやインストのものからも選びたいんですが、今回はそこのところは目をつむり、「無人島に持っていく10枚(洋楽編)」にしています。

 

 

 

本編

ここからが「無人島へ持っていく10枚」の本編です。

選出するにあたり、次の2点を基準にしました。

1.このサイト(LyricList) の和訳でたくさん曲を取り上げている

2.手元にCDがある(手元にCDが無ければ無人島に”持っていけない”ので)

 

 

そんなわけで、まずは候補をリスト化します。

→リスト化終了後

 

 

そのCDの現物を探します。

CDが何枚あるかわかりませんが、手前の一番小さなケースで20枚ちょっと入っています。
(普段はクローゼットにしまっています)

 

私がCDをよく買っていたのは20代の頃(2000年代)です。音楽を一番熱心に聴いていたのもその頃です。
それ以降はCDをほとんど買わなくなったので(新しいものをチェックしなくなった+ダウンロード+サブスク)、2010年以降に発売された作品はほとんど持っていません。

また、その頃からCDの減量も始めています(ヤフオクなどで…)。

 

 

 

 

 

 

選出外 その1

 

こちらの作品は、無人島に持っていきたいけど「このサイトでまだ和訳していない」ので、選出外としたアルバムです。

丸1日聴き続けても飽きない(といったらちょっと大げさですが、5回くらいなら余裕で聴ける) 作品だと思います。

 

気になるものがありましたら、以下のジャケットを押すアマゾンにとびますので、ご確認ください。

 
 
 

 

偶然10枚だったんですが、もうこれを「無人島10枚」にしたい気分です。何気にバランスもいいですし。

 

 

…というわけにもいかないので、続けます。

 

 

 

 

 

選出外 その2

今度は「CDが無かった(レコードも)」ので選出外となった作品です。

すでに売ってしまったか、レンタルで済ませたんだと思います。本当なら「無人島に持っていく」はずのアルバムです。

 

 

 

 

 

 

この時点で手元には約30枚のアルバムがあります。

その中から10枚選びました。

30枚の中から10枚を選ぶ作業は、正直難しくありませんでした。

6枚くらいは一気に決まって、残りは「どっちを選ぶか?」みたいな感じで迷ったんですけど、かなり確信をもって選べました。

 

 

 

 

 

 

選出外 その3

 

10枚に残らなかったアルバムです。

10枚には入らないけど、「50枚なら間違いなく入る」というアルバムです。

 

 
 
 
 
 

 

 

 

 

さて、ようやく無人島10枚が決まりました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

これが私の「無人島に持っていく10枚」です

 

かなり”90年代偏重“かつ”ベタ“なチョイスとなりました。

ただ、ここに並べた顔ぶれを見ると、自分の10代~30代に至るまでの「卒業アルバム」を見ているような、そんな気持ちになります。

それでは1枚ずつ、解説させていただきます。
といっても、アルバムの内容についてはアマゾンのレビューやネット上ですでに書き尽くされていると思うので、私の解説というのは私の「思い出話」になってしまいますが。

 

 

 

1枚目と2枚目

 

1.「ザ・ベンズ」(The Bends) / レディオヘッド
2.「OKコンピューター」(OK Computer) / レディオヘッド

 

 

私が洋楽を聴き始めたのは結構遅くて、高校2年の時です。友人の影響でパンク(※)ばかり聴いていました。

ところがある日、とある雑誌の「ロック特集」のような記事でレディオヘッドの「ザ・ベンズ」が取り上げられており、興味を持ってレンタルしました。(同時期に「ニルヴァーナ」「オアシス」「レッチリ」もレンタルで聴きました。結局、この頃に聴いたものをいまだに引きずっているのですね…)

それがレディオヘッドを聴き始めたきっかけです。ただ、最初はピンときませんでした(パンクしか聴いていなかったので)。

(※)その頃聴いていたパンクのCD・・・Sex Pistols、Ramones、Dead Kennedys、Youth Of Today、Green Day、Nofx あたりでした。

 

「ベンズ」の良さがわかるまでに、少し時間がかかりました。最初は「内気そうな声だな」とか「内気なわりにたまに音が激しくなるな」とか、そういう中学生レベルの感想でした。でも、寝る前に聴くにはパンクよりも適していたので(そりゃそうです…)、何度も繰り返し聴いて、だんだん曲の良さがわかってきて、最後には全曲好きになっていました。歌詞の世界観も好きでした。

 

この機械は、伝えてはくれない この想いも、のしかかる重圧も。 世界の子になれ、丸く輪になれ 僕らが滅びる前に from Street Spirits

これが僕らの新曲 この前のとそっくり まったく時間の無駄ってわけ 僕の鉄の肺 from My Iron Lung

奴らがC.I.Aに戦車と海兵隊を集めて、僕を吹き飛ばそうとしてる。僕を空高く、木っ端微塵にする。愛しい人が潜水病だ 本当の友達なんていないんだ。
点滴みたいに飲んで、バーで寝転がって 彼女としゃべりながら、何かが起こるのを待っている。今が60年代だったらいいのにな、そしたら幸せになれるだろ あぁ、本当に、本当に何か起こればいいのに。
僕は生きたいんだ、息をしたい 人類の一員でいたいんだ 僕は生きたい、息をしたい 人類の一員でいたいんだ、一員だろ? from The Bends

※リンクは新しいタブで開きます

 

「ベンズ」にハマった後、当然の如く「OKコンピューター」もレンタルして聴いたんですけど、こちらも最初はサッパリ良さがわかりませんでした。(その頃「Kid A」もリリースされたんですけど、こっちはもっと難しそうだったので、スルーしました(笑))

「変なコンピューターっぽい音が多くて、ベンズっぽい曲が1曲も無い」って泣きそうになりながら繰り返し「OKコンピューター」を聴いていくうちに、良さがわかってきました。最初に好きにならなかった音楽を「何度も聴くうちに好きになる」という事は、レディオヘッドで覚えました。

 

ゴミ処理場みたいに満杯の心 君をゆっくり殺していく仕事 いつまでも癒えないアザ 君はとても疲れて、不幸そうだね。政府を打ち倒そうか 奴らは僕らの為に議論しない from No Surprises

お願いだから静かにしてもらえないかな 僕は一息つきたいんだ 頭の中で生まれてもいないヒヨコの鳴き声がする from Paranoid Android

上空ではエイリアンが宙に浮かび、故郷の仲間に見せる為のホームビデオを撮影中。映るのは”奇妙な生き物” 心をがんじがらめにし、自分に穴をあけ 秘密を抱えて生きている。彼らはみんな イライラしてる from Subterranean Homesick Alien

 

それから、年を経るごとに「アルバムの世界観」にどんどんハマッていきました。当時の私は、それなりに”無難に”学生時代を過ごしていましたが、心のどこかに”これは本当の自分じゃない”という気持ちがありました。

周りと無難にやっているごく普通の自分と、それを否定したい心の中の自分。その”ズレ”が、なんだか許せなくて、心にトゲを抱えているような気分でした。20歳手前の頃です。

そんなズレというか心の隙間を埋めてくれていたのが、レディオヘッド太宰治ヘルマン・ヘッセでした(私は音楽を聴くより前から19~20世紀の文学作品を熱心に読んでいました。本は図書館でタダで借りれたからです)。

 

 

 

話はそれますが、ネットで「ヘルマン・ヘッセの名言」を検索したら今更ながら刺さるので、寄せ集めですがいくつか貼らせていただきます。

自分の道を進む人は、誰でも英雄です。

君がどんなに遠い夢を見ても、君自身が可能性を信じる限り、それは手の届くところにある。

神が我々に絶望を送るのは、我々を殺すためではなく、我々の中に新しい生命を呼び覚ますためである。

人生が生きるに値するということこそ、すべての芸術の究極の内容であり、慰めである。

愛は憎しみより高く、理解は怒りより高く、平和は戦争より気高い。

人生の義務はただひとつしかない。それは幸福になることだ。


わがままこそ最高の美徳


文庫 人は成熟するにつれて若くなる (草思社文庫)

 

 

話を戻しまして、レディオヘッドにまつわる他愛もない思い出をもう少し。

私が大学時代に乗っていた車はカセットテープしか聴けなかったので、片面に「ベンズ」、もう片面に「OKコンピューター」を録音したテープを延々と聴いていました。車の中だけでも300回、もしかしたら500回以上聴いたかもしれません。

あと、確かFMラジオで亀田誠治さん(椎名林檎さんとの仕事が特に有名) が、影響を受けた作品というテーマで、首都高を延々と走りながら「OKコンピューター」とビョークの「ホモジェニック」を聴いていた、みたいな話をされていて、それ以来、夜の首都高といえば私は「OKコンピューター」を思い浮かべるようになってしまいました。
数年後に夢が叶って(?)、夜の首都高を「OKコンピューター」を聴きながら走る事ができました(その時はカセットテープではありません)。

それから、私は飛行機で旅行する時(滅多にないですが)、帰りの機内では必ず「OKコンピューター」のラスト曲『The Tourist』を聴く事にしています。この曲を聴くと、旅行が終わって家に帰るんだ、という気持ちになります。エンドロールみたいなものですかね。葬式の時にも流してもらおうかな…。

 

 

 

 

3枚目

 

3.「イン・レインボウズ」(In Rainbows) / レディオヘッド

 

 

10枚しか選べないのにレディオヘッドから3枚っていうのは、かなり偏っていますが、正直に選んでいるので仕方ありません。

私のレディオヘッド熱は、私の”心の成長”とともに、やや落ち着きました。

ところが、ふとした事からレディオヘッドと再会を果たします。

それは、私が社会人になってからです。社会人になって半年が過ぎた頃、夜中にFMラジオを流しながら営業車で帰宅していた時の事です。
とある番組でレディオヘッドの新譜が紹介されて『Bodysnatchers』が流れてきました。
私は車を路肩に止め、ボリュームを上げてその曲を聴きました。

それで「何かが変わった」というわけではありません。

ただ、レディオヘッドの新譜にすぐに反応できるくらいには、「自分の感性が生きていた」という事に気付くことができました。

「良い社会人になる=他人に望まれる自分になる=望まれない自分らしさは押し殺す」ものだと当時の私は思っていました。それが会社の新人教育の賜物なのか、私の勝手な思い込みだったのかはわかりませんが。

それから、その後に観たジャパンツアーのライヴは、興奮し過ぎてよく覚えていません(笑)

レディオヘッドにはどうか、イン・レインボウズに並ぶくらいの作品を、あと1枚は出して欲しいと願っています(ベンズやOKコンピューターみたいなものは生まれないでしょうから)。

 

昔はよかったのに 一体何があったの? どうして何も言わないの? 糸がほどけてしまったの? ひとつずつ ひとつずつ それは僕ら全員にやってくる それは君の枕みたいに柔らかい from 15 Step

お前は音を立てないように 脊椎を外し 鋭い刃物で 青白い偽物を 移植したんだ from Bodysnatchers

言葉なんて鳴らない楽器さ 言葉なんて切り落とされたショットガンさ さあ、吐き出してしまえ from Jigsaw Falling Into Place

だって僕らは 何もない海辺に打ち寄せるさざ波のように 離れ離れになるんだから from Reckoner

 

 

 

 

4枚目

 

4.「ネヴァーマインド」(Nevermind) / ニルヴァーナ

 

 

ニルヴァーナは「イン・ユーテロ」の方を先にレンタルで聴きました。レディオヘッドの「ザ・ベンズ」とほぼ同じタイミングで聴いたんですけど、サウンドが激しくてパンクっぽい要素もあったので「ベンズ」と違いすぐに好きになりました。

その後かなり期待して「ネヴァーマインド」を買って聴いたんですけど、正直”衝撃”みたいなものはありませんでした。普通に良いアルバムと言うか、なんなら「イン・ユーテロ」の方が刺激的だったので、「名盤と呼ばれるわりに普通だな」と感じたほどです。

レディオヘッドと違って「世界観にハマる」事もありませんでしたし、カート・コバーンをヒーロー扱いする気も起きませんでした。

 

私が「ネヴァーマインド」の本当の良さに気付いたのは「アメリカのオルタナティブロック」を一通り聴いた後です。

オルタナティブロック“と一口にいっても、ここで私が指しているのはヴェルヴェット・アンダーグラウンドからストゥージズ、NYパンク、USハードコア、そしてソニック・ユース、ピクシーズ、フガジ、それからダニエル・ジョンストン。
こういう音楽を聴いてから、再びこの「ネヴァーマインド」を聴くと、先ほど挙げた音楽がここで”鳴っている”のに気付きます。

なので、カートという優れたシンガーソングライターが「こういう音楽(オルタナ) が本当に好きだったんだなぁ」というのがすごく伝わってくる、そんな勝手な”共感”を抱いてしまう、私にとって「ネヴァーマインド」はそんなアルバムです。

そして、そんなアルバムが「売れた」という事が、すごく痛快です。だって、ヴェルヴェット・アンダーグラウンドとかストゥージズとかソニック・ユースとかフガジが何千万枚も売れたら「世の中が変わった!」とか「勝者ぶってた奴らざまあ!」っていう気持ちになると思うんですけど、そんなに売れる事は絶対無い。でも、ニルヴァーナは売れた。その時はきっと「世の中が少し変わったんだろうなぁ」と、私はそういう気持ちになります。

そういう事を考えるようになったのは、「ネヴァーマインド」を最初に聴いた時から多分6,7年後くらい、数百枚もCDを聴いた後です。

私の中では、ロックとは「(メインストリームではなく) オルタナティブな人間が作ったアートであって欲しい」という密かな願いがあります。

それを象徴してくれているのが「ネヴァーマインド」なんだと思います(他の9枚もそうですが)。

あと、今聴き返しても単純に1曲1曲のクオリティが高い、飽きない、カートの声もいいしデイヴのドラムもいい、です。

 

ベストを尽くす俺は最低 こんな性分のおかげで、祝福されてる気分さ 俺らの小さなグループじゃいつもそうだったし、死ぬまでこんなだろうよ。ハロー、ハロー、ハロー、どのくらい酷い? from Smells Like Teen Spirit

とても幸せさ、だって今日は友達を見つけたから 奴らは俺の頭の中にいる。俺はとても醜いけど、問題ないさ、お前らだってそうだから 俺らは鏡をぶち壊してやった。日曜の朝が毎日続いたっていい ちっとも怖くない from Lithium

これまでで一番素晴らしい日は 命令で泣くことを覚えた日だった。お前よりも自分が好き よくないってわかってるけど じゃあどうすればいい? from On a Plain

 

 

 

 

5枚目

 

5.「モーニング・グローリー」(What’s The Story) Morning Glory? / オアシス

 

 

このアルバムも、最初に聴いたのは10代の終わり頃です。

レディオヘッドのように深くハマる事も無く、「ネヴァーマインド」とセットで”いいアルバム“として聴いていました。

ただ、レディオヘッドにしろニルヴァーナにしろパンクのアルバムにしろ、BGMとして聴くには主張が激しすぎました。

その点この「モーニング・グローリー」は、誰と一緒でも気兼ねなく聴けるという点で、長い間とても重宝しました。

あと、このアルバムがすごいのは、このアルバムは”議論にならない”アルバムだという事です。ビートルズにしろ、クラッシュにしろ、ニルヴァーナにしろ、レディオヘッドにしろ、肯定派と否定派で議論になる事がたびたびあると思います。でも、「モーニング・グローリー」はネット上でそういう議論が起こっているを見たことがありません。なんというか、説明とかうんちくとか言い訳が必要ないアルバム、そんな感じがします。

ロックの騒がしいサウンドとセンチメンタルなメロディがあって、その上に堂々としたボーカルが乗っかって、いい歌を歌う、っていう、すごく単純な作品です。

ですので、このアルバムに関しては、最初に聴いた時も、今聴いても、印象はそんなに大きく変わっていないです。聴くたびに新しい発見とかそういうのは無いです。それも凄い。潔い。

あと、このサイトを始めてから、歌詞の良さにも気付きました。

 

人は言うんだ、「雷雨の後には陽の光が差す」って。ホントにそうなら言ってやれよ、光を失くした奴らに from Some Might Say

流れにのっていこうぜ じっくり行くんだ 言いたいことは言ってやれ クソ野郎どもに邪魔させるな そんなの我慢ならねぇぜ。お前がどんな面してるか俺にはわかるのさ お前に会った事なんてないけどな from Roll With It

俺達が進む道は曲がりくねり 照らす光の眩しさで何も見えない。お前に話したいことは山ほどあるけど とても話し切れないな  from Wonderwall

お前が行きたい場所へ連れていってくれよ 夜だろうが昼だろうが、誰も知らない場所だろうが。でもお前の人生をロックンロールバンドなんかに委ねちゃいけないぜ 全部放り出しちまう連中だから from Don’t Look Back In Anger

 

 

 

 

6枚目

 

6.「レット・イット・ビー. . .ネイキッド」(Let It Be. . .Naked) / ザ・ビートルズ

 

 

ビートルズでこのアルバムを選ぶのは、結構変わっていると思います。

一応この作品の説明を大雑把にさせていただきますと、ビートルズ末期(1969年) にバンドの原点に戻ろうとして「ゲット・バック・セッション」というレコーディングが行われました。で、その時に録音されたテープを中心に、フィル・スペクターというプロデューサーが編集して作ったアルバムが「レット・イット・ビー」です。
でも、この「レット・イット・ビー」というアルバムは「原点に戻る」というメンバー(特にポール) の意図とは反する”過剰なアレンジ”が加えられた作品として完成しました。

その為か、名曲『Let It Be』が収録されているのに、アルバム「レット・イット・ビー」は、ビートルズの中では下から数えた方が早いくらい不人気な作品です。

そして2003年、ようやくフィル・スペクターの過剰なアレンジを除いた、本来意図したありのままで(naked=裸の)  再生された「レット・イット・ビー」が世に出ました。それが、この「レット・イット・ビー. . .ネイキッド」という作品です。

 

さて、ビートルズの名盤と言えば普通は「サージェントペパーズ」「リヴォルヴァー」「ホワイトアルバム」あたりが鉄板だと思います。
でも、そのアルバムの「全曲好きか」といえばそうでもなくて、個人的には全然印象に残らない曲、とばしたくなる曲があります。

そこでこの「レット・イット・ビー. . .ネイキッド」なわけですが、これを選んだのは”奇をてらう”とか、そういうわけではなくて、ちゃんとした理由があります。

1つ目は、私が初めて”リアルタイムで”購入したビートルズのアルバムだという事(日本盤はコピーコントロールCDというクソ仕様でしたが…)。

もう1つは、『Across The Universe』が入っているから。

 

ここでは、『Across The Universe』にまつわる思い出だけ、お話しします。

それは私の大学受験(一浪後) の前日の事です。試験会場が東京でしたので、前日は都内のホテルに宿泊しました。

ビジネスホテルのレストランで夕食を食べている時、そこではずっとビートルズが流れていました。

当時、私はビートルズは「赤盤」と「リヴォルヴァー」と「マジカル・ミステリー・ツアー」しか聴いてなかったので、知らない曲がたくさんありました。

その中で、『アクロス・ザ・ユニヴァース』は1回聴いてすぐに私の胸に響きました。

特にサビの「Nothing’s gonna change my world」(何ものも私の世界を変えられない) という言葉は、受験前日の私をすごく勇気づけてくれました。

もし受験に失敗しても、それで人生が詰むわけじゃないし、自分が無価値な存在になるわけでもない。自分は自分。「何ものも自分を変えられない、自分を変えるのは自分だけなのだから」

 

ビートルズの音楽はやっぱり凄くいいですね。何度聞いても聴き尽くす事が無いという事を、今更ながらに感じています。

ただ、”鑑賞するもの”としてではなく、私に直接”力を与えてくれた曲”は『アクロス・ザ・ユニヴァース』と『ヒア・カムズ・ザ・サン』(こちらはアビーロード収録ですが) の2曲です。

 

あと、作品としても、オリジナルの「レット・イット・ビー」よりこっちの方が断然いいと思います。『Get Back』から始まって『Let It Be』で終わる方が、私にはしっくりきます。

 

言葉は降り止まない雨のように紙コップに溢れ 激しい流れとなって、宇宙の彼方へ消えていく。悲しみの溜まりと喜びの揺らぎは僕の心を漂いながら 僕を包み、撫でていく。何ものも僕の世界は変えられない from Across The Universe

みんないい時期があって みんな辛い時があって みんなスケベな夢を見て みんな太陽を見上げてた from I’ve Got A Feeling

心に傷を負った人達が この世界で共に暮らす時 答えは見つかるだろう あるがままに。離れ離れだとしても 再び巡り会うチャンスは残されている そこに答えがあるのだろう あるがままに。あるがままに、あるがままに、あるがままに そうさ、そこに答えはある 「あるがままに」 from Let It Be

 

 

 

 

7枚目

 

7.「エヴリシング・マスト・ゴー」(Everything Must Go) / マニック・ストリート・プリーチャーズ

 

 

今回選んだ10枚の中で、この作品だけはあまり名盤扱いされていないですし、マニック・ストリート・プリーチャーズもこういうリストにはあまり出てこないバンドだと思います。

ただ、個人的には他の9枚に負けず劣らずの作品だと思っています。

このアルバムに助けられたのは私の浪人時代です。

先ほどのビートルズと時期が前後します。流れとしては、[浪人時代]マニックス→[受験]アクロス・ザ・ユニヴァースという流れです(浪人時代に英語の勉強も兼ねて(という言い訳で) 洋楽を幅広く聴くようになりました)。

受験や学歴の世界では、浪人生というのは現役生と比べて「劣っている」と見なされます。そして、その差は永遠に埋められない、当時私はそう思っていました。

さらに、今度受験に失敗したら、私は「生きている価値が無い」と、本気でそう思っていました。

そんな時、このバンドの歌や活動姿勢は「世の中に適合することだけが人間の”価値”ではない」と、勇気づけてくれているように聴こえました。

世の中から外れてしまっても、ただ意味もなく一人で悩み苦しんでも、それが自分であって、それは恥ずべきものじゃなく「肯定すべきもの」「誇るべきもの」なんだ、と。
歌詞にそう書かれていたわけではないのですが、私はそんなメッセージを勝手に受け取り、励まされていました。

ありがとうマニックス!

 

ちなみに、このサイトの最初の和訳はこのアルバムに収録されている『A Design For Life』です。

 

エノラを思うと心が痛むよ 俺の誕生は殺しと背中合わせ でも俺が望むのは生きる事 それがどんなに惨めな人生だとしても from Enola/Alone

やぁ、タイムマガジン、やぁ、ピューリッツァー賞。部族間紛争は総天然色 ”バン・バン・クラブ”がAK47ライフルを撮影する時間だ。ハゲタカはホワイトパイプの嘘もずっと狙ってる お前の人生は白黒記事になって消費される from Kevin Carter

図書館が俺たちに力を与え、仕事も見つかり、暮らしは不自由しなくなった。ちっぽけな威厳を保つため、一体どれだけ費やしたんだろうか?
俺たちは愛について語ったりしない 酔っ払えればそれでいいんだ。それ以上の贅沢は禁物さ そんな事すりゃオシマイだって教わったんだ。人生設計ってやつさ from A Design For Life

 

 

 

 

 

8枚目

 

8.「ザ・クイーン・イズ・デッド」(The Queen Is Dead) / ザ・スミス

 

 

ザ・スミスも、ある意味先ほどのマニックスと同じ気持ちで聴いていました。聴き始めた時期も近くて、浪人時代です。

ところで、ザ・スミスがどんなバンドかというと、活動していた80年代当時、若者層を中心に熱烈に支持されたバンド、とされています。

その影響力はビートルズやレッド・ツェッペリンを凌ぐほどだったと、何かの記事で読んだことがあります。

もちろん、ビートルズやツェッペリンのように万遍なく支持されるというタイプではなく、一定の層に強烈に支持されるタイプのバンドです。

そういう点を踏まえると、ザ・スミスとはイギリス版ブルーハーツだと思っています。

「音楽性も歌い方も全然似ていない」ってことはわかっているんですが、本質的な部分で両者は非常に近いと、両者の熱烈な支持者の私としては思います。

両者の共通点というのは、ファンにとってそのバンドが「ロックや音楽を超えている」という点です。

音楽に興味が無い人が聴いても感動し、人生を変えてしまうような音楽(私にとってブルーハーツがまさにそれだったように…)。

とはいえ、日本ではモリッシーの歌や歌詞をダイレクトに受け取るのは難しいので、評価はもっぱら”歌詞が過激・文学的” “弱者の味方”という程度に留まっていると思います。
モリッシーの詞は高尚なものじゃなくて、むしろユーモラスで、心を鷲掴みにしたかと思えば笑わしにかかってくる、というような類の詞だと思います。そういう意味でもヒロトに似ています。モリッシーは毒がちょっと強いですが。

ジョニー・マーのギターはミュージシャンからも評価が高く、その音だけでもずっと聴いていられます。そのおかげで、日本でもザ・スミスの作品は名盤扱いされていると思います。でも、”聴きどころの中心”はそこじゃない気がします。

でも、ザ・スミスが(というかモリッシーが) 日本で過小評価されているかと言えば、そうは思いません。届いている人には届いているようです。

 

ところで、作品に関して言うと、「ミート・イズ・マーダー」とどちらにしようか、最後まで悩みました。曲は「ミート・イズ・マーダー」の方がやや上かな、と思っています。

ただ、こちらの方がサウンドの”バンド感”が強くて聴き易いです。(ジョニー・マーは、ギターを”ボーカルを引き立てる為に”弾いているらしく、ザ・スミスはバンド感を前面に押し出すタイプのバンドではありません)

このアルバムの方が音楽性やテーマもバラエティ豊かで、風通しの良さがあります。「ミート・イズ・マーダー」はやっぱりちょっと暗いです。

ですので、こちらの「ザ・クイーン・イズ・デッド」を選びました。

 

奴らなんか称えない この国の陰気な沼地とはおさらば アーチに挟まったオス豚のように身動き不能 首吊り状態の最低女王。大変失礼致しました、でもぴったりな響きでしょう from The Queen Is Dead

はっきり言わせてもらいます、シャンクリーさん。今の仕事は暮らしていけるだけの収入はありますが、僕の魂が腐ってしまいます 辞めたいんです、僕が辞めたって惜しくないでしょう? 僕は音楽史に名を残したいんです from Frankly, Mr.Shankly

お喋り、お喋り また余計な言葉が口をついて出る 僕なんて人類の仲間入りする権利すらない from Bigmouth Strikes Again

笑い飛ばすなんて簡単 憎むのだって簡単 でも優しさや思いやりを持つには、強さが要る。ひたすら、ひたすら、ただひたすらに from I know It’s Over

二階建てバスが僕らに衝突したって 君のそばで死ねるなら こんな素敵な死に方は無いさ from There Is The Light That Never Goes Out

 

 

 

 

 

9枚目

 

9.「カリフォルニケイション」(Californication) / レッド・ホット・チリ・ペッパーズ

 

 

これは、私の中では「モーニング・グローリー」と同じで、共感とかではなく”いい作品“として聴くアルバムです。

レッド・ホット・チリ・ペッパーズの音って、カーステレオとか屋外で、イヤホンではなくスピーカーで他の騒音と混ざって聴いても、しっかり”レッチリの音”をしていて、そこがいいと思います(特にチャドのドラムの音!)。

 

また私の他愛もない昔話になりますが、カセットテープしか聴けない学生時代の車で、このアルバムを録音したカセットテープは何百回リピートしたかわかりません。このアルバムこそ、私にとって”レッチリの音”なんです。
ちなみに裏面は「ワンホット・ミニット」でしたが、そちらはあまり印象に残っていません(笑)

もう1つ思い出としては、私は学生時代にギターをやっていたのですが、ギターの”先生”とレッチリ(というかジョン・フルシャンテ)の話題でよく盛り上がっていました。バンドマンからの支持が圧倒的に高いのも、やっぱりレッチリですね。

アルバムで言えば「バイ・ザ・ウェイ」もいい曲がたくさんあります。ただ、私にとってはちょっと”レッチリっぽさ”が足りない。

音楽的には「スタジアム・アーケイディアム」が最高傑作な気がしますが、思い出補正とか感情を持っていかれる点からすると「カリフォルニケイション」が1番になります。

 

いつまで、いつまで俺は滑り落ちていくのか? 大切なものを失って。それも、それも悪くないと思う。喉を切り裂き、すべて打ち明けるよ from Otherside

わかった、よくわかった 人生は世界のどこだって素晴らしい from Around The World

秋の素敵な体験(ドラッグ) は特にヤバイ 這いつくばって月にまで登れるほど。鳥達と共にするのさ、この孤独な眺めを from Scar Tissue

老化の呪縛を解きたければ 整形外科医に高い報酬を払いな。誰よりも病んでいるけど 検査なんかないんだよ でもこれがあんたが強く望んだ事。最初に生まれたユニコーン ハードコアなソフトポルノ カリフォルニケイションを夢見て from Californication

 

 

 

 

 

10枚目

 

10.「レイジ・アゲインスト・ザ・マシーン」(Rage Against The Machine) / レイジ・アゲインスト・ザ・マシーン

 

 

私が洋楽ロックに目覚めた2000年頃、当時流行っていた洋楽ロックはヘヴィロック(と呼ばれていたニューメタル、ラップメタル) でした。

それらのバンドも一通り聴きましたし、今でも聴きます(そのあたりが「選出外 その3」で現れています)。「激しくてうるさいロックが好き」という趣味は、今も、これからも私の中で続くと思います。

でも、そういうノリの作品は、機能性重視というか、音楽作品としてしっかり向き合うには物足りない、というものが多いです。ですので「名盤」となると、選ばれにくいです。

この「無人島10枚」を選ぶ時も、そういった”うるさい音”のアルバムは頭に浮かんできませんでした。でも、私は”うるさい音”のロックが好きだから1枚は入れたい。でも、他の名盤と並ぶほど思い入れがあって、替えがきかないアルバムといえば、このレイジ・アゲインスト・ザ・マシーンの1stしかありませんでした。(次点がシステム・オブ・ア・ダウンの「Mezmarize」「Hypnotize」です。この2枚は甲乙つけられません)

 

で、レイジのこのアルバムは、ストレス解消っていうだけじゃなくて、正座してしっかり聴き込んでも耐える”味”があります。決して前面には出てこないんですが、リズム隊のセンスがいいんですね。

そしてなんといっても「歌詞」です。とにかく熱くて、そして暴力ではなく”力”を与えてくれる。というか力を引っ張り出させられます。

激しいサウンドに歌詞がバシッとハマるとこんなにも気分が高揚するものかと、これはこのサイトをやっていて初めて体験しました。それに気づかせてくれたのはレイジとシステム・オブ・ア・ダウンです。

 

そうだ、”敵”が何か知ってるぜ! 自分を抑え込むように教え込んだ教師たちだ。妥協、従属、同化、服従、無知、偽善、残虐行為、エリート階級 こういった全てのアメリカンドリーム こういった全てのアメリカンドリームの仕組み こういった全てのアメリカンドリームが俺たちの敵だ  from Know Your Enemy

不屈の心に根差した思想で 妥協なき、妥協なき徹底抗議 俺達を支配する”資産家”や”権力の売春婦ども”は代わる代わる 法的手段で阻止してくるが、俺は火を点け、奴らが燃え上がるのを見届ける from Bombtrack

警官バッジを付けた、選ばれし白人の死は正義になる。警官バッジを付けた、選ばれし白人による殺しは正義になる。暴力を行使するヤツらは、十字架を燃やすカルト集団と同類。正当化される殺し お前は今、権力者どもの言いなり。ふざけるな、俺はヤツらの言いなりにはならない from Killing In The Name

 

 

 

 

終わりに

ようやく終わりました。こんな長い記事を読んでくださったあなたには、感謝しかありません。

「無人島10枚」の記事をやって改めて感じたのが、私にとって音楽(ロック) を聴く事は良くも悪くも「過去を振り返る行為」だという事です。

過去にため込んだ道具を引っ張り出して磨き上げて並べる、このサイトで私がやっているのはそれなんじゃないか、と思いました。

新しい曲の和訳がほとんど無いのもその為です。どうしても「思い入れのある曲」を優先させてしまいます。

過去のネタが切れるか、新しい曲に思い入れが沸いたら、新しい曲に取り掛かれると思っています。

ただ、こんなちっぽけなサイトですが、日本盤の新譜の売上に悪い影響を与えるような和訳は避けたい、という気持ちはあります。

 

こんなページまで目をとおしてくださるような方がいることは、私にとって更新の支えです。

今後も更新を続けていきたいと思いますので、厚かましいお願いですが、今後ともご支援(訪問していただくだけで大変ありがたいですし、SNSのシェアもありがたいです。その他のご支援も)、いただけたら幸いです。

以上、お読みいただきありがとうございました。 2020年4月吉日 LyricList管理人 まーしゃる

 

Posted by まーしゃる