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<歌詞和訳>Lament(人々の嘆き) – King Crimson 曲の解説と意味も

2023-07-09King Crimson 歌詞和訳[表現] 詩的/文学的

King Crimson – Lament
キング・クリムゾン – ラメント(邦題:人々の嘆き)

 

プログレッシヴ・ロックを代表するイギリスのバンド キング・クリムゾンの6thアルバム「Starless And Bible Black」(1974年 邦題「暗黒の世界」)に収録されている曲です。

 

歌詞の意味と解釈

タイトル「ラメント」とは、"嘆き“、"嘆き悲しむ“という意味です。

人々の嘆き」という邦題が付けられていますが、これは誤った解釈であり、歌詞の内容は「落ちぶれた(一世を風靡した)ミュージシャンの嘆き」となっています。

歌詞は4つのパートに分かれており、1つ目と2つ目は昔の栄光を懐かしむ様子、3つ目は落ちぶれた今の様子(過去のギャラの取り分でレコード会社ともめている模様)、4つ目はそれでも音楽を愛しており、君がその気なら自分もこの理不尽な音楽業界に身を捧げようとでも言うような意思表明のように思われます。
(歌詞に登場するYouが特定の誰かなのか、リスナーなのかはわかりません)

なお、厳かな前半パートから、後半の激しい混沌としたパートに移り変わる様子は、取り澄ましていた主人公が突然逆上したようにも感じられ、シリアスというよりむしろコミカルな感じがします。

 

歌詞は比喩表現が多く用いられていますが、そのままではよくわからない部分が多いので、和訳する際には比喩表現をできるだけ取り除き、直接的な言葉に意訳しています。

 

歌詞と和訳

Written by Richard Palmer-James, John Wetton & Robert Fripp

I guess I tried to show you how
I’d take the crowd with my guitar
And business men would clap their hands
And clip another fat cigar
And publishers would spread the news
And print my music far and wide
All the kids who played the blues
Would learn my licks with a bottle neck slide

僕は君に見せたかったんだろう
ギター1つで観客を魅了する自分の姿を、
業界人どもは手を叩き
新たな葉巻を口にくわえ、
レコード会社は話題を広め
僕の音楽は世界中で売れていった、
ブルース少年達は皆
僕のボトルネック奏法を習得しようとした

 

clip 切り揃える、切り抜く、切り詰める、かすめる、留め金具
publisher 出版者、発行者
lick なめる、軽く触れる、打つ、少量の、リック(ジャズなどで使われる即興演奏)
bottle neck slide (ギターの)ボトルネック奏法(スライドバーを指にはめて演奏する奏法)

 

But now it seems the bubble’s burst
Although you know there was a time
Love songs gathered in my head
Poetry in every line
And strong men strove to hold the doors
While with my friends I passed that reach
When people stomped on dirty floors
Before I trod the rock’n’roll stage

しかし今やバブルは弾け
君も知ってのとおり、それは昔の話、
僕の頭にラブソングが止めどなく浮かび
言葉のすべてに詩情が漂っていた頃の話、
仲間たちとそこを通り過ぎる度に
大男の警備員達がドアをしっかりと押さえていた頃の話、
そして僕がステージに上がる前から
観客が散らかったフロアで大騒ぎしていた頃の話

 

poetry 詩、詩情
strive 努力する、骨を折る、競う
stomp (=stamp)足で踏みつける、ストンプダンス(ジャズなどの音楽に合わせて踊るダンス)をする
tread 踏む、踏みつける、歩く、足取り、踏み板

 

I’ll thank the man who’s on the 'phone
And if he’s got some time to spend
The problem I’ll explain once more
And indicate a sum to lend
That ten percent is now a joke
Maybe thirty, even thirty-five
I’ll say my daddy’s had a stroke
He’d have one now, if he only was alive

電話口の男には感謝しよう
僕がもう一度話そうとするこの問題を
取り合ってくれるというのなら、
いくら取っていたか教えてくれ
10%だなんてウソだろう
おそらく30%、いや35%かもしれない
脳卒中で倒れた親父にこのことを話したら
命を取り留めた親父が、また倒れちまうだろう

 

indicate 示す、指摘する、表す
sum 合計、金額、要約する、合計する
have a stroke 脳卒中で倒れる

 

I like the way you look at me
You’re laughing too, down there inside
I took my chance and you took yours
You crewed my ship, we missed the tide
I like the way the music goes
There’s a few good guys who can play it right
I like the way it moves my toes
Just say when you want to go and dance all night

君が僕を見る、その目が好きだ
心の底では、君も僕を笑っているのだろう
僕は僕の、君は君のチャンスを掴み
君は僕の船の乗組員となったが、僕らは潮の流れを見失った
この音楽の流れが好きだ
ちゃんと弾けるのは、一握りの本物だけ
つま先が動き出す、この感じも好きだ
踊り明かす気分になったら、いつでも僕に声を掛けて欲しい

 

crew 乗組員、乗組員として働く
tide 潮、流れ、栄枯盛衰

 

 

収録アルバム

アルバムジャケットを押すとアマゾンのページへ移動します。

Starless and Bible Black(1974年 邦題:暗黒の世界)

6枚目のスタジオアルバムで、スタジオ録音の曲とライヴで即興演奏された曲が混在しています。(ライヴ録音のものは拍手や歓声などの音は取り除かれていますが、注意深く聴くとわずかに拍手が聴こえるそうです)