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<歌詞和訳>Still Ill – The Smiths 曲の解説と意味も

2018-05-06Smiths(The Smiths)歌詞和訳[生き方] 信念/自分らしさ, [社会] 風刺/抗議

The Smiths – Still Ill
ザ・スミス – スティル・イル

 

The Smithsのファーストアルバム「The Smiths」(1984年) の6曲目に収録された楽曲です。

ザ・スミスの代表曲の1つで、様々なベスト盤に収録されています。

 

 

歌詞の意味と解釈

ここでの”病んでいる”(ill) とは、社会的に疎外された様子を示すものと思われます。

つまり、「スティル・イル」とは、”いまだに社会の輪に入れない自分”を歌ったもの、と考えられます。

また、この言葉はこの時代のイギリスの政治・社会情勢と合わせて考えると、より深いものとなります。

1960年代から70年代にかけて経済不振に陥り「ヨーロッパの病人」と呼ばれていたイギリスは、サッチャー首相(モリッシーの敵) の”弱者を切り捨てる強者を生かす”経済政策によって、息を吹き返します(詳細は和訳の後に掲載しています)。

つまり、イギリス社会は病気から回復したのに、自分たちは「スティル・イル」だという視点が、この曲のポイントだと思います。

 

歌詞と和訳

Written by Morrissey & Johnny Marr

I decree today that life
Is simply taking and not giving
England is mine, it owes me a living
But ask me why and I’ll spit in your eye
Oh ask me why and I’ll spit in your eye

今日、僕は断言するよ
人生とはただ奪うものだ、与えるものじゃない
イングランドは僕の国、僕を養う責任がある
なぜかって聞くなら、君の目玉に唾を吐いてやる
あぁ、理由なんて聞くのなら、君の目玉に唾を吐いてやる

 

But we cannot cling to the old dreams anymore
No, we cannot cling to those dreams

でも僕らは昔の夢にしがみついていられない
だめさ、あんな夢にはしがみついていられない

 

Does the body rule the mind
Or does the mind rule the body?
I dunno…

身体が心を支配するのか
それとも心が身体を支配するのか?
僕にはわからない

 

dunno (=I don’t Know) 知らない

 

Under the iron bridge we kissed
And although I ended up with sore lips
It just wasn’t like the old days anymore
No, it wasn’t like those days
Am I still ill?
Ohh…
Oh, am I still ill?
Ohh…

鉄橋の下で僕らはキスをした
唇がヒリヒリするほどしたけれど
もう昔のようにはいかなかった
あぁ、あの頃みたいにはいかなかった、
僕はまだ病んでいるの?
あぁ…
僕はまだ病んでいるの?

あぁ…

 

Does the body rule the mind
Or does the mind rule the body?
I dunno…

身体が心を支配するのか
それとも心が身体を支配するのか?
僕にはわからない

 

Ask me why and I’ll die
Oh ask me why and I’ll die

And if you must go to work tomorrow
Well, if I were you I wouldn’t bother
For there are brighter sides to life
And I should know because I’ve seen them
But not very often

なぜかって聞くなら、僕は死んでしまう
理由なんて聞くなら、僕は死んでしまうよ

明日、君が仕事に行かなきゃならないとしても
僕が君だったらそんなの気にしないね。
だって人生には素敵な事がある。
僕にはわかる、だってそれを見てきたんだ

ちょっとだけだけど

 

Under the iron bridge we kissed
And although I ended up with sore lips
It just wasn’t like the old days anymore
No, it wasn’t like those days
Am I still ill?
Ohh…
Oh, am I still ill?
Ohh…

鉄橋の下で僕らはキスをした
唇がヒリヒリするほどしたけれど
もう昔のようにはいかなかった
そう、あの頃みたいにはいかなかった、
僕はまだ病んでいるの?
あぁ…
僕はまだ病んでいるの?

あぁ…

 

さらに解説

この曲は「英国病」と「サッチャリズム」を意識したうえで聞くと、俄然意味が深いものになります。

参考:wikipedia 英国病

英国病(イギリス病)とは、手厚い社会保障や国有企業の肥大化、激しい累進課税制度(最高税率98%!)などによって生じた、国民の労働意欲低下、社会保障費の増大、ストライキの頻発といったイギリス経済の諸問題を指します。これにより1960年代から70年代において、イギリスは経済不振に陥り「ヨーロッパの病人」と呼ばれるようになってしまいました。

そんなイギリスの立て直しを目指し、強硬な財政改革に乗り出したのが「鉄の女」と呼ばれるサッチャー首相であり、その経済政策(サッチャリズム) です。

サッチャリズムは(強者を生かし弱者を切り捨てる形で)、英国病の克服に一定の成果を上げましたが、所得格差や失業率の増加などの問題を進行させ、称賛と非難が入り混じるかたちとなりました。

労働者や失業者側(ザ・スミスの側) にとっては、目の敵のような存在だったと言えます。

Still Ill」とは、英国病(ill)から回復したイギリスにおいて、サッチャリズムによって切り捨てられた人々を指している、とも読み取れます。

 

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