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【ジャンル解説】シューゲイザー(Shoegazer)/ドリームポップ(Dream Pop)

2018-04-17音楽ジャンル辞典

音楽ジャンルを歴史と一緒にわかりやすくまとめました。

 

Shoegazer:シューゲイザーとは何か

 

 

始まり:1980年代末イギリス

 シューゲイザーとは、1980年代後半のイギリスで登場したインディーギターロックの1スタイルである。ノイジーなギターサウンドと、エフェクターを駆使した幻想的な音作り、ささやきのようなボーカルを特徴とする。
 シューゲイザーの語源は「靴(Shoe)を見つめる人(Gazer)」と言われている。ライヴにおいて、観客を見ずに演奏に没頭するようなシューゲイザーバンドの内向きな様子をよく言い表している。

 マイ・ブラッディ・ヴァレンタインのアルバム「ラヴレス」(1991年)が高い評価を受け、多くのフォロアーを生み、シューゲイザーはロックの1ジャンルとして定着した。しかし、次第にマンネリ化が進み、その流行は落ち着いていった。
 近年は、シューゲイザーとエレクトロニクス(エレクトロニカ)を融合したアーティストが登場し、ニューゲイザー(Nu-Gazer)と呼ばれている。

 

詳細解説

 1980年代初頭のイギリスで、ジーザス・アンド・メリーチェインのようにノイジーなギターサウンドで甘いメロディを奏でるバンドや、ドリーム・ポップと呼ばれるコクトー・ツインズのような、リヴァーヴやディレイなどのエフェクターで音の輪郭をぼやかせ、抽象的な音としてボーカルをのせるバンドが、インディーシーンで頭角を現した(シューゲイザーの前身ともいえる”ハッピーバレー”、”テムズバレー”と呼ばれる一派が生まれた)。90年前後には、それらの影響下にあるバンドが多く登場し、シューゲイザーという名が定着したという。

 

 シューゲイザーの語源は「靴(Shoe)を見つめる人(Gazer)」である。シューゲイザーのバンドはライヴ中うつむき加減で足元を見て演奏していたことからその名がついたという。なお、演奏者が見つめていたのは、足元のセットリスト(歌詞)とも、エフェクターのペダルとも言われている。

 シューゲイザーバンドの多くは、比較的高学歴で裕福ないわゆる”中産階級”が多いと言われ、不平不満などを歌う事を目的としなかったという(それ故、歌詞に意味を求めず、歌詞を掲載しないアーティストも多い)。音楽にメッセージ性は少なく、甘美なサウンドに陶酔する事がバンドの目的だったとする見方もある。

 

 シューゲイザーの人気は、マイ・ブラッディ・ヴァレンタインを除けば局地的なものだったといえる。しかし、影響下にあるアーティストはヨーロッパを中心に多数存在する。一部のアーティストは、シューゲイザーとエレクトロニクス(エレクトロニカ)を融合し、ニューゲイザー(Nu-Gazer)とも呼ばれるようになった。

 また、近年ではマイ・ブラッディ・ヴァレンタインやスロウダイヴ、ジーザス・アンド・メリーチェインらシューゲイザー勃興時のバンドの再結成・復活も多い。

 

 なお、レディオヘッドのトム・ヨークはレディオヘッドについて「テムズバレーの末端から始まったバンド」とインタビューで答えており、「パブロ・ハニー」期のギターサウンドがシューゲイザーからの影響である事を明かしている。

 

 

Dream Pop:ドリームポップとは何か

始まり:1980年初頭イギリス、アメリカ

 ドリームポップとは、上記のシューゲイザーも含む、より広いロックのカテゴリーである。80年代のイギリスのニューウェーブバンドや、アメリカのインディーギターロックバンドのうち、内省的な世界観をもつアーティストを指して、こう呼ばれた。

 現実と距離を置くような遁世的な佇まいと、エフェクターを個性的に用いたスタイルは、後のオルタナティヴロックに大きな影響を与えた。

 

詳細解説

 ドリームポップの起源は、80年代のイギリスで登場したニューウェーブゴシックロックネオアコニューロマンティックのアーティストや、同時期アメリカで登場したインディーギターロックのアーティストのうち、特に内省的でサイケデリックな世界観をもつアーティストを指す。

 

 起源をさかのぼると、60年代のアメリカのバンド、ヴェルヴェット・アンダーグランドの退廃的なムードを醸し出すロックに行きつく(”ヴェルヴェッツ・チルドレン”と評されるバンドも多い)。

 

 サウンドの特徴は、エフェクターを用いた気だるく幻想的な音像、展開が少ないミニマムな曲調、呟くような優しいボーカルなどが特徴である。 遁世的な佇まいは、80年代のメインストリームの音楽に対するカウンターとして機能した。

 よく用いられるエフェクターとしては、残響音を作り出すリヴァーヴやディレイ、音像を震わせるコーラス、音を歪ませるディストーションがあり、これらはオルタナティヴロックでも定番の音となっていった。

 

 

代表的なアーティスト

マイ・ブラッディ・ヴァレンタイン(My Bloody Valentine 活動期間:1984-97, 2007-)
ライド(Ride 活動期間:1988-96, 2014-)
スロウダイヴ(Slowdive 活動期間:1989-95, 2014-)
チャプターハウス(Chapterhouse 活動期間:1987-94, 2008-)
・ペイル・セインツ(Pale Saints 活動期間:1987-96)

【ドリーム・ポップ】
コクトー・ツインズ(Cocteau Twins 活動期間:1979-97)
ギャラクシー500(Galaxie 500 活動期間:1987-91)
ヨ・ラ・テンゴ(Yo La Tengo 活動期間:1984-)
マーキュリー・レヴ(Mercury Rev 活動期間:1984-)
グライムス(Grimes 活動期間:2007-)

【影響下のバンド】
レディオヘッド(初期)
シガー・ロス(Sigur Ros 活動期間:1994-)
ミュー(Mew 活動期間:1994-)
ブロークン・ソーシャル・シーン(Broken Social Scene 活動期間:1999-)
マイ・ヴィトリオール(My Vitriol 活動期間:1999-2002, 2005-)
ディアハンター(Deerhunter 活動期間:2001-)
ザ・ペインズ・オブ・ビーイング・ピュア・アット・ハート(The Pains of Being Pure at Heart 活動期間:2007-)

 

動画(全部で17作品

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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