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<歌詞和訳>The Sound Of Silence – Simon & Garfunkel  曲の解説と意味も

2020-03-12Simon & Garfunkel 歌詞和訳[生き方] 孤独/厭世,[社会] 風刺/抗議,[表現] 詩的/文学的

Simon & Garfunkel – The Sound Of Silence
サイモン・アンド・ガーファンクル – ザ・サウンド・オブ・サイレンス

 

アメリカのフォークデュオ サイモン&ガーファンクルの1stアルバム「Wednesday Morning, 3 A.M.」(邦題:水曜の朝、午前3時 1964年) に収録された曲です。

当初このアルバムはヒットしませんでしたが、プロデューサーのトム・ウィルソンがこの『The Sound Of Silence』へ勝手にバンドサウンドを付け足し、1965年にシングルとしてリリースしたところ、大ヒットとなりました。

(ちなみにそれを演奏したバンドは、トム・ウィルソンが当時手掛けていたボブ・ディラン『Like A Rolling Stone』のレコーディングメンバーだったそうです)


追憶のハイウェイ61

この曲のヒットを受け、サイモン&ガーファンクルは活動を再開し、この曲を含む2ndアルバム「Sounds Of Silence」(1966年) が制作されたといいます。

 

歌詞の意味と解釈

タイトル「サウンド・オブ・サイレンス」を直訳すると “静寂の音" となります。

しかし、Sound には “音が届く範囲" という意味もあり、静寂の音が届く範囲="静寂の世界" とここでは訳させていただきました。

また、ポール・サイモンはこの曲を「コミュニケ―ション不能についての歌」と説明しているそうです。

それらを考えると、この曲で歌われている “静寂の世界" とは、「人々の間に “心からの意思疎通" が失われた状態」を指していると思われます。

(個人的な考察は和訳の後に書かせていただきました)

 

歌詞と和訳

Written by Paul Simon

Hello darkness, my old friend
I’ve come to talk with you again

Because a vision softly creeping
Left its seeds while I was sleeping

And the vision that was planted in my brain
Still remains
Within the sound of silence

やぁ暗闇、古くからの友よ
また君と話したくて、来てしまった

なぜならある予感がそっと忍び寄り
僕が寝ている間に、その種を置いて行ったんだ

僕の思考に取り付いたその予感は
ずっと残っている
静寂の世界の中で

 

plant 植物、工場、策略、植える、腰を下ろす、置く、隠す

 

In restless dreams I walked alone
Narrow streets of cobblestone

'Neath the halo of a street lamp
I turned my collar to the cold and damp

When my eyes were stabbed by
The flash of a neon light
That split the night
And touched the sound of silence

途切れる事の無い夢を見ながら
石畳の狭い通りを一人歩いた

街灯のぼんやりとした明かりの下で
湿り気を帯びた寒さに襟を立てた

ネオンライトの輝きが
僕の視界に突き刺さり
夜を引き裂き
静寂の世界に触れた

 

cobblestone 玉石
neath (=beneath)~の下に
halo 後光、光輪、かさ
damp 湿気のある、湿っぽい

 

And in the naked light I saw
Ten thousand people, maybe more

People talking without speaking
People hearing without listening

People writing songs that voices never share
And no one dared
Disturb the sound of silence

裸電球の下で見た
1万人か、それ以上の人びと

気持ちを伝えることなく会話をし
意見を聞くことなく耳を傾ける

人々の声に共有される事のない歌を書き
誰一人として
静寂の世界を破る者はいない

 

disturb 乱す、妨げる、中断する

 

“Fools", said I, “You do not know
Silence like a cancer grows

Hear my words that I might teach you
Take my arms that I might reach you"

But my words, like silent raindrops, fell
And echoed in the wells of silence

「愚かな人達よ」僕は続けて言った、「君たちは知らないんだ
静寂は癌のように蝕んでいく事を」

「君たちに伝えるこの言葉を聞いてくれ
君たちに差し伸べるこの腕を掴んでくれ」と。

でも僕の言葉は、静かに降り注ぐ雨だれのように、落ちて
静寂の井戸にこだました

 

And the people bowed and prayed
To the neon god they made

And the sign flashed out its warning
In the words that it was forming

And the sign said:
“The words of the prophets are
Written on the subway walls
And tenement halls
And whispered in the sound of silence."

人々は、自分達が作ったネオンの神に
額ずき、祈りを捧げる

ネオンサインは、
文字になって警告する

それはこう伝えていた
「預言者の言葉は
地下鉄の壁や
安アパートの廊下に書かれ
静寂の世界で囁かれる」と。

 

prophet 預言者、予言者
tenement 長屋、借家、安アパート

 

 

あらすじと解説(個人的解釈)

詩として受け取っても美しい歌詞ですが、その一方で強いメッセージ性も感じさせます。

ここでは私なりの解釈として、5つの節に分かれている歌詞の、それぞれのあらすじを考えました。

第1節:孤独な主人公の頭に「予感」(vision) が降って沸くように現れる。それを伝えるべき相手もいないので、いつもどおり「暗闇の中で自分に語り始める(または筆をとる)」。この曲の導入部。

※visionを “予感" と訳しました。この曲が「将来を憂いているもの」と考えた方が、より説得力があると思えたからです。

第2節:主人公の様子を伝える導入部第2弾。この曲のカギの一つである “ネオンライト" が登場します。ネオンライトについては「娯楽や商業主義の象徴」と考えました。

第3節:「静寂の世界」を最もよく表しているパートです。人々は会話(うわべだけのコミュニケーション) をして、歌も生まれています(芸術作品ではない、中身の無い商業ポップス)。そして、人々はそんな世界を謳歌しています。このような商業主義に埋もれた世界こそが、「静寂の世界」だと思われます。

第4節:主人公は静寂の世界(商業主義の世界) の住人の目を覚まさせようと、毅然と(そしてやや上から目線で) 呼びかけますが、受け入れられる事はありません。

第5節:一番難解な箇所です。(聖書を思わせる言葉も登場しますが、そちら寄りの(宗教的な) 解釈はできないのでしません)
歌詞の意味としては、「預言者の言葉(人の心を結びつける真の芸術) は、寂れた場所から登場し、ひっそりと囁かれる(支持される)」という事だと思われます。これは自分たちの音楽を指しているのかもしれません(そうだとしたらかなり自信家ですが)。
ただ、預言者の言葉(芸術) の存在を警告するのがネオンサイン(商業主義) だというのは、少し不自然な気もします(その不自然さが皮肉っぽくてカッコよくもありますが)。

 

現代社会のSNS(言葉ではなく絵文字やスタンプ、短い動画でコミュニケーションする人々)や、声で共有されない歌(握手券等のおまけとしての音楽、ただのBGMとして垂れ流されるだけの音楽)等を考えると(いや、別に非難しているわけじゃないですよ…)、現代の方が歌詞の重みを感じるように思えます。

 

収録アルバム

アルバムジャケットを押すとアマゾンのページへ移動します。

Wednesday Morning, 3 A.M.(邦題:水曜の夜、午前3時 1964年)

リリース当初はヒットしなかった1stアルバム。『The Sound Of Silence』のオリジナルバージョンや、ボブ・ディラン『時代は変わる』のカバーなどが収録されています。

 

Sounds Of Silence(1966年)

バンドアレンジがされた『The Sound Of Silence』のヒットにより、活動休止状態から急遽制作された2ndアルバムで、ロングセラーとなりました。

 

The Best Of Simon & Garfunkel(邦題:サイモン&ガーファンクルのすべて 1999年)

代表曲を網羅した、全20曲収録のベストアルバムです。