<歌詞和訳>Holidays In The Sun (さらばベルリンの陽) – Sex Pistols 曲の解説と意味も
Sex Pistols – Holidays In The Sun
セックス・ピストルズ – ホリデイズ・イン・ザ・サン(邦題:さらばベルリンの陽)
イギリスのパンクロックバンド セックス・ピストルズの唯一のオリジナルアルバム「Never Mind The Bollocks」(邦題:勝手にしやがれ!!) に収録されている曲です。
4枚目のシングルとして、1977年10月にリリースされました。
ピストルズを巡る報道・喧騒・バッシングは激しさを増し、メンバーはロンドンを離れました。そこで当時分断されていたドイツのベルリンを訪れ、その経験が元になってこの曲が生まれたと言われています。
歌詞の意味と解釈
「ホリデイズ・イン・ザ・サン」(=晴れた休日)という皮肉が籠ったタイトルとアートワークは、ベルギーの観光協会のパンフレットのパロディだそうです(その後、当のベルギー観光協会から訴えられたといいます)。
↑吹き出しの内容は歌詞になっています
歌詞に込められた「観光じゃなく戦争の歴史が見たい」というメッセージは社会派にも思えますが、当時のメンバーの心境が荒んでいただけなのかもしれません。
出だしの「A cheap holiday in other people’s misery」のpeopleはドイツ人、miseryとは国を分裂させられた事で、「俺はベルリンの壁を越えてやろうと思うけど、それに呼応する奴はいねえのか?」というのがこの曲の大まかな意味だと解釈して訳しました。
歌詞と和訳
Written by Paul Cook, Sid Vicious, Glen Matlock, Steve Jones & John Lydon
A cheap holiday in other people’s misery
I don’t wanna holiday in the sun
I wanna go to the new Belsen
I wanna see some history
'Cause now I got a reasonable economy
他人の不幸を眺めるつまらねぇ休日
晴れた休日なんて要らねえぜ
俺は新しいベルゼンへ行きてぇのさ
歴史ってヤツを目の当たりにするんだ
俺には合理的な経済ってのがあるからな
・Belsen ベルゼン。ベルゼン村にはナチスドイツのベルゲン・ベルゼン強制収容所が存在しました。なお、ピストルズは『Belsen was Gas』(邦題:ベルゼンの毒ガス室)という曲も残しています。
・reasonable economy 「金も十分あるし」という意味と「資本主義国家にいる自分」のダブルミーニングと思われます。
Oh, now I got a reason, now I got a reason
Now I got a reason and I’m still waiting
Now I got a reason, now I got a reason to be waiting
The Berlin Wall
理由ができた、理由ができたぜ
理由ができたから待ってんだ
理由ができたぜ、待ってる理由ができたぜ
ベルリンの壁でな
In Sensurround sound in a two inch wall
I was waiting for the communist call
I didn’t ask for sunshine and I got World War III
I’m looking over the wall and they’re looking at me
2インチの壁から伝わる臨場感たっぷりのサウンド
その中から共産主義者の呼びかけを待っていた
陽の光なんてお呼びじゃねえ、第三次世界大戦があるんだ
壁の向こうを見渡せば、奴らも俺を見てやがる
・sensurround センサラウンド。SenseとSurroundを合わせた造語で、1970年代の一部の映画で使われた臨場感のある音響効果。
・communist 共産主義者、共産党員
Now I got a reason, now I got a reason
Now I got a reason and I’m still waiting
Now I got a reason, now I got a reason to be waiting
The Berlin Wall
理由ができた、理由ができたぜ
理由ができたから待ってんだ
理由ができたぜ、待ってる理由ができたぜ
ベルリンの壁でな
They’re staring all night and they’re staring all day
I had no reason to be here at all
And now I got a reason, it’s no real reason
And I’m waiting at Berlin Wall
奴らときたら夜も昼も睨みをきかせる
俺がここにいる理由なんてねえんだ
理由ができた、特に意味はねえ
そんで俺はベルリンの壁で待ってんだ
I gotta go over the Berlin Wall
I don’t understand this bit at all
I’m gonna go over and over the Berlin wall
I gotta go over the Berlin Wall
I’m gonna go over the Berlin wall
ベルリンの壁を越えなきゃな
俺にはよくわかんねぇけど
ベルリンの壁を越えてやるのさ
ベルリンの壁を越えなきゃな
ベルリンの壁を越えてやるのさ
・gotta (=have got to)しなければならない
Claustrophobia, there’s too much paranoia
There’s too many closets I went in before
And now I got a reason, it’s no real reason to be waiting
At Berlin Wall
閉所恐怖症だの、偏執症だのがわんさかいるぜ
以前隠れた小部屋もたくさんだ
理由ができた、特に意味はねえけど待ってんだよ
ベルリンの壁でな
・claustrophobia 閉所恐怖症
・paranoia パラノイア、偏執病、被害妄想
・closet クローゼット、押し入れ、小部屋
I gotta go over the wall
I don’t understand this bit at all
This third rate B-movie show
Cheap dialogue, cheap essential scenery
I gotta go over the wall
I wanna go over the Berlin Wall
Before me, come over the Berlin Wall
壁を越えなきゃな
俺にはよくわかんねぇけど
三流のB級映画かよ
安っぽいセリフに、安っぽいお決まりのシーン
壁を越えるんだ
ベルリンの壁を越えてぇんだ
俺の前に立ちはだかる、ベルリンの壁をやってやる
・third rate 3流の
・essential 必須の、欠く事のできない
・scenery 風景、舞台面、背景
I don’t understand this bit at all
I gotta go over the wall
I wanna go over the Berlin Wall
I gotta go over the Berlin Wall
Before me, come over the Berlin Wall
I don’t understand this bit at all
Please don’t be waiting for me
俺にはよくわかんねぇけど
ベルリンの壁を越えなきゃな
ベルリンの壁を越えてぇのさ
ベルリンの壁を越えるんだ
俺の前に立ちはだかる、ベルリンの壁をやってやる
よくわかんねぇけど
いつまでも俺を待たせねぇでくれよな
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収録アルバム
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Never Mind The Bollocks, Here’s The Sex Pistols(邦題:勝手にしやがれ!! 1977年)
パンクの名盤として語り継がれるピストルズ唯一のオリジナルアルバム。全英アルバムチャート1位獲得。有名プロデューサー クリス・トーマス(ピンク・フロイド等を手掛けた) による音作りは当時の他のパンクバンドとは一線を画す完成度の高いものです。
作曲と作詞のメインはベーシストのグレン・マトロックが担当しており、彼はレコーディング直前に脱退、後任にシド・ヴィシャスが加入しています(まともに演奏できない彼の代わりにベースを弾いたのはギターのスティーブ・ジョーンズ)。
ちなみに「ボロックス」とはキン〇マという意味で、畜生、クソという意味でも使われます(Never Mind The Bollocks=下らねえことは気にするな)。
2012年には35周年記念のボックスがリリースされました(上のリンクはそちらに飛びます)。
Kiss This(1992年)
ピストルズのベストアルバム。唯一のオリジナルアルバム「勝手にしやがれ!!」の全曲に、シドの『My Way』等が追加された全20曲。オリジナルアルバムにこだわらなければ、このベスト盤が一番いいと思います。