アニメ「リスナーズ」元ネタまとめ(全話分)
アニメ『LISTENERS リスナーズ』の元ネタをまとめています。
※アニメの画像は「リスナーズの公式ホームページ」から引用させていただいております
TRACK05「ビートに抱かれて」(When Doves Cry)
“殿下"ことアメリカのミュージシャン プリンスの回です。プリンス自体が"1つのジャンル"と言えるほど、幅広い音楽性を持ったアーティストです。
元ネタ探しは私にとってかなり勉強になりました。抜けが多いかもしれませんが、見つけられる分だけまとめました。
元ネタ:プリンスの曲『ビートに抱かれて』(原題:When Doves Cry) です。全世界で1,600万枚以上を売ったと言われるプリンス最大のヒットアルバム「パープル・レイン」のリードシングルです。
ただ、イメージの絵はアルバム「Around The World In A Day」に近い感じがします。
アラウンド・ザ・ワールド・イン・ア・デイ(紙ジャケ SHM-CD)
殿下
元ネタ:プリンス
こちらは説明不要かと思います。
プリンスは、レコーディングではほぼすべての楽器を自分で演奏し、作詞・作曲からプロデュースまでこなし、シンガーとしてもパフォーマーとしても超一流、かつ唯一無二の世界観を構築するカリスマ性・アート感覚も持ち合わせた、まさにチート級のアーティストです。
唯一のコンプレックスは、小柄だった事かもしれません(公称では160cmですが、実際はもっと小柄だったと言われています)。
エピソードとして、ハイヒールのブーツを履いていた、使用しているギターは通常サイズより小さい特注品、「パープルレイン」で使われたバイクも実はハーレーではなく、ホンダの400cc(中型) のものを改造したそうです。
ウェンディ&リサ
元ネタ:プリンスのバックバンド ザ・レヴォリューションの女性メンバー ウェンディ・メルヴォワンとリサ・コールマン。
先にメンバーだったリサが、幼馴染のウェンディ(ガールフレンドという説もあり) を誘ったそうです。
WENDY AND LISA ~ SPECIAL EDITION
ザ・レヴォリューション脱退後は、ウェンディ&リサ名義でも音楽活動をしています。
ペイズリー・パーク
元ネタ:プリンスの自宅兼スタジオ「Paisley Park Studio」。
現在はミュージアムとなっており、見学ツアーが組まれているそうです(詳細はペイズリーパークのオフィシャルサイトにて)。
レヴォリューション
元ネタ:プリンスが結成した自身のバックバンド The Revolution。活動期間は1979年~1986年で、その間に多数のメンバーの入れ替わりがありました。
アルバム「Purple Rain」、「Around The World In A Day」、「Parade」はプリンス・アンド・ザ・レヴォリューション名義でリリースされています。
ニュー・パワー・ジェネレーション
元ネタ:1991年にプリンスによって結成されたバックバンド The New Power Generation。単独名義で作品もリリースされ、プリンスの死後は来日公演も行っています。
レイ・マーシャル
元ネタ:アンプで有名なメーカー Marshall。
Marshall Amps M-DSL40CR-U Guitar Combo Amplifier [並行輸入品]
キッド
元ネタ:プリンスの自伝的映画「パープル・レイン」の主人公の名前(プリンスが演じました)。
パープル・レイン ブルーレイ メモリアル・エディション(初回仕様) [Blu-ray]
小ネタ集
バイトの面接官・殿下の世話役
元ネタ:映画監督クエンティン・タランティーノがモデルのようです(Bootlegより)。
プリンスとの繋がりは、後述の映画「ガール6」のようです(タランティーノは自身の役で出演しているようです)。
ガール6
元ネタ:スパイク・リー監督の「ガール6」(1996年公開)。ストーリーは「売れない女優が"電話で性的なサービスをする仕事"をする」というもの。
プリンスがサウンドトラックを担当しました。
また、プリンスがプロデュースしたセクシー・ガールズ・グループに、ヴァニティ6(ヴァニティ脱退後はアポロニア6) というグループがあります。
ちなみにボーイ9の元ネタは無いそうです(bootlegより)
クラブ「ラブセクシー」
元ネタ:1988年にリリースされたアルバム「Lovesexy」。全曲が1つのトラックにまとめられ、頭出しがができない仕様で話題となりました。また、過激なジャケットも物議を醸したそうです。
ファースト・アヴェニュー
元ネタ:ミネソタ州ミネアポリス(プリンスの出身地) にある伝説的なコンサート会場 First Avenue。
前出の映画「パープル・レイン」にも大々的に登場しています。
セブンス・ストリート・エントリー(7th St.Entry) という小規模なライヴハウスが併設されています。
セリフ
殿下「サイン・オー・ザ・タイムス」・・・9作目のスタジオアルバムおよびその表題曲『Sign O’ The Times』。直訳すると"時代の兆し"、"時勢"という感じです。
殿下「ハト達が叫んでいる」・・・サブタイトルにもなっている前出の『ビートに抱かれて』の原題(When Doves Cry)。(「When Doves Cry」の歌詞和訳はコチラ)
客「愛って何時ですか?」・・・(?) プリンスが集めて結成されたバンド The Timeでしょうか? 4枚のアルバムをリリースしており、2ndアルバムのタイトルは「What Time Is It?」、電話番号がタイトルになったヒット曲『777-9311』が収録されています。
キッド「レッツ・ゴー・クレイジー」・・・曲『Let’s Go Crazy』
キッド「どこへ行くのか尋ねてごらん どこへも行かないよって答えるはずさ だって僕らは永住権を手に入れたんだ このペイズリー・パークのね」・・・『Paisley Park』の歌詞。
Ask where they’re going
They’ll tell you nowhere
They’ve taken a lifetime lease
On Paisley Park
ミュージックビデオには「シーソー」も登場します。
キッド「悲しませるつもりも 傷つけるつもりもなかった」
殿下「リーダーが欲しいと君は言う でも決断できずにいる 迷いを捨てたらどうだい 紫の雨の中で微笑んでいる君達を見たいだけだ」・・・『Purple Rain』の歌詞。
ノームの国の地図
元ネタ:イギリスのプログレッシヴロック・バンド イエスの4thアルバム「こわれもの」(1971年 原題:Fragile)。
TRACK06「グッバイ・ブルー・スカイ」(Goodbye Blue Sky)
プログレッシヴ・ロック(通称プログレ) の回です。プログレッシヴ・ロックとは文字通りロックを意識的に進化(=Progressive) させていったジャンルで、1970年代に隆盛を極めました。
進化と言っても、それは演奏面の場合もあれば、アートや観念的な面である場合、技術・機材的な面など様々で、一口にプログレといってもそのサウンドはメタルっぽいものからジャズっぽいもの、テクノやサイケに通じるものなど、様々です。
プログレの中でも、今回はイギリスのバンド ピンク・フロイド(Pink Floyd) に焦点があてられています。
ピンク・フロイドは、音楽的にはプログレの中では保守的な部類になります。しかし、作り込まれた世界観とそれを表現するサウンドの完成度、風刺や哲学的な内容の歌詞やアートワーク、ステージセットも含めた"芸術作品としての強度"は、今なお唯一無二の存在と言えます。
元ネタ:タイトルはピンク・フロイドの曲『Goodbye Blue Sky』です。アルバム「The Wall」の中の1曲です。
(Goodbye Blue Sky の歌詞和訳はコチラ)
また、ミュージックビデオのアニメーションも、今回の序盤の重苦しい雰囲気と通じるものがあります。
タイトルの背景の元ネタは、中央の三角形はアルバム「The Darkside Of The Moon」(邦題:狂気) と思われます。
同作はピンク・フロイド最大のヒット作で(全世界で5,000万枚以上という凄まじいセールス)、"ロックの名盤"的な企画の常連です。
The Dark Side of the Moon [Explicit]
収録曲の1つ『Time』の歌詞和訳。(歌詞もいいのでよければ是非ご覧ください)
“青空"は、ピンク・フロイドのジャケットには空がよく登場している事からだと思われます。
ロズ
元ネタ:ロジャー・ウォーターズ
ピンク・フロイドのベーシスト兼メインソングライターとして、バンドの黄金期(70年代) を主導したメンバーです。
ロズの髪の色がピンクなのも、バンド名からきていると思われます。
ちなみに、ロズの独特の服装はアイヌ民族からインスピレーションを受けたものだそうです(Bootlegより。じん氏が北海道出身、および"プログレ"というジャンルの現在の立ち位置が、アイヌと通じるものがあるとも考えられます)。
ロズの父親は、近年のウォーターズに寄せているような気がします。
また、↑こちらの"握手"はアルバム「Wish You Were Here」(邦題:炎~あなたにここにいてほしい) のジャケットからです。
モア
元ネタ:3rdアルバム「More」。同名の映画の為に作られたサウンドトラックです。
映画の方は、イビサ島を舞台にドラッグで身を堕としていく青年を描いたものだそうですが、音楽の方はトラッドやフォークの雰囲気を持った異色作です。
↑この曲のミュージックビデオは、アニメ本編の裏テーマになっている気がしないでもありません。
ザ・ウォール
元ネタ:アルバム「The Wall」
1979年にリリースした11作のアルバムで、コンセプトを持った2枚組のロック・オペラです。社会的な疎外感を「壁」と表現した作品になっています。
ヒット曲となった『Another Brick In The Wall (Part2)』は、抑圧的な学校教育への反発(僕らに教育は要らない。僕らに思想統制は要らない)が書かれています(Another Brick In The Wall の歌詞和訳)。
↑こちらのビデオの途中で教師に取り上げられる「詩」は、『Money』のものです。(Money の歌詞和訳)
クレイジー・ダイヤモンド
元ネタ:アルバム「Wish You Were Here」の収録曲『Shine On You Crazy Diamond』。
この曲はバンド初期の中心的メンバーで、薬物乱用および精神病でバンドを脱退したシド・バレット(Syd Barrett) に向けて書かれた曲と言われています。
シド・バレットは2枚のソロアルバムをリリースした後、1970年代半ばには完全に隠遁状態となり、2006年に60歳でこの世をさりました。
小ネタ集
浜辺のベッド
元ネタ:アルバム「A Momentary Lapse Of Reason」(邦題:鬱) のジャケット。
ロジャー・ウォーターズ脱退後、ギタリストのデヴィッド・ギルモアを中心とした新生ピンク・フロイドとしてリリースした最初のアルバムです(通算13作目)。
邦題「鬱」が定着していますが、原題を直訳すると"理性の一時的な欠如"(=魔が差す時) となります。
ちなみにこのジャケットを撮影する為、実際に浜辺に700以上のベッドが並べられたそうです。
ピンクの豚の風船
元ネタ:10作目のアルバム「Animals」収録の『Pigs On The Wing』
アルバムのジャケットの左上に"ピンク色の豚の風船"が浮かんでいます。
こちらのジャケットも、実際にロンドンにあるバタシー発電所の上空に、巨大な豚の風船を飛ばして撮影が行われたそうです(ちなみにこの豚は撮影の後行方不明になってしまい、その後農場で発見されたそうです)。
↑実際に豚を飛ばす様子が撮影されたビデオ。
↓「Pig」を某大統領になぞらえた演出がされた2016年のライヴ映像。
アルバムのコンセプトは、イギリスの作家ジョージ・オーウェルの風刺小説「動物農場」からヒントを得たものだそうで、エリートビジネスマンを犬、資本家を豚、労働者を羊になぞらえて社会を批判した作品となっています。(収録曲も、それぞれ『Pigs』の3部作と『Dogs』『Sheep』の計5曲となっています)
ロズの抱えていた動物
元ネタ:4作目のアルバム「Ummagumma」(ウマグマ) 収録の曲『Several Species Of Small Furry Animals Gathered Together In A Cave And Grooving With A Pict』(邦題:毛のふさふさした動物の不思議な歌)。
このアルバムはDisc1がライヴアルバム、Disc2がスタジオアルバムという変則的な2枚組です。
この曲は普通の演奏が行われていない、不思議な鳴き声や何かを叩くような音で構成された実験的な曲です。この元ネタは、Bootlegの(少々わかりずらい)説明を聞いて理解しました。
広場の標識
それぞれ、異なるタイプのプログレッシヴバンドが元ネタとなっています。
・「42nd Treadmill」・・・プログレの代名詞的存在でもあるイギリスのバンド キング・クリムゾンの楽曲『pictures of a city (including 42nd at treadmil)』。
ちなみにTreadmillとは"踏み車"、"単調な仕事"の意味です。
2ndアルバム「ポセイドンの目覚め」に収録されており、この曲はキング・クリムゾンの中ではあまり注目を浴びない曲ですが、名曲『21世紀の精神異常者』と対になる曲のようにも聴こえます。
・「Hatfield & the North」・・・イギリスのプログレッシヴロック・バンド ハットフィールド・アンド・ザ・ノース。プログレの中でも"カンタベリー系“と呼ばれる、ジャズにサイケでポップな感覚をまぶしたサウンドが特徴のバンドの一派です。
プログレに苦手意識がある人にこそ、おススメしたいバンドです。
・「La Dusseldorf」・・・ドイツのプログレッシヴロック・バンド ラ・デュッセルドルフ。ドイツのバンド クラフトワークとノイの元メンバーによって結成されたバンドだそうで、私は今回初めて知りました。
ドイツのバンドは"プログレの世界"でも独特の立ち位置で、ジャーマン・プログレ、クラウト・ロックなどと呼ばれています。テクノやニューウェーブ、ノイズミュージックとのつながりの方が強く、今聴いても斬新なものも少なくありません。
その他
ジミが空中から落ちてくるのは、元ネタとなったジミ・ヘンドリックスが兵役で米軍のパラシュート部隊に所属していた事に由来?(Bootlegより)