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アニメ「リスナーズ」元ネタまとめ(全話分)

2020-04-27テーマ別曲集

アニメ『LISTENERS リスナーズ』の元ネタをまとめています。

※アニメの画像は「リスナーズの公式ホームページ」から引用させていただいております

第1話・第2話の元ネタはこちら

第3話・第4話の元ネタはこちら

第5話・第6話の元ネタはこちら

第8話の元ネタはこちら

第9話・第10話の元ネタはこちら

第11話・イクイップメント・第12話の元ネタはこちら

 

TRACK07「怒りの日」(Problems)

ロンドンパンクというよりは、セックス・ピストルズの回です。ロンドンを舞台に、ストーリーは次回のモッズへと繋がっていくようです。

 

元ネタ:ピストルズ唯一のオリジナルアルバム「Never Mind The Bollocks」(1977年) に収録されている曲『Problems』(邦題:怒りの日) です。(Problems 歌詞和訳はコチラ

 

 

アルバムタイトル「ネヴァー・マインド・ザ・ボロックス」、邦題は「勝手にしやがれ!!」ですが、直訳すると「くだらねぇ事は気にするな」となります。
(ボロックスとは"キ〇タマ"の事で、ここでのニュアンスは"畜生" “くだらねぇ"という感じです)


勝手にしやがれ!!<35周年記念スーパー・デラックス・ボックス>(DVD付)

 

 

ちなみにピストルズと同時期にパンクバンドとしてデビューしたバンド ザ・ジャムポール・ウェラー(8話に登場するトミー・ウォーカーの元ネタ)は、後にモッズ(ネオモッズ) の象徴的存在となります。

※モッズとは音楽ジャンルではなくイギリス・ロンドン近郊の不良の若者の間で起こったユースカルチャーです

 


イン・ザ・シティ

 

 

ライドとリッチー

 

元ネタ:セックス・ピストルズのメンバー ジョン・ライドンシド・ヴィシャス

 

 

ジョン・ライドン

ジョニー・ロットン(ロットン=腐った)名義で、イギリスのパンクロックバンド セックス・ピストルズ(Sex Pistols) のボーカリストとして活動。


Still a Punk: ジョン・ライドン自伝

1978年のアメリカツアー中、バンドを巡る混乱やトラブルに嫌気がさしピストルズ脱退。

その後はニューウェーブバンド パブリック・イメージ・リミテッド(Public Image Ltd) を結成し、活動しています。

 


パブリック・イメージ(紙ジャケット仕様)

 

1996年にピストルズを再結成、PILも2009年に再結成し何度か来日を果たすなど、精力的に活動しています。

 

 

シド・ヴィシャス(本名:ジョン・サイモン・リッチー

ジョン・ライドンとはファッション専門学校時代からの友人。ピストルズの熱烈なファンでしたが、初代ベーシストのグレン・マトロック脱退後はジョンの推薦で2代目ベーシストとして加入。ちなみにヴィシャスとは"凶悪な"という意味です。


シド・ヴィシャスの全て VICIOUS―TOO FAST TO LIVE…

ピストルズの大半の曲を作曲していたグレンと異なり、シドはバンド加入時点では素人同然だったといいます。レコーディングでもベースの録音はギターのスティーヴ・ジョーンズが演奏していたとか。

 

シドは重度のドラッグ中毒で、ピストルズのグルーピーだった恋人のナンシー・スパンゲンを刺殺(諸説あり)、警察に逮捕、保釈中にオーヴァードーズで21歳の若さで死去しました。
その生き様は"パンクロックの象徴"としてカリスマ化されています。

彼を描いた映画としてはゲイリー・オールドマンが演じた「シド・アンド・ナンシー」が有名です。

 


シド・アンド・ナンシー(字幕版)

 

アニメでリッチーが何度もアタックしている女性は、ナンシーをイメージしたものでしょう(実際のナンシーはシドにドラッグを用意するなど、悪女のイメージが強いです…)。

↓こちらのビデオは後述のマルコム・マクラーレン主導で制作されたピストルズのドキュメント映画「グレイト・ロックンロール・スウィンドル」(素晴らしいロックンロール詐欺) の1シーンです。(Sid ViciousのMy Way 歌詞和訳はコチラ

 


ザ・グレイト・ロックンロール・スウィンドル [DVD]

 

 

町工場の社長

元ネタ:マルコム・マクラーレン。ピストルズのマネージャーにして仕掛け人。ニューヨーク・ドールズのマネージャーを経て、イギリスでパンクロックのムーヴメントを起こす事を画策。セックス・ピストルズによってそれを実行した人物です。


Malcolm McLaren: The Autobiography

 

ニューヨーク・ドールズ。活動当時はキワモノ扱いされていたものの、その破天荒なパフォーマンスは後のパンクロックに多大な影響を与えました。

 


ニューヨーク・ドールズ(紙ジャケット仕様)

 

ピストルズが解散した後は、ニューウェーブバンドのアダム&ジ・アンツバウ・ワウ・ワウなどを手掛けたり、自身のソロアルバムもリリースしています。

独特の海賊ファッションが特徴なアダム&ジ・アンツ

 


PRINCE CHARMING

 

アダム&・ジ・アンツからメンバーを引き抜き、当時14歳のアナベラをフロントマンに据えたバウ・ワウ・ワウ

 


ユア・ボックス・セット・ペット~ザ・コンプリート・レコーディングス1980-1984 (YOUR BOX SET PET ~THE COMPLETE RECORDINGS 1980-1984)

 

自身のソロアルバムではヒップホップ的手法を開拓した作品をリリースし、一部で高い評価を得ました。エミネムやマドンナも彼の作品からサンプリングしています。

 


Duck Rock

 

 

ビビアン

元ネタ:イギリスのファッションデザイナーで、前述のマルコム・マクラーレンの妻 ヴィヴィアン・ウエストウッド


VIVIENNE WESTWOOD ヴィヴィアン・ウエストウッド自伝

 

1971年にマルコムとともにロンドン・キングスロードにてブティック Let It Rock(後にSEXSeditionariesと改名してきます)を開店。

この店の店員や客の中で音楽的才能のあるものを集めて結成されたのがセックス・ピストルズです。

マルコムは話題作りの為にバンドに過激な行動や言動を指示し、ヴィヴィアンはバンドの服をデザインしました。

アニメのライドが着ているジッパーが着いたシャツや、両足が紐で繋がったボンテージパンツも代表的なヴィヴィアンが手掛けたと言われる代表的なパンクファッションです。


正規取扱店 SEDITIONARIES by 666 (セディショナリーズ) ボンデッジトラウザーズ、ボンテージパンツ タータンチェックレッド STP0002

パンクファッションに興味が無い人でも、印象的な"オーブ"のロゴを見たことがある人は多いのではないでしょうか。

 

 

カウンシル部隊

元ネタ:ポール・ウェラーによって結成されたバンド スタイル・カウンシル(The Style Council)。

ちなみにカウンシルとは"評議会" や “会議" という意味です。

サウンドは、パンク通過後のR&Bテイストのポップ、という感じです。
(モッズが愛好していた音楽はアメリカから渡ってきたR&Bやソウルミュージック、スカなので、ポール・ウェラーのこの方向性は必然的といえます)

 


Shout to the Top: the Collection

 

モッズについては、次回のモッズの回の時に詳しく取り上げさせていただきたいと思います。

 

 

ロンディニウム

元ネタ:ロンドン

イギリスのパンクロックは"ロンドンパンク"と呼ばれるように、ロンドンから発生したムーヴメントでした。

モッズカルチャーも、ロンドン近郊の若者の間から生まれた文化です。

 

 

小ネタ集

セリフ

・ライド「ノー・フューチャー」「ゴッド・セイヴ・ザ・クイーン

元ネタ:ピストルズの2ndシングル『God Save The Queen』より

 

ゴッド・セイヴ・ザ・クイーン」とは"女王陛下万歳“という意味のイギリス国歌と同じタイトルです。

ちなみに歌詞の内容は「女王はヒトじゃない」など、女王や王室を侮辱するものです。ラジオでは放送禁止になりましたが、UKシングルチャートでは最高2位を獲得(実際は1位だったが意図的に操作されたとの話もあります)。

日本で言うと、「君が代」というタイトルの天皇を侮辱する歌をリリースして、オリコンチャート2位になるくらいの衝撃です。

 

・ライド「俺はアンチクライスト

元ネタ:デビューシングル『Anarchy In The UK』の歌詞

I am an Antichrist
I am an anarchist
Don’t know what I want but I know how to get it
I wanna destroy the passersby

 

 

エールビール

作中でライドとリッチーが飲んでいるのはエールビールです。日本ではラガービールが一般的ですが、イギリスではエールビールが主流らしいです。

前出の『God Save The Queen』のミュージックビデオでジョニーが持っているのがエールビールかどうかは不明ですが…。このやる気のない挑発的な感じが、他の気合の入ったパンクバンドとは違い、いかにもジョニーっぽいです。

 

 

個人的な感想

ロンドンパンクとモッズが渦巻くロンドンにニル(グランジ) が参入、という構図が印象的でした。

3つのムーブメントはどれも、「権威や伝統を否定し、アウトサイダーの若者達がカルチャーの担い手となった」という点で共通しています。

どんなに斬新で刺激的だった音楽やムーブメントも、時間の経過とともにその担い手もファンも老化していきます。定期的に若者達がそれらを否定し新しいものを作り上げていく事で、ロックミュージックは延命してきました。今後もそのようなムーヴメントが起こってくれることを期待します。