【ジャンル解説】ミクスチャーロック(Mixture Rock)
音楽ジャンルを歴史と一緒にわかりやすくまとめました。
Mixture Rock:ミクスチャーロックとは何か
始まり:1980年代アメリカ
詳細解説
白人中心のロックに黒人音楽のラップを混ぜるのは、2018年現在はすっかり定着したスタイルだが、人種による音楽の好みやジャンルがはっきり分かれていた80年代には、かなり破天荒なスタイルだったと思われる。
その為、ミクスチャーロックが登場した当初はなかなかヒットする事は無く、本格的な盛り上がりをみせるのは90年代に入ってからとなる。
ミクスチャーロックは服装も特徴的で、ヒップホップのようなオーバーサイズの服または上半身裸、派手なドレッドヘアーにタトゥー、足元はスニーカーというものが多い。これも、アメリカ西海岸のオープンなスタイルや音楽性が服装に反映されていると言える。
ミクスチャーロックを演奏する際の激しい動きに適しており、観客もモッシュやダイブ(クラウドサーフ)など、激しい盛り上がりで反応する事が多い。
ミクスチャーロックは、ラップをするバンドも歌うバンドも両方含まれる。バンドごとにサウンドが異なり、同じバンドでも曲によってメタルをやったりレゲエをやったりと、ごちゃまぜの場合も多い。
その意味では、ハードコアパンクのアルバムの中に突然レゲエの曲が入っているバッド・ブレインズや、白人ラップグループでありながらハードコアパンクの曲もあるビースティー・ボーイズは、ミクスチャーロックの起源だと言える。
90年以降、レッド・ホット・チリ・ペッパーズやレイジ・アゲインスト・ザ・マシーンらが大きなセールスを上げるようになると、90年代以降のオルタナティヴロック(アンダーグラウンドから登場したロック)において、グランジと人気を二分するジャンルとなる。
また、時代を追っていくと前述のバンドに影響を受け「型としてのミクスチャーロック」を演奏するバンドが増えていく。その結果、当初音楽性の多彩さが売りだったミクスチャーロックは、ラップロックやラップメタルというスタイルに落ち着いていく。
日本においてはミクスチャーという言葉自体がラップロックとほぼ同じ意味で使われた節もある。
ミクスチャーロックは日本でしか通用しない言葉だが、ごちゃまぜの音楽性を上手く表現した言葉だと言える。個人的には、安易にラップロックと形容するよりも、その幅広い音楽性に敬意を表してミクスチャーロックという言葉を用いた方がよい気がする。
代表的なアーティスト
・レッド・ホット・チリ・ペッパーズ(Red Hot Chili Peppers 活動期間:1983-)
・フィッシュボーン(Fishbone 活動期間:1979-)
・フェイス・ノー・モア(Faith No More 活動期間:1979-98, 2009-)
・サブライム(Sublime 活動期間:1988-96)
・311(スリー・イレヴン 活動期間:1988-)
・ミスター・バングル(Mr.Bungle 活動期間:1985-2000)
【広い意味でミクスチャーに含まれるアーティスト】
・バッド・ブレインズ(Bad Brains 活動期間:1977-84, 1986-95, 1977-)
・ジェーンス・アディクション(Jane’s Addiction 活動期間:1985-91, 2001-04, 2008-)
・スイサイダル・テンデンシーズ(Suicidal Tendencies 活動期間:1980-)
・コーン(Korn 活動期間:1992-)
・ゼブラヘッド(Zebrahead 活動期間:1996-)
※ラップロック/ラップメタル、ニューメタルに分類されるアーティストはそちらを参照
動画(全部で11作品)
音楽ジャンル解説の目次はコチラ
ミクスチャーロックとは、ハードロック、パンク、メタルなどのロックミュージックに、ファンク、ヒップホップ、レゲエなどの黒人音楽の要素を混ぜ合わせたロックを指す。
日本でのみ使われる言葉で、海外ではラップロック、ファンクメタル、スカパンクなどと音楽性にあわせて細かく区別される事が多い。
ミクスチャーロックの典型的なスタイルは、メタリックな激しいギターに、ファンクやヒップホップのリズムが絡み、歌とラップを交えたボーカルがのる、というものである。しかし、バンドごとにサウンドは異なり、同じバンドでも曲によってメタルをやったりレゲエをやったりと、ごちゃまぜの場合も多い。
ライヴでは、アーティストも観客も、曲に合わせて激しい動きで盛り上がる事が多い。