【ジャンル解説】プログレッシヴロック(Progressive Rock)
音楽ジャンルを歴史と一緒にわかりやすくまとめました。
Progressive Rock:プログレッシヴロックとは何か
始まり:1960年代後半イギリス
詳細解説
ビートルズが始めたといえる”アルバム志向”を推し進め、アルバム1枚で一つの世界観を形成する”コンセプトアルバム”が作られる事が多い。アートワークや歌詞の世界観は浮世離れしたものが多い。
ピンクフロイドのアルバム「狂気(Darkside of the Moon)」やキング・クリムゾン「クリムゾン・キングの宮殿(In the Court of the Crimson King)」、イエス「危機(Close to the Edge)」などはロックの名盤として取り上げられる事も多い。
特にピンクフロイドにおいては、アルバムのセールスが全世界で2億3000万枚を超えるといわれ、破格の成功を手にしている。
1970年頃に”プログレッシヴロック”の名前が定着したという。当時の大学生や中産階級の若者らは、プログレの複雑かつ難解な音楽に魅了されたと言う。
パンクロックやニューウェイヴの登場以降は、名前とは裏腹に懐古主義的なロックとして扱われるようになり、有名どころのバンドを除けば、一部の熱心なファンが聴くものというイメージも定着している。
その一方で、特にヨーロッパではプログレッシブロックの流れを正当に組むバンドが多数登場し、ジャンルの細分化も進んだ。
また、70年代から80年代にかけてはアメリカン・プログレ・ハードと呼ばれるプログレの要素を持ったハードロックバンド(カンサス、ジャーニー、エイジアなど)が現れ、巨大なセールスを獲得する(聴き易い音楽性故に”産業ロック”とも呼ばれた)。
ヘヴィメタルバンドにも影響を与え、技巧的な演奏とヘヴィなサウンドをあわせ持つプログレッシブ・メタルと呼ばれるバンドも登場する(フェイツ・ウォーニングやドリーム・シアターなど)。
その他、オルタナティヴロックバンドのトゥールや、パンクとサルサを融合させたスタイルのマーズヴォルタなどを、21世紀のプログレと呼ぶ声もある(いずれも長尺の曲が多い)。
代表的なアーティスト
【ジャンル成立期のバンド】※5大バンドと呼ばれる
・ピンク・フロイド(Pink Floyd 活動期間:1965-2014)
・キング・クリムゾン(King Crimson 活動期間:1968-1974, 1981-1984, 1994-2011, 2013-)
・イエス(Yes 活動期間:1968-1981, 1983-)
・エマーソン・レイク・パーマー(Emerson, Lake & Palmer 活動期間:1970-1980, 1991-1997, 2010)
・ジェネシス(Genesis 活動期間:1967-1999, 2006-2008)
【後に登場したバンド】
・マグマ(Magma 活動期間:1969-1984, 1996-)
・ジェントル・ジャイアント(Gentle Giant 活動期間:1970-1980)
・バンコ(Banco 活動期間:1969-)
・マリリオン(Marillion 活動期間:1979-)
・四人囃子(よにんばやし 活動期間:1971-1979, 1995-1996,2001-2003, 2008-)
【ハードロック/メタルとプログレの折衷的なバンド】
・ラッシュ(Rush 活動期間:1968-)
・カンサス(Kansas 活動期間:1973-1984, 1985-)
・ドリーム・シアター(Dream Theater 活動期間:1985-)
・アネクドテン(Anekdoten 活動期間:1991-)
・オーペス(Opeth 活動期間:1990-)
【影響下にあるオルタナティヴロックバンド】
・トゥール(Tool 活動期間:1990-)
・マーズ・ヴォルタ(The Mars Volta 活動期間:2001-2012)
動画(全部で17作品)
音楽ジャンル解説の目次はコチラ
プログレッシヴロックとは、クラシック音楽のような壮大さやジャズのような即興演奏、現代音楽のような複雑な演奏やリズムを取り入れたロックミュージックである。プログレッシヴ(Progressive)とは”革新的”を意味する。通称”プログレ”。
60年代末から70年代にかけて革新的な作品が多く生まれ、のちのロックに大きな影響を与えた。インストゥメンタル中心の1曲10分を越えるような長尺の曲も多く、歌詞やアートワークは観念的・幻想的なものが多い。