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<歌詞和訳>Polly – Nirvana 曲の解説と意味も

2022-10-19Nirvana 歌詞和訳[社会] 風刺/抗議

Nirvana – Polly
ニルヴァーナ – ポーリー

 

アメリカのロックバンド ニルヴァーナのメジャーデビュー作となった2ndアルバム「Nevermind」(1991年) に収録されている曲です。

曲が作られたのはそのだいぶ前で、1987年にはカート・コバーンが残したホームデモが残されています。
曲名も「Hitchhiker」(ヒッチハイカー)→「Cracker」(クラッカー)→「Polly」へと変化していったそうです。

 

ニルヴァーナの曲の中でもとりわけダークなテーマを扱った曲であり、歌詞は1987年にワシントン州で起きた14歳少女の誘拐・強姦事件に影響されたものだそうです。(誘拐された少女は、車(キャンピングカーのようなもの?)で連れまわされガソリンスタンドでなんとか脱出。犯人は逮捕されました)

 

歌詞の意味と解釈

タイトルの「ポリー」は、性犯罪者に捕らわれている(被害者の)女性の名前です。
(上記の事件の被害者の名前をもじったものとも、別のレイプ事件の被害者の名前とも言われています)

また、印象的な歌いだしのフレーズ「Polly wants a cracker」(ポリーはクラッカーを欲しがる)というのは、"オウム"に言葉を教える際に使われている常套句だそうです。
※「Polly, want a cracker?」(ポリー、クラッカー欲しい?)の問いかけに対し、オウムが「Polly want a cracker」と返事をする、というもので、古くは1840年代の新聞のマンガにも描かれているそうです(下で引用しているイラストがそちらです)。

English Language Usageより

※ちなみにこちらのイラストは、食べ物のクラッカーと、鞭を打つ(crack)人とをかけているジョークのようです。(crackerという言葉自体が白人に対する蔑称(差別表現)でもあります)

 

この曲を「ペットの鳥を虐待している歌」だと勘違いした英語ネイティブの人もいるそうです。

 

歌詞は加害者の視点で書かれていますが、これはカートの「性暴力への嫌悪感」からきているもので、このような酷いテーマを扱うことでリスナーにも自分と同様の嫌悪感を抱かせようとするもの、と思われます(それが思惑通りリスナーに共有されたか、はともかく)

なお、ニルヴァーナは1993年に性被害者支援のために「Rock Against Rape」というコンサートを開催するなどしています。

 

また、一説には(カートの発言?によると)、歌詞のポリーは犯人を殺害し脱出に成功した、という事になっているそうです。

 

歌詞と和訳

Written by Kurt Cobain

Polly wants a cracker
I think I should get off her first
I think she wants some water
To put out the blow torch

「ポリー、クラッカーが欲しいか?」
まずはやっちまうか
水が欲しいみたいだな
バーナーの火を消すための

 

get off 降ろす、離す、解放される、性交する、喜ばせる
blow torch トーチランプ、ガスバーナー (実際の誘拐事件で、犯人が少女を痛めつける際にガスバーナーが使われていたそうです)

 

Isn’t me, have a seed
Let me clip dirty wings
Let me take a ride, cut yourself
Want some help, please myself
Got some rope, haven’t told
Promise you, have been true
Let me take a ride, cut yourself
Want some help, please myself

俺じゃない、種を喰えよ
汚れた翼を、切り取ってやる
やらせろよ、自分で切ってみろ
助けてほしいか? 楽しませてもらおうか

ロープもある、言っただろ
脅しじゃない、ずっと本気だ
やらせろよ、自分で切ってみろ
助けてほしいか? 楽しませてもらおうか

 

seed 種 ※ここでは"精子"と"オウムの餌のタネ"のダブルミーニングになっているようです。
take a ride 乗る

 

Polly wants a cracker
Maybe she would like some food
She asked me to untie her
A chase would be nice for a few

「ポリー、クラッカーが欲しいか?」
まだ食べ物が欲しいんだろう
ほどいてくれと、彼女は乞う
2人で追いかけっこも悪くない

 

chase 追う、追いかける、狩り、
a few 少数の、2,3の、いくつかの

 

Isn’t me, have a seed
Let me clip dirty wings
Let me take a ride, cut yourself
Want some help, please myself
Got some rope, haven’t told
Promise you, have been true
Let me take a ride, cut yourself
Want some help, please myself

俺じゃない、種を喰えよ
汚れた翼を、切り取ってやる
やらせろよ、自分で切ってみろ
助けてほしいか? 楽しませてもらおうか

ロープもある、言っただろ
脅しじゃない、ずっと本気だ
やらせろよ、自分で切ってみろ
助けてほしいか? 楽しませてもらおうか

 

Polly said
Polly says her back hurts
She’s just as bored as me
She caught me off my guard
Amazes me, the will of instinct

ポリーは言った
背中が痛いと
俺と同じくらい、退屈してると。
不意を突かれたぜ
驚いた、生存本能ってやつか

 

catch me off guard 不意をつかれた、びっくりした (直訳すると"警戒していなかった私を捕まえた")
will ~するつもりである、意志の力、願望、決定する
instinct 本能、直感

 

Isn’t me, have a seed
Let me clip dirty wings
Let me take a ride, cut yourself
Want some help, please myself
Got some rope, haven’t told
Promise you, have been true
Let me take a ride, cut yourself
Want some help, please myself

俺じゃない、種を喰えよ
汚れた翼を、切り取ってやる
やらせろよ、自分で切ってみろ
助けてほしいか? 楽しませてもらおうか

ロープもある、言っただろ
脅しじゃない、ずっと本気だ
やらせろよ、自分で切ってみろ
助けてほしいか? 楽しませてもらおうか

 

 

収録アルバム

アルバムジャケットを押すとアマゾンのページへ移動します。

Nevermind(1991年)

メジャーデビュー作となる2ndアルバム。全世界で3,000万枚以上のセールスを記録。メインストリームのロックの空気を「煌びやかな80年代」から「シリアスで退廃的な90年代」へと変えてしまった作品と言えます。