<歌詞和訳>The Queen Is Dead – The Smiths 曲の解説と意味も
The Smiths – The Queen Is Dead
ザ・スミス – ザ・クイーン・イズ・デッド
弱者の視点に立った歌詞が若者を中心に熱狂的に支持された、イギリスのロックバンド ザ・スミスの3rdアルバム「The Queen Is Dead」の表題曲です。
歌詞の意味と和訳
「クイーン・イズ・デッド」(女王の死) は、文字通り英国王室や英国の古いしきたりを批判した内容の曲です。
しかし、歌詞は滑稽でユーモラスなものとなっており、辛辣さの中に笑いをにじませる余裕を感じます。
その点、前作の表題曲『Meat Is Murder』などと比べると、モリッシーの詞がシリアスからユーモアの方に寄ってきているのがわかります(その傾向はアルバム全体にあります)。
歌詞と和訳
Written by Morrissey, Johnny Marr, Bennett Scott, Fred Godfrey & A.J. Mills
<"Take Me Back To Dear Old Blighty"より>
Oh! Take me back to dear old Blighty
Put me on the train for London Town
Take me anywhere
Drop me anywhere
Liverpool, Leeds or Birmingham
But I don’t care
I should like to see
あぁ! 私を古き良きイギリスへ連れ戻しておくれ
ロンドン行きの列車に乗せておくれ、
どこにでも連れて行って
どこにでも降ろして
リヴァプール、リーズ、バーミンガム、
どこだっていいよ
見せておくれ
・take me back to dear old blighty 1916年に作られ、イギリスのミュージックホールで流行した曲だそうです。歌詞の内容は「第一次世界大戦中の兵士が祖国への帰郷を夢見る歌」のようです。(詳細は和訳のあとに掲載しました)
I don’t bless them
Farewell to this land’s cheerless marshes
Hemmed in like a boar between archers
Her very Lowness with her head in a sling
I’m truly sorry but it sounds like a wonderful thing
奴らなんか称えない
この国の陰気な沼地とはおさらば
アーチに挟まったオス豚のように身動き不能
首吊り状態の最低女王
大変失礼致しました、でもぴったりな響きでしょう
・farewell お別れ、さよなら
・Her very Lowness Her Highness(女王陛下) がもとになっており、Highnessに対して"Very Lowness"と侮辱しているようです。
I say Charles don’t you ever crave
To appear on the front of the Daily Mail
Dressed in your mother’s bridal veil?
僕はチャールズに言ってやった、
「お母さんのブライダル・ベールを被って
デイリー・メイル紙の一面を飾りたくてたまらなったりしないの?」
・Charles チャールズ。英国のチャールズ皇太子と思われます。
・crave 切望する、欲する
・The Daily Mail デイリー・メール。1896年創刊のイギリスのタブロイド紙。
And so I checked all the registered historical facts
And I was shocked into shame to discover
How I’m the 18th pale descendent
Of some old queen or other
そして僕は記録にあるすべての歴史的事実ってやつを調べた。
自分がどこかの古臭い女王か何かの
十八番目の末裔だと知って
恥ずかしさのあまり大変なショックを受けたよ
・descendant 子孫、末裔
Oh has the world changed, or have I changed?
Oh has the world changed, or have I changed?
Some nine year old tough who peddles drugs
I swear to God, I swear I never even knew what drugs were
世界が変わったの? それとも僕が変わったの?
世界が変わったの? それとも僕が変わったの?
9歳の子供がドラッグを売り歩くだなんて。
誓って言うけど、僕はドラッグがどんなものか、知りもしなかった
・peddle 売り歩く、行商する、ばらまく
So I broke into the Palace
With a sponge and a rusty spanner
She said: “Eh, I know you, and you cannot sing"
I said: “That’s nothing – you should hear me play piano"
だから僕はスポンジと錆びたスパナを持って
宮殿に侵入した
女王陛下が言った「あら、あなたを知ってるわ、あなたが歌えないって事も」
僕は言った「そんなのどうだっていいから、僕のピアノを聴いてくださいよ」
・I broke into the palace 宮殿へ押し入る。
1982年に、酔っ払った男がバッキンガム宮殿に侵入し、エリザベス女王と会話してしまうという事件があったそうです(詳細は和訳のあとに掲載しています)。
手に持った「スポンジと錆びたスパナ」や、その後の会話の内容の意味するところは不明ですが、王室警護のずさんさや、この事件の顛末のしょうもなさをコントのように描いているものと思われます。
・eh え? でしょう?
We can go for a walk where it’s quiet and dry
And talk about precious things
But when you are tied to your mother’s apron
No-one talks about castration
僕らは静かでカラっとした場所へ出かけることもできるし
大切なことについて話すこともできる
でも君が母親の言いなりになっているから
去勢の話題は誰も口しないのさ
・be tied to one’s mother’s appron (strings) 「母のエプロンの紐に縛られる」→「母の言いなりになる」
・castration 去勢、骨抜き
We can go for a walk where it’s quiet and dry
And talk about precious things
Like love and law and poverty
(These are the things that kill me)
僕らは静かでカラっとした場所へ出かけることもできるし
大切なことについて話すこともできる
例えば愛や法律や貧困について
(あぁ、それは僕には禁句だった)
We can go for a walk where it’s quiet and dry
And talk about precious things
But the rain that flattens my hair
(These are the things that kill me)
All their lies about makeup and long hair, are still there
僕らは静かでカラっとした場所へ出かけることもできるし
大切なことについて話すこともできる
「でも雨が私の髪を台無しにしてしまう」
(あぁ、それは僕には禁句だった)
嘘っぱちのメイクやロングへアは、平気みたいだね
Past the pub that saps your body
And the church who’ll snatch your money
The Queen is dead, boys
And it’s so lonely on a limb
今まではパブが君の体を弱らせた
今度は教会が金を奪おうとする
女王陛下は死んだんだ、みんな
誰からも守られず、憐れな最期
・on a limb 危険な状態で、孤立して
Pass the pub that wrecks your body
And the church, all they want is your money
The Queen is dead, boys
And it’s so lonely on a limb
パブを通れば君の体を蝕ばまれる
今度は教会が君の財産を狙ってる
女王は死んだんだ、みんな
誰からも守られず、憐れな最期
Life is very long, when you’re lonely
Life is very long, when you’re lonely
Life is very long, when you’re lonely
Life is very long, when you’re lonely
人生はとても長い、一人きりだとね
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言葉の意味・解説
・take me back to dear old blighty(曲冒頭の楽曲) 1916年に作られ、ミュージックホールで流行した曲だそうです。内容は「第一次世界大戦中の兵士が祖国への帰郷を夢見る歌」となっているそうです。ちなみに、Blightyは「Britain」(イギリス) のスラングです。
曲の冒頭で使われているのは、イギリスのドラマ『The L-Shaped Room』(L型の部屋 1962年)からのサンプリングのようです。歌は下の動画の2:01頃から始まります。
・I broke into the palace 宮殿へ押し入る。
1982年に、酔っ払った男がバッキンガム宮殿に侵入し、飲み食いしたあげく寝室のエリザベス女王と会話してしまうという事件があったそうです。その男はマイケル・ファーガン(Michael Fagan)という人物で、薬物中毒やアルコール中毒でたびたび刑務所や精神病院のお世話になっているようです。
事件の詳細についてはこちらのブログ(日本語)https://ameblo.jp/audrey-beautytips/entry-11349422548.html や ウィキペディア(英語版)https://en.wikipedia.org/wiki/Michael_Fagan_incident で確認できます。
収録アルバム
アルバムジャケットを押すとアマゾンのページへ移動します。
The Queen Is Dead (1986年)
ザ・スミスの最高傑作と呼ばれる事が多い3rdアルバム。イギリスNME誌の「All Time Greatest Album500」では1位に輝いています。モリッシーの詞も、サウンドもバラエティ豊かで、バンドサウンドの迫力も従来より増しています。
2017年に3CD+1DVDのDeluxe Editionがリリースされました。
The Sound Of The Smiths(2008年)
オリジナルアルバム4枚に対し、コンピレーションはこちらを含め計8枚出ているザ・スミス。こちらは全キャリアから代表曲を網羅した決定盤といえる内容(メンバーの写真がジャケットになるのは初)。さらに、Disc2にはレアなカップリング曲『Jeane』やライヴバージョンなど、コアなファンにも訴えかける内容となっています。
濃密なディスクガイドです
1983年から2010年までのインタビュー集