<歌詞和訳>Ultraviolence – Lana Del Rey 曲の解説と意味も
Lana Del Rey – Ultraviolence
ラナ・デル・レイ – ウルトラヴァイオレンス
アメリカのシンガーソングライター ラナ・デル・レイの3rdアルバム「Ultraviolence」の表題曲です。
同アルバムの3枚目のシングルとして、2014年7月にリリースされました。
歌詞の意味と解釈
タイトルの「ウルトラヴァイオレンス」は、1962年に出版されたディストピア小説「時計じかけのオレンジ」(A Clockwork Orange 後にスタンリー・キュービック監督によって映画化) に登場する言葉からきているそうです。
歌詞の内容は、一言で言えばDV(ドメスティック・ヴァイオレンス) なのですが、受け手が「暴力を愛情だと感じてしまう」というところに、怖さと生々しさを感じます。
歌詞の一部はラナ・デル・レイの実体験(暴力的でカリスマ的なリーダーがいるカルトグループに所属していた過去)が元になっているそうです。
歌詞と和訳
Written by Lana Del Rey & Dan Heath
He used to call me DN
That stood for Deadly Nightshade
'Cause I was filled with poison
But blessed with beauty and rage
Jim told me that, he hit me and it felt like a kiss
Jim brought me back, reminded me of when we were kids
彼は私を “D.N." と呼んでいた
それは “ベラドンナ"(毒のある花) って意味。
私は毒に満ちているけど
美貌と激情を授かっているって
ジムが教えてくれたの。彼が殴るとキスみたいな味がする。
ジムが記憶を呼び戻す、子供の頃の記憶を
・stand for ~を表す、賛成する、我慢する
・deadly nightshade ベラドンナ。くすんだ紫色の花を咲かせ、猛毒のあるブルーベリーのような実をつける。また、ベラドンナ(Bella donna)はイタリア語で美しい女性を意味し、両方の意味とかけていると思われます。
発芽SEEDS:100種 – ベラドンナ(デッドリーナイトシェード) – W/TRACKING
・blessed with 授かる、恵まれた
With his ultraviolence
Ultraviolence
Ultraviolence
Ultraviolence
I can hear sirens, sirens
He hit me and it felt like a kiss
I can hear violins, violins
Give me all of that ultraviolence
彼の “ウルトラヴァイオレンス" で。
ウルトラヴァイオレンス
ウルトラヴァイオレンス
ウルトラヴァイオレンス
サイレンが、サイレンが聴こえる
彼が殴る、それはキスみたいなの
ヴァイオリンの、ヴァイオリンの音が聴こえる。
私に全部ちょうだい、ウルトラヴァイオレンスを
He used to call me poison
Like I was Poison Ivy
I could have died right there
'Cause he was right beside me
Jim raised me up, he hurt me but it felt like true love
Jim taught me that, loving him was never enough
彼は私をポイズンと呼んでた
“ポイズン・アイヴィー" みたいに。
彼がすぐそばにいてくれたから
私はいつ死んでもよかったの。
ジムは私を助けてくれた、そして私を傷つけた、でもそれが真実の愛なの。
ジムは私に教えたわ、いくら彼を愛しても、愛し足りないって
・poison ivy ポイズン・アイヴィー。ツタウルシ。触れるとかぶれを引き起こす。
また、「バットマン」シリーズに登場する悪役の名前でもあります。
コトブキヤ POISON IVY DC COMICS美少女 ポイズン・アイビー 1/7スケール PVC塗装済み完成品
・raise me up よい影響を与えてる、元気づける
With his ultraviolence
Ultraviolence
Ultraviolence
Ultraviolence
I can hear sirens, sirens
He hit me and it felt like a kiss
I can hear violins, violins
Give me all of that ultraviolence
彼の “ウルトラヴァイオレンス" で。
ウルトラヴァイオレンス
ウルトラヴァイオレンス
ウルトラヴァイオレンス
サイレンが、サイレンが聴こえる
彼が殴る、それはキスみたいなの
ヴァイオリンの、ヴァイオリンの音が聴こえる。
私に全部ちょうだい、ウルトラヴァイオレンスを
We could go back to New York
Loving you was really hard
We could go back to Woodstock
Where they don’t know who we are
Heaven is on Earth
I would do anything for you, baby
Blessed is this union
Crying tears of gold like lemonade
ニューヨークに戻る事もできた
あなたを愛するのはとても大変だった。
ウッドストックに戻る事もできた
そこの人達は私たちの事を知らない。
天国はこの地上にあるの。
あなたの為なら何でもするわ、ベイビー
私達の繋がりは祝福されてるの。
流れる涙だってレモネードのように金色に輝いているわ
・Woodstock ウッドストック。ニューヨーク州ウッドストックで開かれたウッドストックフェスティバル(1969年に開催されたカウンターカルチャーを象徴する音楽フェス) の事と思われます。
I love you the first time, I love you the last time
Yo soy la princesa, comprende mis white lines
'Cause I’m your jazz singer and you’re my cult leader
I love you forever, I love you forever
初めての時も、最後の時も、あなたを愛してる
私はプリンセス、私の白い線が分かる?
だって私はあなたのジャズ・シンガー、あなたは私の教祖様
永遠にあなたを愛してる、永遠にね
・white line 白い線。"線上にしたコカイン" と “傷跡" のダブルミーニングと思われます。
With his ultraviolence (Lay me down tonight)
Ultraviolence (In my linen and curls)
Ultraviolence (Lay me down tonight)
Ultraviolence (Riviera Girls)
I can hear sirens, sirens
He hit me and it felt like a kiss
I can hear violins, violins
Give me all of that ultraviolence
彼の “ウルトラヴァイオレンス" で。(今夜私を寝かせて)
ウルトラヴァイオレンス(シーツの上で、丸くなって)
ウルトラヴァイオレンス(今夜私を寝かせて)
ウルトラヴァイオレンス(<あなたの>リビエラガールズよ)
サイレンが、サイレンが聴こえる
彼が殴る、それはキスみたいなの
ヴァイオリンの、ヴァイオリンの音が聴こえる。
私に全部ちょうだい、ウルトラヴァイオレンスを
・riviera girls ラスベガスにあるカジノホテル「リビエラ」のショーダンサーを指しているそうです。リビエラは地中海に面するイタリアの観光地。
収録アルバム
アルバムジャケットを押すとアマゾンのページへ移動します。
Ultraviolence(2014年)
世界的なブレイクを果たした後にリリースされた3rdアルバム。前作よりもさらに内向きな曲調と、エレキギターやドラムなどのロックサウンドが取り入れられた作品です。
解説:ジムとは?
歌詞に登場するジムについてネット上では、アメリカのカルト教祖ジム・ジョーンズ(1931-1978 コミューンで1978年に信者ら918人と集団自殺をした) を元にしているとか、ウイスキーの「ジン・ビーム」の事を指している(ラナのアルコール依存を指摘)という意見があります。
時計じかけのオレンジの超暴力
小説(映画) 「時計じかけのオレンジ」に登場する「ウルトラヴァイオレンス」とは、暴力に快感を見出す主人公たち少年グループが、娯楽として夜に行う無軌道な暴力行為です。
時計じかけのオレンジ 完全版 (ハヤカワepi文庫 ハ 1-1)
歌詞の内容とは直接関係ありませんが、人間の本能的が持つ “闇" の部分という意味では同じテーマを感じさせます。
He Hit Me
また、歌詞にある 「He Hit Me (And It Felt Like a Kiss)」 という印象的なフレーズは、60年代の女性コーラスグループ ザ・クリスタルズの曲から付けられたものです。
ライヴではラナ・デル・レイはこのパートを歌うのを止めています(実体験と照らして歌いたくないという事でしょうか…)。