【ジャンル解説】ロックンロール（Rock ‘n’ Roll）

2018-04-052018-10-28音楽ジャンル辞典

音楽ジャンルを歴史と一緒にわかりやすくまとめました。

 

Rock 'n’ Roll：ロックンロールとは何か

 

始まり：1950年代アメリカ

 

 

 

詳細解説

ロックンロールは、1950年代前半のアメリカで生まれた。ブルースやジャズ、ゴスペルのリズムが強調された”リズム・アンド・ブルース”（R&B）が原型にあり、パーティーのダンスミュージックだったという。エレキギター、エレキベース、ドラムスというバンド編成で演奏される事が多いが、アコースティックギターなどの生楽器やピアノなどの鍵盤楽器、サックスなどの管楽器を加えたものも数多く存在する。

 

　”ロックンロール”という言葉は元々黒人のスラングで「パーティー」や「性交」という意味だと言われる。ロックンロールを音楽のジャンルとして紹介したのは、白人のラジオDJアラン・フリードである。1950年代初頭、アラン・フリードが自身の番組で黒人のR＆Bを”ロックンロール”と呼んで白人の若者に紹介し、ロックンロールという言葉が若者に定着したと言われる。

ROCK 'N’ ROLL DANCE PARTY (VOLUMES 1 & 2)

 

　最初に成功したロックンロールのミュージシャンは、チャック・ベリー、リトル・リチャードら黒人のミュージシャンである。エルヴィス・プレスリーやジェリー・リー・ルイスら白人のロックミュージシャンが登場すると、黒人のR&Bやロックンロールと白人のヒルビリーミュージックが融合する。これをロックンロールと呼ぶ事もあれば、ロカビリー（ロックンロール＋ヒルビリー）と呼ぶこともある。なお、ヒルビリーとは”白人の田舎者”という意味の蔑称でもあり、カントリーミュージックは元々ヒルビリーと呼ばれていた。

　このように、黒人が演奏するR&B、白人が演奏するロカビリー、どちらもロックンロールとの区別は曖昧である。特に日本では、1950年代のロックンロールとロカビリーはほぼ同義語として使われていたという。

 

　エルヴィスら白人のミュージシャンが商業的な大成功を収め、ロックンロールはポップミュージックとして広く認知されると同時に、白人の音楽というイメージが定着していく。また、エルヴィスの「腰を振る」などの卑猥なパフォーマンスが、ロックンロールに”反道徳的”なイメージを植え付けたと言う。

 

 

　1950年代末に、ロックンロールは斜陽の時代に入っていく。エルヴィスの兵役、ロックミュージシャンの不祥事や事故死、黒人音楽がルーツのロックンロールを嫌悪する白人中産階級による反対運動などが原因と言われる。また、エルヴィスは60年代は映画俳優業に注力するようになる。

 

　このようにアメリカで廃れていったロックンロールだが、1960年頃のイギリスでは、ロックンロールやブルースの影響を受けたビートルズやローリング・ストーンズなどのロックバンドが登場する。特に活動後期のビートルズは幅広い音楽的アプローチを行い、ロックンロールの音楽性は複雑・多様化した。その為、ビートルズ登場以前をロックンロールと呼び、それ以降を単にロックと呼ぶ場合もある（ロックンロールとロックの違いを考える際、50年代までのシンプルなコード進行中心の音楽をロックンロール、60年以降の多様な音楽性をロックとする場合が多い）。

 

　ロックンロールは今日のロックの原点であり、”ロックンロール”と呼ぶ場合はこのような1950年代に生まれた音楽を指すことが多いが、区別されずに使われる場合も多い。

 

 

 

代表的なアーティスト

・チャック・ベリー（Chuck Berry 1926-2017）
・リトル・リチャード（Little Richard 1932-）
・ボ・ディドリー（Bo Diddley　1928-）
・ビル・ヘイリー（Bill Haley 1925-1981）
・エルヴィス・プレスリー（Elvis Presley 1935-1977）
・バディ・ホリー（Buddy Holly 1936-1959）
・ジェリー・リー・ルイス（Jerry Lee Lewis 1935-）

※ビートルズなど”ロック”に分類される事が多いアーティストはそちらに掲載

 

 

動画（全部で7作品）

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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