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【ジャンル解説】マスロック(Math Rock)

2018-04-12音楽ジャンル辞典

音楽ジャンルを歴史と一緒にわかりやすくまとめました。

 

Math Rock:マスロックとは何か

 

 

始まり:1990年代後半アメリカ

 マスロックとは、ポストハードコアから派生したロックの1ジャンルである。
 マス(math=数学)の由来は、異なるリズムが同時に進行する”ポリリズム”や、”変拍子”などの変則的なリズムパターンからきている。

 マスロックを定義したのはポストハードコアバンド ドン・キャバレロだと言われる。ギター、ベース、ドラムスのシンプルな編成で、それぞれのパートがまるで別々の曲を演奏しているような複雑さと、スリリングな転調、特殊なエフェクターの使い方など、新しいロックの感覚を生み出した。

 その後、より多彩なサウンドを取り入れたバトルスや、激しいシャウトとメロディをもったフォール・オブ・トロイなどのバンドが登場した。

 

 

詳細解説

 1980年代には、アメリカのアンダーグラウンドシーンで実験的なハードコアバンドが登場していたが、マスロックのサウンドを定義したのは90年代に登場したアメリカのドン・キャバレロだと言われ、マスロックの呼称が定着したのは2000年頃になる。

 

 その複雑さから、プログレッシヴロッククラウトロック、現代音楽の影響下にあるハードコアパンクともいわれる。プログレなどとの違いは、マスロックは実験性を持ちながらも、サウンドの基礎はシンプルなハードコアパンクである点である。

 

 使われる楽器は、エレキギターやベース、ドラムスなど、最小限である事が多い。メロディを口ずさむボーカルも少なく、インストゥルメンタルパートに重きが置かれる。

 また、エッジの立った生々しいノイズサウンドを特徴とするスティーヴ・アルビニ(ビッグ・ブラック等)も、マスロックの起源と言われる。

 

 マスロックの醍醐味は、プログレッシヴロックの激しいパートを繰り返すようなテクニカルな音の応酬、複雑に絡むリズム、ミニマル(少ない音の反復)パートからの緊張感のある転調などである。その為か、アーティスト(音楽の作り手)側に評価が高いジャンルともいわれる。
 マスロックのバンドが商業的に成功した例はほぼ無いが、多くのバンドに影響を与えている。

 

 また、マスロックの職人的な姿勢は日本のバンドとも相性がよく、日本のハードコアバンドや前衛的なバンド、あぶらだこやゼニゲバ、ルインズなどがマスロックとして取り上げられることがある。
 90年以降においてもマスロックを演奏するバンド・アパートやtoe、マスロックとの共通点を感じさせるザゼン・ボーイズ、54-71、凛として時雨、9mm Parabellum Bullet等のバンドが登場した。

 

 

 

代表的なアーティスト

【起源となったマスロックバンド】
バストロ(Bastro 活動期間:1988-93)
スリント(Slint 活動期間:1986-1990, 1992, 2005, 2013-14)
ドン・キャバレロ(don caballero 活動期間:1991-95, 1997-2000, 2003-09)

【マスロックから発展していったバンド】
バトルス(Battles 活動期間:2002-)
フォール・オブ・トロイ(The Fall of Troy 活動期間:2002-10, 2013)
ディス・タウン・ニーズ・ガンズ(This Town Needs Guns 活動期間:2002-)

 

 

動画(全部で7作品)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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