【ジャンル解説】アノラックサウンド(Anorak Sound)
音楽ジャンルを歴史と一緒にわかりやすくまとめました。
Anorak Sound:アノラックサウンドとは何か
始まり:1980年代イギリス
(コロンビア) Columbia サンタアナアノラックジャケット S Emerald Sea
詳細解説
アノラックサウンドはジャンルと呼べるほど大きな括りではなく、実質的にはグラスゴーのヘタウマ系ギターポップバンド パステルズと、同地のインディーレーベル53rd & 3rdレコード所属のアーティスト周辺を指す事が多い。
素朴でポップなサウンドを特徴としており、メンバーの演奏技術が拙い事も多いが、「センスさえよければ歌唱力や演奏技術は二の次」というインディー精神を体現しているとも言える。
このような特徴をもつバンドを、アノラック系と表現することが多い。
一部の愛好家に根強く支持されるジャンルでもあり、ニルヴァーナのカート・コバーンはアノラック系のアーティストを好み、特にヴァセリンズのカバーは有名である。
代表的なアーティスト
・パステルズ(The Pastels 活動期間:1981-)
・BMX バンディッツ(BMX Bandits 活動期間:1986-)
・ヴァセリンズ(The Vaselines 活動期間:1986-89, 1990, 2008-)
【広い意味で含まれるバンド】
・ティーンエイジ・ファンクラブ(Teenage Fanclub 活動期間:1989-)
・ビート・ハプニング(Beat Happening 活動期間:1982-)
・少年ナイフ(Shonen Knife 活動期間:1981-)
・ベル・アンド・セバス・チャン(Belle and Sebastian 活動期間:1996-)
動画(全部で7作品)
音楽ジャンル解説の目次はコチラ
アノラックサウンドとは、1980年代にスコットランドのグラスゴーを中心に登場した、インディーロックバンドの一群と、その音楽的特徴を指す言葉である。
日本で定着した呼称であり、海外ではギターポップやインディーポップ、ジャングルポップ(Jangle Pop=ギターをジャカジャカ鳴らすポップ)と呼ばれる。
アノラックとは登山用の防寒着の事であり、グラスゴーの寒い気候の中でメンバーがよく着ていたと言われる。
しかし、アノラックにはスラングで”オタク”と意味もあり、これは鉄道オタクがアノラックをよく着用していた事に由来するという。偶然かどうか、アノラックサウンドは「オタクのような冴えないファッションのミュージシャン」と言えなくもない。
ギターポップやネオアコのサブジャンル的位置づけで、ローファイにも通じる”ヘタウマ感”、”脱力感”がファンに愛されている。