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<和訳>Arcade Fire – The Suburbs

2018-09-23

Arcade Fireの3作目のアルバム「The Suburbs」(2010年) の表題曲で、同アルバムの1曲目に収録されています。

アルバムはアメリカ・イギリス等の音楽チャートで見事1位を獲得。グラミー賞の年間最優秀アルバム賞を受賞するなど、高い評価を得ました(ちなみに、前作・前々作もノミネートはされました)。

 

Arcade Fire – The Suburbs
アーケイド・ファイア – ザ・サバーブス

 

In the suburbs I
僕は郊外で
I learned to drive
車の運転を習った
And you told me we’d never survive
僕らはこのままじゃいられない、って君は僕に言った
Grab your mother’s keys we’re leaving
君の母さんの<車の>鍵を握りしめ、僕らは旅立つ

You always seemed so sure
君はいつも確信していた
That one day we’d be fighting
In a suburban war
Your part of town against mine
いつか、君の地区と僕の地区との
郊外戦争で
僕らは戦うんだと
I saw you standing on the opposite shore
敵側にいる君を見た

But by the time the first bombs fell
だけど、最初の爆弾が落ちた頃には
We were already bored
僕らはすっかり退屈してた
We were already, already bored
僕らはすっかり、すっかり退屈してたんだ

 

Sometimes I can’t believe it
時々、そんな事が信じられなくなって
I’m moving past the feeling
僕は感情をやり過ごす
Sometimes I can’t believe it
時々、そんな事が信じられなくなって

I’m moving past the feeling again
僕はまた、沸き上がる感情をやり過ごす

 

Kids wanna be so hard
子供は強がりなんだ
But in my dreams we’re still screaming and running through the yard
だけど僕の夢の中じゃ、僕らだってまだ校庭を飛び回っている<子供な>んだ
And all of the walls that they built in the seventies finally fall
70年代に作られた壁がとうとう全部、崩れ落ち
And all of the houses they built in the seventies finally fall
70年代に建てられた家もとうとう全部、崩れ落ちた
Meant nothing at all
なんて事無い話さ
Meant nothing at all
なんて事無い話
It meant nothing
なんて事は無いさ

 

Sometimes I can’t believe it
時々、そんな事が信じられなくなって
I’m moving past the feeling
僕は感情をやり過ごす
Sometimes I can’t believe it
時々、そんな事が信じられなくなって

I’m moving past the feeling and into the night
僕は沸き上がる感情をやり過ごして、夜に入り込んでいく

 

So can you understand?
君はわかるかい?
Why I want a daughter while I’m still young
僕がなぜ若いうちに、娘を欲しがるか
I wanna hold her hand
僕はその娘の手を握って
And show her some beauty
美しいものを見せてあげたいんだ
Before all this damage is done
すべて台無しになる前に

But if it’s too much to ask, it’s too much to ask
Then send me a son
だけどそれが無理な話なら、無理な願いだというのなら
息子でもいい

Under the overpass
In the parking lot we’re still waiting
陸橋の下の駐車場で、
長い事待ち続けている
It’s already passed
もう過ぎた事さ
So move your feet from hot pavement and into the grass
熱い道路を離れ、草原へ進んでいこう
Cause it’s already passed
だってもう過ぎた事だから
It’s already, already passed
それはもう、過ぎた事なんだ

Sometimes I can’t believe it
時々、そんな事が信じられなくなって
I’m moving past the feeling
僕は感情をやり過ごす
Sometimes I can’t believe it
時々、そんな事が信じられなくなって

I’m moving past the feeling again
僕はまた、沸き上がる感情をやり過ごす

I’m moving past the feeling(×2)
感情をやり過ごす

In my dreams we’re still screaming
夢の中で、僕らはまだ騒いでる
We’re still screaming(×2)
僕らはまだ騒いでる

 

Written by Jeremy Gara / Regine Chassagne / Richard R Parry / Tim Kingsbury / William Butler / Win Butler
The Suburbs Lyrics © Sony/ATV Music Publishing LLC

 

言葉の意味・解説

suburbs 郊外、近郊
 なお、歌詞に登場する「suburban war」(郊外戦争)は、そのまま別の曲のタイトルになっています。「子供の戦争ごっこ」的なニュアンスですが、アルバムでは「郊外を脱出した過去の子供達(自分達)が、郊外と向き合う事(=戦争)」というテーマになっていると思われます。
『Suburban War』の歌詞和訳はこちらです。

move past やり過ごす、受け流す

damage is done もう手遅れだ

 

雑記

「Suburbs」(郊外)と聞いて、ピンと来ない人も多いと思われますが、このアルバムの歌詞を楽しむには「郊外の感覚」を知る事が大事だと思います。

とはいえ、アーケイド・ファイア(というかウィン・バトラー)の描く「郊外」について、私もただ想像するしかありません。ですので、以下は私の想像する「Suburbsで描かれる郊外」になります。

郊外とは、ここでは都市部の対称として使われています。田舎と呼ぶほど自然豊かでもなく、都市部との微妙な繋がりが郊外にはあります。先進的で華やかな都市部に比べ、郊外には「退屈・無知・うだつが上がらない」というイメージがあります。

話は少しとびますが、スターウォーズ1作目(エピソード4)の、砂漠の惑星で叔父の農業を手伝うルーク・スカイウォーカーの心境こそ「郊外の若者」の感じだと思います。生活に不自由するわけではないけれど、人生このまま終っていいのだろうか…、そんな気持ちです(ルークは「ワーミ―(芋虫)」と呼ばれるいじめられっ子です)。

一方、場所を日本に置き換えて具体的に「郊外」を考えるならば、「車が無いと生活も仕事も不自由するような」「過疎地域ではない」「人口10万人未満の市町村」となります。そういうエリアは、いわゆる「マイルドヤンキー」が幅を利かせて(もっともイケてる存在で)、郊外で暮らすにはそのマイルドヤンキー的価値観に入っていくか、それとは縁を切って静かに暮らすか、の2択だと思われます(極端に言えば、ですが)。そこでは知識が豊富な人間は異質な存在で、芸術や芸能が称賛される場も用意されていません。
そんなわけで「郊外に自分の求めているものはない。ここから脱出しよう」と考えるルーク・スカイウォーカーのような若者は、都市部を目指します。日本なら4年制大学も専門学校も選ばなければ入学できますし、奨学金も一般的ですので、郊外からの脱出はそれほど難しくありません。
一方、欧米では(大雑把な括りですが)日本に比べると進学は、高いハードルになると思われます。ですから、不本意に郊外に留まった者も、郊外から脱出できた者も、どちらにとっても「郊外」という言葉はいつまでも複雑な響きをもつのだと思います。

この曲の中でも、郊外について、肯定と否定が入り混じった、なんとも言えない(まさに郊外出身者故の)感覚が、表現されていると思われます。