<歌詞和訳>Roll Over Beethoven(ベートーベンをぶっ飛ばせ) – Chuck Berry 曲の解説と意味も
Chuck Berry – Roll Over Beethoven
チャック・ベリー – ロール・オーヴァー・ベートーヴェン(邦題:ベートーベンをぶっ飛ばせ)
ロックの創始者の一人と呼ばれるアメリカのミュージシャン チャック・ベリーが1956年にリリースしたシングル曲です。
ユニークなタイトルの由来は、自宅のピアノを、クラシック音楽を練習していた妹ルーシーに占領されていた事から思いついたそうです。
ビートルズをはじめ、数多くのアーティストにカバーされています。
歌詞の意味と解釈
タイトルにある「ロール・オーバー」とは"転がる“、"転がす“という意味で、タイトルを直訳すると「ベートーヴェンを転がせ」あるいは「ベートーヴェンをひっくり返せ」となります。
(ベートーヴェンは、『運命』や『エリーゼのために』などを作曲した、言わずと知れたドイツの作曲家です)
歌詞は、1950年代のロックンロールらしい(ロックンロールという言葉はそもそも"踊る"と"性交する"のダブルミーニングで使われていた)、軽快なノリを重視したものなので、有名な邦題「ベートーベンをぶっ飛ばせ」も、曲の雰囲気をとらえた良い訳だと思います。
タイトルも歌詞も、ロックンロール黄金時代の到来を予感させます。
歌詞と和訳
Written by Chuck Berry
Well I’mma write a little letter
I’m gonna mail it to my local DJ
Yeah, it’s a jumpin’ little record
I want my jockey to play
Roll over Beethoven
I gotta hear it again today
短い手紙を書いて
地元のDJに送りつけてやる
そう、短くてぶっ飛べるこの曲を
かけて欲しいんだ
「ロール・オーヴァー・ベートーヴェン」
今日もう一度、この曲を聴かなくちゃ
・jockey ジョッキー。ここでは「ラジオDJ(ディスクジョッキー)」を指します
※ここでは、この曲(ロール・オーヴァー・ベートーヴェン)をラジオ局にリクエストしている、と解釈しました
You know my temperature’s risin’
The jukebox blowin’ a fuse
My heart’s beatin’ rhythm
And my soul keep a-singin’ the blues
Roll over Beethoven
Tell Tchaikovsky the news
体が熱くなっている
ジュークボックスは爆発寸前
俺のハートはビートを刻み
俺の魂はブルースを唄う
ベートーヴェンをぶっ飛ばせ
チャイコフスキーにわからせてやれ
・blow a fuse ヒューズを飛ばす、爆発する、怒る
・Tchaikovsky チャイコフスキー(1840-1893)。「白鳥の湖」「くるみ割り人形」などで知られるロシアの作曲家。
I got the rockin’ pneumonia
I need a shot of rhythm and blues
I caught the rollin’ arthritis
Sittin’ down at a rhythm revue
Roll over Beethoven
They rockin’ in two by two
ロック病にかかっちまった
リズム&ブルースのワクチンを打たなくちゃ
ロール症になっちまった
リズムのノリで鎮めるぜ
ベートーヴェンをぶっ飛ばせ
2人一緒にロックするのさ
・pneumonia 肺炎
※『Rockin’ Pneumonia and the Boogie Woogie Flu』という曲にかけているようです
・shot 発射、散弾、試み、写真、注射
・arthritis 関節炎
・revue 時事風刺劇、レビュー、("批評"のreviewとは違います)
・two by two 2つずつ
Well, if you feel and like it
Go get your lover, then reel and rock it
Roll it over then move on up just
A trifle further and reel and rock with one another
Roll over Beethoven
Dig these rhythm and blues
あんたもこいつが気に入ったんなら
恋人を見つけて、一緒に回りな
腰をくねらせ、飛び跳ねろ
もっとイヤらしく、互いに揺さぶれ
ベートーヴェンをぶっ飛ばせ
リズム&ブルースにハマっちまいな
・reel 糸巻き、リール、巻き取る、よろめく、揺れる
・trifle ささいな事、少量、翻弄する、もてあそぶ、浪費する
・dig 掘る、捜し出す、こづく、理解する、好む
Well, early in the mornin’, and I’m givin’ you my warnin’
Don’t you step on my blue suede shoes
Hey, diddle diddle, I’ma play my fiddle
Ain’t got nothing to lose
Roll over Beethoven
And tell Tchaikovsky the news
夜も明けちまった、一つ言っとくが
俺のブルー・スウェード・シューズは踏むなよ
ヘイ、ディドル・ディドル、俺のフィドルを聴きな
無くして困るもんなんて無い
ベートーヴェンをぶっ飛ばせ
チャイコフスキーにわからせてやれ
・blue suede shoes ブルー・スウェード・シューズ
こちらはカール・パーキンソン『Blue Suede Shoes』から(エルヴィスもカバーしています)
・hey diddle diddle ヘイ・ディドル・ディドル(童話で使われている囃子言葉。日本語では"えっさほいさ"等と訳されています)
・fiddle フィドル、フォークやカントリーミュージックで使われるバイオリン、いじる
You know she wiggle like a glow worm
Dance like a spinnin’ top
She got a crazy partner
You oughta see him reel and rock
Long as she got a dime
The music won’t never stop
あの娘はグローワームみたいに体をくねらせて
コマみたいに踊ってる
あの娘のイカれたパートナー
ヤツの踊りも見物だぜ
あの娘のコインが切れない限り
この音楽は鳴り続けるのさ
・wiggle くねくね動かす、小刻みに揺する
・glow worm グローワーム(蛍の幼虫)
・spinning top コマ
・oughta (=ought to) ~すべき
・dime ダイム、10セント硬貨、わずかの金額
おそらくジュークボックスに投入する硬貨を指していると思われますが、スラングで"10ドル分のドラッグ"の意味もあります。
Roll over Beethoven
Roll over Beethoven
Roll over Beethoven
Roll over Beethoven
Roll over Beethoven, dig these rhythm and blues
ベートーヴェンをぶっ飛ばせ
リズム&ブルースにハマっちまいな
収録アルバム
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Best Of Chuck Berry(1984年)
黎明期のロックを代表するギターリフが満載のベスト盤です。
The Beatles/With The Beatles(1963年)
ビートルズの2ndアルバム。既発のシングル曲を収録せず、14曲中6曲がカバー曲という内容です。