<歌詞和訳>Teen Age Riot – Sonic Youth 曲の解説と意味も
Sonic Youth – Teen Age Riot
ソニック・ユース – ティーン・エイジ・ライオット
アメリカのカリスマ的なオルタナ/インディーロックバンド ソニック・ユースの5thアルバム「Daydream Nation」(1988年)に収録されている曲です。
同年にシングルカットされました。
ソニック・ユースの代表曲というだけでなく、80年代~90年代のUSオルタナシーンを表現するマスターピースとして欠かす事のできない名曲です。
歌詞の意味と解釈
「10代の暴動」という意味深かつロックを感じさせるタイトルですが、これは80年代のオルタナ/インディーロックシーンを表している言葉だと思われます。
80年代はMTVに代表される巨大メディアがメインストリームの音楽を席巻し、ロックミュージックもそれに飲まれていた時代です。
そんな時代にあって、「日常に不満を抱えた若者のリアル」を映した音楽であるインディーロックは、スポットライトが当たることなく、細々と活動を続けていました。
しかし、インディーロックのムーブメントは確実にその勢いを強め、90年初頭のニルヴァーナの登場~オルタナ/グランジ革命へと繋がっていきます。
この曲がリリースされた88年はそんな時代の変革が起こる前夜、「インディーロック愛好家(キッズ達)が、"嵐"の予感に胸を躍らせている」そんな時代を表現したのが、この「ティーン・エイジ・ライオット」だと思われます。
なお、この曲はサーストン・ムーアの発言によると「(ダイナソーJrの)J.マスシスが大統領の世界」(J. Mascis for President)を描いたものだそうです。
J.Mascis 後ろのマーシャルアンプの多段積みは歌詞に登場する「Marshall stack」(ロックバンドのライヴではお馴染みの光景)です。
サーストン・ムーアにとって、オルタナロックの時代を切り開くのはJ.マスシスだったようです。(その後、カート・コバーンという、サーストンすら予想していなかった強烈なアイコンが、オルタナロック界に登場しました)
(歌詞のyouやheやitが指すものがあいまいで、場面によって違うものを指していると思われます。その為、多少強引に訳しました)
歌詞と和訳
Written by Steve Shelley, Thurston Moore, Lee Ranaldo & Kim Gordon
<Kim Gordon Spoken>
You’re it
No, you’re it
Hey, you’re really it
You’re it
No I mean it, you’re it
あなたよ
違う、あなたなの
ねえ、絶対あなた
あなたよ
違う、絶対に、あなたなの
Say it
Don’t spray it
Spirit desire (face me)
Spirit desire (don’t displace me)
Spirit desire
We will fallMiss me
Don’t dismiss me
言って
ツバを飛ばさずに
魂の欲望(私に向き合って)
魂の欲望(逸らさないで)
落ちていく
私を寂しがって
私を忘れないで
・say it, don’t spray it スプレーせずに話をしろ(80年代によく使われたフレーズだそうです)
・displace 移す、強制退去させる、解任する、取って代わる
・dismiss 解散(させる)、解任する、追い出す
Spirit desire(×3)
Spirit desire, we will fall
Spirit desire
We will fall
Spirit desire, spirit desire
Spirit desire, we will fall
Spirit desire
We will fall
魂の欲望
魂の欲望、落ちていく
魂の欲望、落ちていく
Everybody’s talking 'bout the stormy weather
And what’s a man to do but work out whether it’s true?Looking for a man with a focus and a temper
Who can open up a map and see between one and two
みんなその嵐の話をしている
でもその嵐が本当なのか、どうやって確認しようか?
待っているのは注目を浴びても平然としてる男
地図を開いて1と2の間を見ている
・work out 算定される、解ける、うまくいく、作り出す
・looking for 探す、期待する、招く
・focus 焦点、ピント、集中させる
・temper 気質、気分、怒りっぽさ、冷静、和やらげる、鍛える
Time to get it
Before you let it get to you
Here he comes now
Stick to your guns and let him through
その時は来た
やられる前にやれ
さあ、彼が来た
信念を曲げず、彼を通すんだ
・get it 理解する、電話に出る
・stick to one’s guns 信念を曲げない、屈服しない
Everybody’s coming from the winter vacation
Taking in the sun in a exaltation to youYou come running in on platform shoes
With Marshall stacks to at least just give us a clue
みんな冬休みから戻って来た
君を讃える太陽を携えて
積み上げたマーシャルアンプと一緒に
君は厚底靴で駆け回る、その姿は僕らにとっての道しるべだ
・exaltation 高揚、高める事、賞賛
・platform shoes 厚底靴
Ah, here it comes
I know it’s someone I knew
Teenage riot in a public station
Gonna fight and tear it up in a hypernation for you
やって来た
見覚えのあるヤツだ
公共放送で流れるティーンエイジ・ライオットが
国を超えた戦いと狂騒を巻き起こす、君の為に
・public station 公営放送局
・hypernation hayper(超越した、興奮した、活発な)・nation(国家)
・tear it up 打ち破る、大騒ぎする
Now I see it
I think I’ll leave it out of the wayNow I come near you
And it’s not clear while you make the way
今、わかった
僕はそれを片付けて
今、君に近づく
君が拓く道は、明らかではない
・out of the way 邪魔にならないように、終わって、処理されて
Looking for a ride to your secret location
Where the kids are setting up a free-speed nation for youGot a foghorn and a drum and a hammer that’s rockin’
And a cord and a pedal and a lock, that’ll do me for now
君の秘密基地を探し回っている
そこではキッズ達が自由速度の国を用意してる、君の為に
ロックなサイレンとドラムとハンマーと、
コードとペダルとカギがあれば、とりあえずいける
・ride to 車で~まで行く
・foghorn フォグホーン、霧笛
・that will do 間に合う、それで十分
It better work out
I hope it works out my way
Cause it’s getting kind of quiet in my city’s head
It takes a teenage riot to get me out of bed right now
上手くいくはず
上手いきますように
街の中心でさえ静まりかえっていくから
僕をベッドから飛び起こすのは、ティーンエイジ・ライオットしかない
・quiet 静かな、穏やかな、変化の無い
You better look it
We’re gonna shake it up to himHe acts the hero
We paint a zero on his hand
見逃すな
僕らは彼に向って体を揺さぶる
彼はまるでヒーロー
僕らは彼の手にゼロの称号を描く
We know it’s down
We know it’s bound too loose
Everybody’s sound is round it
Everybody wants to be proud to choose
So who’s to take the blame for the stormy weather
You’re never gonna stop all the teenage leather and cooze
音は止んでいく
緊張は緩んでしまう
みんなの出す音が円になる
誰もが自分の選択を誇りたい
嵐の責任を負うヤツはいない
ティーンエイジ・レザーとクーズは決して止められない
・bound ~行の、縛られた、束縛された、決意した、バウンド(する・させる)、境界を示す
・take the blame for 責任を負う、罪を着る、
・cooze 膣
It’s time to go round
A one man showdown teach us how to failWe’re off the streets now
And back on the road on the riot trail
一通り過ぎた頃
一人きりのドタバタ劇で得たものは負け方
今、僕らは通りから
暴動の痕跡が残る道路へと戻る
・go round ぐるぐる回る、流行する、行き渡る
・showdown 土壇場、決着の場
・fail 失敗する、落ちる、そこなう、見捨てる
・trail 痕跡、小道、すそ、引きずる、たなびく
・back on 再開している、戻る
収録アルバム
アルバムジャケットを押すとアマゾンのページへ移動します。
Daydream Nation(1988年)
通算5枚目のスタジオアルバム。ソニック・ユースの最高傑作かどうかは人によって意見が分かれるところですが…、オルタナロック史に残る名盤なのは間違いないです。
Screaming Fields Of Sonic Love(2010年)
インディーズ時代のベストアルバムです。1988年発表の『Teen Age Riot』から始まり、時代をさかのぼって1stアルバムの曲で締めるという作りになっています。
Hits Are For Squares(2011年)
著名人の選曲15曲+新曲1曲が収録されたベストアルバム。『Teen Age Riot』を選んだのはパール・ジャムのエディ・ヴェダーでした。
(タイトルは「保守的な人向けのヒット曲集」の意味)