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<歌詞和訳>Schism – Tool 曲の解説と意味も

2021-12-17Tool 歌詞和訳[表現] 詩的/文学的

Tool – Schism
トゥール – スキズム

 

アメリカのオルタナティヴロック/メタルバンド トゥールの3rdアルバム「Lateralus」(2001年)に収録されている曲です

同アルバムの最初のシングルとしてもリリースされ、2002年グラミー賞(メタルパフォーマンス部門)を獲得しました。

また、2005年にDVDシングルという変則的なリリースもされています。

 

この曲は11/8拍子や13/8拍子といった変わったリズムが多用されている曲としても知られ、拍子変更が曲中に47回行われているそうです。

 

 

歌詞の意味と解釈

タイトル「スキズム」とは、"分裂" や “分派" を意味します。

曲の構成と同じく歌詞も難解で、色々な解釈が可能(多義的)なものとなっていますが、根本にあるテーマは「人間関係の分裂と修復」と思われます。

「恋人との関係」といった個人の視点で解釈することもできますが、海外では「宗教(キリスト教)の分派」や「異なる宗教(信念)による対立」という、より広範囲な視点からの解釈が多いようです。

 

また、当時のバンドの状況として、所属レコード会社との裁判(移籍)や、メイナードの別プロジェクト(A Perfect Circle)の進行などがあり、それらを反映したものと解釈することもできそうです(特にA Perfect Circleについては、2つのバンドが並行して進むことを他のメンバーは良く思わなかったそうです)。

さらに、複雑なリズムが分裂と結合を繰り返す曲調もまた「スキズム」を表現していると考えられます。

 

この曲は、難解な歌詞をリスナー側のイマジネーションで補完する側面があると思われるので、あまり意訳せずに訳しました。

 

歌詞と和訳

Written by Justin Chancellor, Adam Jones, Danny Carey & Maynard James Keenan

I know the pieces fit
'Cause I watched them fall away
Mildewed and smoldering
Fundamental differing
Pure intention juxtaposed
Will set two lovers’ souls in motion
Disintegrating as it goes
Testing our communication

その欠片は組み合わさる、
分かれるのを目の当たりにしたのだから。
(その欠片は)カビに覆われ、くすぶり
根本的に違っている。
並列に置かれた純粋な意図は
二人の恋人の魂を揺り動かし
時と共に分断させ
我々の伝達を試している

 

mildewed カビの生えた
smolder (熱や感情が)くすぶる、いぶる、表れる
intention 意図、目的、心構え
juxtapose 並べて置く
disintegration 分解、崩壊、腐敗

 

The light that fueled our fire then
Has burned a hole between us so
We cannot seem to reach an end
Crippling our communication

我々の炎を焚き付けた光は、
我々の間の欠落を燃やす。
我々は終焉に辿り着くことなく
伝達は完全に断たれていく

 

fuel 燃料、薪をくべる、あおる
crippling 壊滅的な打撃を与える、手足を不自由にさせる 

 

I know the pieces fit
'Cause I watched them tumble down
No fault, none to blame
It doesn’t mean I don’t desire
To point the finger, blame the other
Watch the temple topple over
To bring the pieces back together
Rediscover communication

その欠片は組み合わさる、
崩れ落ちるのを目の当たりにしたのだから。
過ちは無い、責める事もない
それは私が、誰かを非難することを望まない
という意味ではない。
倒壊する寺院を目の当たりにし
欠片を元に戻す
そして伝達を再発見する

 

point the finger (at) 指をさす、指摘する、責める、名指しで非難する
topple over 覆る、ひっくり返る、倒れる
rediscover 再発見する

 

The poetry that comes from the squaring off between
And the circling is worth it
Finding beauty in the dissonance

対立の中から生まれる詩と
繰り返す因果にも、価値がある
それは不協和から美を見つけ出す事

 

poetry 詩、美しさ
squaring off 四角に仕切る、身構える、にらみ合う
circle 円、輪、仲間、回転する
dissonance 不協和、不一致

 

There was a time that the pieces fit
But I watched them fall away
Mildewed and smoldering
Strangled by our coveting
I’ve done the math enough to know
The dangers of our second guessing
Doomed to crumble unless we grow
And strengthen our communication

かつて組み合わさっていた欠片、
それが分かれるのを目の当たりにした。
カビに覆われ、くすぶっている
我々は欲望によって首を絞められる
後出しされる危険を知るべく
十分な数学を学んできた
(伝達は)砕け散る運命にある、我々が成長し
伝達を強化しない限り

 

second guessing あれこれ考える、予言する、後知恵で批判する
doomed to ~する(悪い)運命にある
crumble 砕く、砕ける、滅びる

 

Cold silence has a tendency to
Atrophy any sense of compassion
Between supposed brothers
Between supposed lovers

冷たい沈黙は
哀れみの感覚を減退させていく
架空の兄弟達の間で
架空の恋人達の間で

 

tendency to ~する傾向、性癖
atrophy 委縮させる、委縮する、減退
compassion 同情、慈悲、哀れみ
supposed 想定された、~することになっている

 

I know the pieces fit(×8)

その欠片は組み合わさる

 


RONGHUA Tool 別種重金属 Lateralus アルバム Tシャツ ブラック

 

収録アルバム

アルバムジャケットを押すとアマゾンのページへ移動します。

Latelarus(2001年)

3rdアルバム。「ラタララス」という不思議な言葉は、lateral thinking(水平思考)Vastus lateralis(足の外側広筋)を合わせた造語と言われています。
曲はより複雑かつ長尺になっていますが、唯一無二のダークなアート性が確立した作品として、トゥールの最高傑作と言われる事が多い作品です。
ビルボードのアルバムチャートで1位を獲得した他、日本での人気が急上昇したのもこの作品のリリース以降です。