<歌詞和訳>Bigmouth Strikes Again – The Smiths 曲の解説と意味も
The Smiths – Bigmouth Strikes Again
ザ・スミス – ビッグマウス・ストライクス・アゲイン
弱者の視点に立った歌詞が若者を中心に熱狂的に支持された、イギリスのロックバンド ザ・スミスの3rdアルバム「The Queen Is Dead」に収録されている曲です。
同アルバムの先行シングルとして、1986年5月にリリースされました。
ザ・スミスの曲の中でもギターロック色が強い人気の曲で、ジョニー・マーのソロ公演でも演奏されています。
歌詞の意味と解釈
タイトルにある「ビッグマウス」は、日本では大口(自信に満ちた挑発的な発言) という意味で使われますが、欧米では"おしゃべり“、"軽口“を指します。
「ストライクス・アゲイン」は、ここでは"再来“という意味で解釈しました。
言わなくていい余計な一言によって、自分も他人も傷つけてしまう主人公。曲中では自分のそんな"悪癖"を極端に悲観し、悲劇のヒロイン(ジャンヌ・ダルク) に重ね合わせる様子が描かれているようです。
このようなナイーブな感性は、いかにも”モリッシー的”です。
歌詞と和訳
Written by Morrissey & Johnny Marr
Sweetness, sweetness I was only joking
When I said I’d like to smash every tooth
In your head
Oh…sweetness, sweetness, I was only joking
When I said by rights you should be
Bludgeoned in your bed
愛しい人よ、ただの冗談だったんだ
お前の歯を全部叩き折ってやりたいなんて言ったのは
あぁ、愛しい人よ、ただの冗談さ
お前なんてベッドの中でぶん殴られて当然だなんて言ったのは
・by right 当然に、本来なら
・bludgeone 打ち倒す、棍棒、攻撃
And now I know how Joan of Arc felt
Now I know how Joan of Arc felt
As the flames rose to her roman nose
And her Walkman started to melt
今の僕にはジャンヌ・ダルクの気持ちがわかる
ジャンヌ・ダルクがどんな気持ちだったか
炎が彼女の端正な鼻先まで立ち昇り
耳元のウォークマンが溶けだした時の気持ちが
・roman 鼻の高い、ローマの
・Walkman ウォークマン(ポータブル音楽プレイヤー。1980年頃にソニーから発売され、世界中で大ヒットした)
Oh…
Bigmouth, la…bigmouth, la…
Bigmouth strikes again
And I’ve got no right to take my place
With the Human raceOh, bigmouth, la … bigmouth, la
Bigmouth strikes again
And I’ve got no right to take my place
With the Human race
お喋り、お喋り
お喋りをまたやらかした
僕なんて人類の仲間入りする権利すらない
お喋り、お喋り
また余計な言葉が口をついて出る
僕なんて人類の仲間入りする権利すらない
And now I know how Joan of Arc felt
Now I know how Joan of Arc felt
As the flames rose to her roman nose
And her hearing aid started to melt
今の僕にはジャンヌ・ダルクの気持ちがわかる
ジャンヌ・ダルクがどんな気持ちだったか
炎が彼女の端正な鼻先まで立ち昇り
耳元の補聴器が溶けていった時の気持ちが
・hearing aid 補聴器
Oh…
Bigmouth, la…bigmouth, la…
Bigmouth strikes again
And I’ve got no right to take my place
With the Human raceOh, bigmouth, la … bigmouth, la
Bigmouth strikes again
And I’ve got no right to take my place
With the Human race
(×4)
お喋り、お喋り
お喋りをまたやらかした
僕なんて人類の仲間入りする権利すらない
お喋り、お喋り
また余計な言葉が口をついて出る
僕なんて人類の仲間入りする権利すらない
(×4)
言葉の解説
hearing aid(補聴器)について
モリッシーは度々ライヴパフォーマンスで補聴器を身に付けていました。これは耳が不自由なファンから受取った「補聴器をつけているのが恥ずかしい」というファンレターに対し、「補聴器をつけているのなんて恥ずかしくない」というモリッシーのメッセージが表現されたものだそうです。
なんて素晴らしい話…。
雑記
歌詞は、平たく言えば「口は災いの元」というような意味かもしれませんが、「Strikes Again」という大袈裟な言葉選びや、「炎がジャンヌ・ダルクの整った鼻まで立ち昇る」「人類の仲間入りする権利もない」といった強烈なフレーズが、強いインパクトを与えます。
繊細かつ激しいギターフレーズや、間奏のアグレッシヴな展開も聴きどころです。
フジロック2018に出演したジョニー・マーのセットリストにも登場し(歌もジョニー)、一際大きな盛り上がりを見せました。
収録アルバム
アルバムジャケットを押すとアマゾンのページへ移動します。
The Queen Is Dead (1986年)
ザ・スミスの最高傑作と呼ばれる事が多い3rdアルバム。イギリスNME誌の「All Time Greatest Album500」では1位に輝いています。モリッシーの詞も、サウンドもバラエティ豊かで、バンドサウンドの迫力も従来より増しています。
2017年に3CD+1DVDのDeluxe Editionがリリースされました。
The World Won’t Listen (1987年)
コンピレーション「Hatful Of Hollow」(1984年) に続く、スミス中期のシングル+B面を集めたコンピレーション盤。「世界は聴きゃしない」という皮肉と自虐がこもったタイトルも含め、1枚のアルバムとして聴いても統一感があります。
The Sound Of The Smiths(2008年)
オリジナルアルバム4枚に対し、コンピレーションはこちらを含め計8枚出ているザ・スミス。こちらは全キャリアから代表曲を網羅した決定盤といえる内容(メンバーの写真がジャケットになるのは初)。さらに、Disc2にはレアなカップリング曲『Jeane』やライヴバージョンなど、コアなファンにも訴えかける内容となっています。
1983年から2010年までのインタビュー集
ギタリスト・作曲者側から見たザ・スミスの真実