<意味のわかる和訳>Bohemian Rhapsody – Queen 曲の解説も
Queen – Bohemian Rhapsody
クイーン – ボヘミアン・ラプソティ
イギリスのロックバンド クイーンの4thアルバム「A Night at the Opera」(邦題:オペラ座の夜) に収録されている曲です。
同アルバムのリードシングルとして1975年10月にリリースされ、全英シングルチャート9週連続1位など、大ヒットを記録しました。
ロックとオペラを融合したサウンドは圧巻で、フレディ・マーキュリーの伝記映画『ボヘミアン・ラプソディ』のタイトルにもなっている、クイーンの代表曲です。
ボヘミアン・ラプソディ 購入版(字幕版) / 限定オリジナルパッケージ付(要申込), クイーンドキュメンタリー視聴券付
母国イギリスやアメリカでは「史上最高のシングル曲の1つ」として投票やアンケートなどでもたびたび選出されています。
また、20世紀の曲で最もストリーミング再生された曲(2018年時点)にもなっています。
歌詞の意味と解釈
タイトルの「ボヘミアン」とは、芸術家などの ”社会規範に囚われない自由奔放な生活を送る人”を指し、「ラプソディ」とは ”狂詩曲” と訳される ”自由な曲構成と、ストーリー性をもった楽曲” です。
ボヘミアン・ラプソディは普通のロック/ポップの曲と異なり、複数の曲をつなぎ合わせたような複雑な形式をしまいます。
その構成は「アカペラ」→「ピアノ・バラード」→「オペラ」→「ハードロック」→「ピアノバラード」と目まぐるしく変わり、まさに前述の「ラプソディ」そのものと言えます。
そして歌詞については、フレディも他のメンバーも具体的な説明をしておらず、様々な解釈がされています。
歌詞をそのまま読み取ると(ゲーテの「ファウスト」のような)「自分に憑りついた悪魔のせいで人を殺し、裁きを受ける少年の物語」と受け取れます。
一方、想像を膨らませると、これは「フレディ・マーキュリーが葛藤の末に ”本当の自分” を生きる物語」とも解釈できます。
(ゾロアスター教を信仰する厳格な家庭に育ったフレディにとって、自身が同性愛者である事の苦しみは、相当なものだったでしょう)
また、ボヘミアンの語源は ”ボヘミア人” で、彼らの「定住せず」「様々な文化や伝統が入り混じり」「軽蔑や迫害をもろともしない」様子を指して ”ボヘミアン” という言葉が生まれたといいますが、その言葉はフレディ・マーキュリーの生き様にピッタリな言葉と言えます。
ここでは、「フレディが自分の事を歌ったもの」という解釈で、かなり意訳した訳をさせていただきました。
(ちなみに、解釈を挟まない、原詞に忠実な和訳は「公式の和訳付きYou Tube動画」があります↓)
歌詞と和訳
Written by Freddie Mercury
Is this the real life? Is this just fantasy?
Caught in a landslide, no escape from realityOpen your eyes, look up to the skies and see
I’m just a poor boy, I need no sympathy
Because I’m easy come, easy go, little high, little lowAny way the wind blows doesn’t really matter to me, to me
これは現実? それとも幻覚?
土砂崩れに飲まれるように、僕は事実から逃れられない
目を閉じないで、想像して、僕を見て
僕はただの憐れな少年、だけど同情なんて要らない
気ままに生きているからね、いい事もあれば、嫌な事もあるさ
世間の風がどう吹こうと、僕にはどうでもいいのさ、僕には
Mama, just killed a man
Put a gun against his head, pulled my trigger, now he’s deadMama, life had just begun
But now I’ve gone and thrown it all awayMama, ooh, didn’t mean to make you cry
If I’m not back again this time tomorrow
Carry on, carry on as if nothing really matters
ママ、僕はあなたが望むような男になれなかった
頭に銃口を当て、引き金を引いたら、アイツは死んだんだ
ママ、人生は始まったばかりなのに
僕は何もかもダメにしてしまった
ママ、あぁ、あなたを悲しませるつもりはなかったんだ
明日の今頃になって、あなたの知っている僕が帰ってこなくても
今までと変わらず、暮らしていってね、何事もなかったように
・carry on 続ける、進める
Too late, my time has come
Sends shivers down my spine, body’s aching all the timeGoodbye, everybody, I’ve got to go
Gotta leave you all behind and face the truthMama, ooh (Anyway the wind blows)
I don’t wanna die
I sometimes wish I’d never been born at all
もう遅すぎるんだ、自分の気持ちを抑えられない
全身に震えが走る、体中がずっと痛むんだ
さよなら、みんな、自分を偽るのはやめるよ
あなたの期待に背いてしまうけど、僕は本当の気持ちと向き合うよ
ママ、あぁ(世間の風がどう吹こうと)
自分の気持ちを押し殺して、生きていくなんて嫌だ
だから時々考えてしまう、いっそ生まれなきゃよかったって
・send shivers down someone’s spine 背筋をゾッとさせる
(shiver=震える、spine=脊椎)
I see a little silhouetto of a man
Scaramouche, Scaramouche, will you do the Fandango?
Thunderbolt and lightning, very, very frightening me
(Galileo) Galileo, (Galileo) Galileo, Galileo Figaro magnificoBut I’m just a poor boy, nobody loves me
He’s just a poor boy from a poor family
Spare him his life from this monstrosity
一人の小さな男の影が映る
スカラムーシュ、それは道化を演じる僕、お望みならファンダンゴだって踊るのさ
雷のような非難、本当はとても怖いよ
ブライアン、君はまさに天文学者(ガリレオ)、ジョンやロジャーも優れた尊い人(フィガロ、マグニフィコ)
でも僕はただの憐れな少年、誰からも愛されない
「憐れな家庭の憐れな少年よ
奇怪な運命から救ってやろう」
・scaramouche スカラムーシュ。イタリア喜劇で定番の道化役。
・Fandango ファンダンゴ。スペイン起源のダンス(「フィガロの結婚」にも記述されています)。英語では「バカ騒ぎ」の意味でも使われるそうです。
・Galileo ガリレオ・ガリレイ(1564-1642)、イタリアの天文学者
・Figaro フィガロ(モーツァルト作曲のオペラ「フィガロの結婚」、またはピノキオの飼い猫のフィガロ?)
・magnifico <イタリア語>貴族、高官
ガリレオをギタリストのブライアン・メイ(天体物理学博士でもあります)とする解釈は多く見かけます。またフィガロや後の出てくるベルゼブブもクイーンのメンバーを指すという解釈があります。ここでは、ガリレオ、フィガロ、マグニフィコがクイーンのメンバーであるという根拠のない解釈で訳しています
・monstrosity 巨大なもの、奇怪なもの
Easy come, easy go, will you let me go?
Bismillah! No, we will not let you go
(Let him go!) Bismillah! We will not let you go
(Let him go!) Bismillah! We will not let you go
(Let me go) Will not let you go
(Let me go) Will not let you go
(Let me go) Ah
No, no, no, no, no, no, no(Oh, mamma mia, mamma mia) Mamma mia, let me go
Beelzebub has a devil put aside for me, for me, for me!
気ままに生きているだけの、僕を裁きにかけるんだね?
「神に誓って! お前を見逃すことはできない」
(彼を許してやれ)「神に誓って! 許すことはできない」
(僕を許して)「お前を許しはしない」
(僕を許して)あぁ
やめろ、やめろ、やめろ、やめろ
(あぁ、なんてことだ)なんてことだ、僕を助けて
僕の運命はとんでもない悪魔に憑りつかれているんだ、僕の、僕の運命は!
・bismillah ビスミラー。イスラム教で「神の名のもとに」という意味だそうです
・mamma mia <イタリア語>マンマ・ミーア。直訳すると「私の母さん」ですが、「オーマイゴッド」のニュアンスで使われます。
・beelzebub ベルゼブブ(ヘブライ語で ”ハエの王” の意味)、魔王
So you think you can stone me and spit in my eye?
So you think you can love me and leave me to die?Oh, baby, can’t do this to me, baby!
Just gotta get out, just gotta get right outta here!
だからお前<僕>は本当の自分を痛めつけ、侮辱しようとするのか?
本当の自分を押し殺し、それでも自分を愛することができるつもりか?
あぁ、そうだ、そんな事できるはずないさ、愛する君よ!
本心をさらけ出そう、今すぐ本当の自分を生きるんだ!
・stone 石、石を投げつける、石打ちの刑に処す
Nothing really matters, anyone can see
Nothing really matters
Nothing really matters to meAny way the wind blows
ちっともたいしたことじゃない、誰だってわかるようになるさ
ちっともたいしたことじゃない
僕にとってはどうでもいいんだ
世間の風がどう吹こうが
収録アルバム
アルバムジャケットを押すとアマゾンのページへ移動します。
A Night At The Opera(邦題:オペラ座の夜 1975年)
ロックの名盤、クイーンの最高傑作として名の挙がる事が多い4thアルバム。オペラを意識した凝りに凝った作風は唯一無二といえます。
ジャケットは、フレディが考案したメンバーの星座を図案化したものだそうです。
2005年にリマスター+DVDが付属されたオペラ座の夜 (30周年記念スペシャルエディション)がリリースされました。
Greatest Hits(1981年)
クイーンの最初のベストアルバムで、ロックバンドとしてのクイーンらしさが最も出ている時期のアルバムです。日本盤のボーナストラック含め全18曲ですが、一つのアルバムのような統一感があり、作品としてはこのベスト盤が一番かもしれません。
The Platinum Collection(2000年)
3枚の「Greatest Hits」アルバムをセットにした3枚組ボックスセット。クイーンの全キャリア、代表曲をほぼすべて網羅できます。
Jewels(2004年)
日本独自で企画されたベストアルバム。収録曲数は16曲ですが、全キャリアを通じた"有名な曲"がもれなく収録されている為、入門にはこちらがベストだと思います。
Greatest Hits In Japan(2020年)
2019年の来日を記念して企画された日本独自のベストアルバム。ファンの投票による12曲が収録されており、『We Are The Champions』『We Will Rock You』といった有名曲が収録されていない一方で、意外な曲が入っています。