【ジャンル解説】クラウトロック(Kraut Rock)/ジャーマンロック(German Rock)
音楽ジャンルを歴史と一緒にわかりやすくまとめました。
Kraut Rock:クラウトロックとは何か
始まり:1960年代末ドイツ
詳細解説
クラウトロックは、アメリカやイギリスのロックに影響を受けたドイツの若者が生み出したものと言われ、同時期にドイツに上陸したサイケデリックムーヴメントの影響も色濃く受けていると言われる。
なお、クラウトとは、ドイツでよく食べられている”キャベツの漬物”(サワークラウト、すっぱいキャベツ)の事で、ドイツ人を軽蔑して呼ぶ際にも使われる言葉だという。その為、日本では長らくジャーマンロックの名前で広まったというが、クラウトロック自体の評価の広まりとともに、軽蔑的な意味合いは無くなったと言われる。
”エレクトロニック・ダンス・ミュージック界のビートルズ”と呼ばれたクラフトワークを除けば、商業的に成功した例は少ない。
しかし、クラウトロックは、後のニューウェイヴやテクノ、オルタナティヴロック、インダストリアルロック等の形成に多大な影響を与えたと言う。
クラウトロックの特殊性
クラウトロックが他国と違う異形なロックとなった背景には、いくつかの理由が考えられる。
・クラウトロックの担い手の多くはクラシックやジャズ、現代音楽畑のミュージシャンや、音楽素人だった(フォークやブルースの下地が無かった)
・ドイツは第2次世界大戦の敗戦国で、当時は東西に分かれていた。東ドイツ領内に位置する都市ベルリンも、東西に分断されていた(ベルリンの壁)。
ロックに対するリアクションがアメリカやイギリスと全く異なるのが想像できる
クラウトロックは、”ジャーマンプログレ”という呼称でプログレッシブロックに分類させる事も多い。しかし、プログレッシヴロックが技巧的な演奏や西洋音楽や黒人音楽との融合を特徴としているのに比べ、クラウトロックは現代音楽やエレクトロニクスの導入を特徴としている(ただし、両者のファン層は被っている事が多い)。
代表的なアーティスト
・クラフトワーク(Kraftwerk 活動期間:1970-)
・カン(Can 活動期間:1968-79, 1986, 1991)
・ノイ!(Neu! 活動期間:1971-75, 1985-86)
・タンジェリン・ドリーム(Tangerine Dream 活動期間:1967-)
・ファウスト(Faust 活動期間:1971-1975, 1990-)
・アシュ・ラ・テンペル(Ash Ra Tempel 活動期間:1970-)
動画(全部で6作品)
音楽ジャンル解説の目次はコチラ
クラウトロックとは、1960年年代末から1970年代初めにドイツ(当時の西ドイツ)で登場した、前衛的なバンド群およびそのサウンドを指す言葉である。
音楽的な特徴は、長尺で抽象的なサウンド、電子音やシンセサイザーを中心に据えた曲作り、ミニマルミュージック(少ない音の動きが反復する)サウンドなどである。
また、ジャーマンロック、ジャーマンプログレとも呼ばれ、後のテクノミュージックやニューウェイブ、オルタナティブロック等の形成に大きな影響を与えた。