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アニメ「リスナーズ」元ネタまとめ(全話分)

2020-04-27テーマ別曲集

アニメ『LISTENERS リスナーズ』の元ネタをまとめています。

※アニメの画像は「リスナーズの公式ホームページ」から引用させていただいております

第1話・第2話の元ネタはこちら

第3話・第4話の元ネタはこちら

第5話・第6話の元ネタはこちら

第7話の元ネタはこちら

第9話・第10話の元ネタはこちら

第11話・イクイップメント・第12話の元ネタはこちら

 

TRACK08「リアル・ミー」(The real me)

ザ・フーを中心とした60年代のモッズとブリティッシュ・ロックの回です。

特徴的な青・白・赤の円形のマーク。このマークは「ターゲットマーク」と呼ばれ、ザ・フーが用いた事でモッズカルチャーの象徴となりました。

しかし、これはもともと英国空軍「Royal Air Force」のマークです。

なぜザ・フーが英国空軍のマークを使ったのかはわかりませんが、1960年にイギリスの徴兵制が廃止、それを機に都市部の若者達の間でモッズカルチャーが盛り上がった、という時代背景も関係あると思われます(単に人目を引きたかた、という噂も…)。

 

ちなみに、リスナーズの方が円ではなく六角形なのは、そのままでは使用できない事と、アンプのジャックの形を意識したものだそうです(Bootlegより)。
(↓この為に引っ張り出して撮影しました)

 

タイトルの元ネタは、ザ・フーの6作目のアルバム「Quadrophenia」(クアドロフェニア、1973年リリース) (邦題は「四重人格」) の1曲目に収録されている『Real Me』です。(Real Me 歌詞和訳はコチラ

ちなみに、クアドロフェニアは造語だそうで、アルバムの内容は"ロック・オペラ“と呼ばれる、アルバム1枚で1つのストーリーを展開するものとなっています。

 

 

また、この曲はアルバム「Quadropenia」(四重人格) の世界観を基にモッズカルチャーを描いた映画「Quadropenia」(こちらの邦題は「さらば青春の光」) の冒頭にも使われています。


さらば青春の光 [DVD]

 

 

ここで一旦、"モッズ“という言葉について簡単に説明させていただきます。

モッズとは1960年代に、イギリス ロンドン近郊の労働者階級の若者の間で起こったカルチャー(ライフスタイル)です。その核となっているものは、ファッション、パーティー(ダンスする為の音楽)、ドラッグ(主に精神障害の治療などで処方されていたアンフェタミン系の錠剤) です。

ファッションについては、細身に仕立てたスーツ、それを汚さない為に羽織るモッズコート(米軍陸軍のM-51コートの事で、実はモッズパーカーと呼ぶ方が正確です)。ミラーやライトをたくさん取り付けたイタリア製のスクーター(映画の主人公ジミーが乗っているのはランブレッタ。エースはヴェスパ)。前髪を降ろしたヘアスタイル。

↓映画「さらば青春の光」にはそれらすべてが詰め込まれています

 

こういったモッズのファッションは、イギリスの伝統への反発だと見ることができます。
(ちなみにモッズの語源は"モダン・ジャズ"とも"モダニスト"とも言われていますが、両方ともイギリスの伝統の逆をいくものです)

 

モッズが愛聴していたのはアメリカから輸入されたR&Bやモータウン、ジャズやスカ。
例えばジェームス・ブラウンはザ・フーも度々カバーしており、↓の『Night Train』は「さらば青春の光」のサウンドトラックにも収録されています。

 


さらば青春の光オリジナル・サウンドトラック+1(紙ジャケット仕様)

 

徴兵制の廃止によって自由になった若者達がエネルギーを持て余し、ドレスアップしたスクーターを乗り回し、錠剤でハイになってアメリカから輸入された最先端の音楽にあわせて一晩中ダンスパーティーをした、というのがモッズカルチャーの概要です。

※ここでちょっとややこしいのは、モッズの人達が聴いていた音楽(アメリカのR&Bやソウル、ジャマイカのスカ) と、モッズのイメージで登場した人達が演奏した音楽(初期のザ・フーやビートルズ、スモール・フェイセスやキンクス)は、同じではないという事です。

また、70年代後半にはネオモッズ(モッド・リヴァイヴァル)というムーヴメントが起こり、ここではパンクの影響下にあるサウンドがメインになっています。

 

ザ・フーと共にモッズの代表的なバンドとして挙げられるスモール・フェイセスの『シャ・ラ・ラ・ラ・リー』(アニメ第8話の予告に曲名が)

 


スモール・フェイセス+13

 

…と、導入部からかなり長くなってしまい、すみません。

ここからはいつもどおり元ネタを並べていきたいと思います。

 

 

トミー・ウォーカー

元ネタ:トミー・ウォーカーの見た目はロックバンド ザ・ジャムスタイル・カウンシルポール・ウェラー(Paul Weller)です。


The Jam & Paul Weller: Shout to the Top (English Edition)

ポール・ウェラーはリアルタイムのモッズ世代ではありませんが、熱心な"モッズ愛好家"を自認しており、ゴッドファーザーならぬ「モッド・ファーザー」とも呼ばれています。

 

1977年にデビューしたザ・ジャムは、デビュー時はパンクバンドと見なされていましたが、ファッションは完全にモッズスタイルで、サウンドも徐々にモッズ精神を爆発させていきました。

モータウン調のヒット曲『Town Called Malice

 


ザ・ギフト(紙ジャケット仕様)

 

また、トミー・ウォーカーという名前は、ザ・フーのロックオペラアルバム「トミー」の主人公の名前です。


ロック・オペラ「トミー」+17〈デラックス・エディション〉

 

 

サリー・シンプソン

元ネタ:トミー・ウォーカーと同様、ザ・フーの「トミー」の登場人物の名前。

ちなみに、アルバム「トミー」のざっくりとしたあらすじは以下のとおりです。

父の殺人を目撃してしまい、口止めするように強いられたトミーは、トラウマから三重苦に陥ってしまう。
近親者から虐待などを受けつつ成長したトミーはある時、ピンボールの才能を開花させ、"ピンボールの魔術師“と呼ばれるカリスマになる。
また、両親の賢明な努力により、トミーは三重苦から回復を遂げる。
回復したトミーは、カルト教祖となって人々を導いていくが、やがて失敗する。
というストーリーです。

 

アルバムからシングルカットされヒットした『Pinball Wizard』(邦題:ピンボールの魔術師)。

 

 

ロックオペラ「トミー」の中でのサリー・シンプソンは、スター(教祖)となったトミーを熱狂的に崇拝する、ある裕福な家の娘です。アルバムには彼女の事を歌った『Sally Simpson』という曲が収録されています。

 

また、「トミー」はクリスマスのリリースに制作され(実際は遅れましたが)、『クリスマス』というタイトルの曲も収録されています。

 

 

エース元帥

元ネタ:映画「さらば青春の光」に登場する、モッズたちが憧れるモッズ青年エース。

ちなみに、映画でエースを演じているのは当時ザ・ポリスで活動していたスティングです。

 

 


ザ・ヴェリー・ベスト・オブ・スティング&ポリス

 

 

レオ・マーシャル

元ネタ:アンプメーカー Marshallの創業者ジム・マーシャル

1923年にロンドンに生まれたジム・マーシャルは、ミュージシャン、ドラム教室、楽器店の経営を経て1962年に自社製のアンプを開発。
ザ・フーのピート・タウンゼントやジミ・ヘンドリックスらが彼の元を訪れ、"ラウドの父"と呼ばれる存在です。

特に、ピート・タウンゼントは彼に特注品を依頼し、そこから生まれたのが100W マーシャル・スタック(100Wのアンプヘッドに、4×12のスピーカーキャビネットを2つ重ねた3段積みスタイル) だと言われています。
ちなみに、ピート・タウンゼントは最初8×12(12インチのスピーカーを8個搭載したキャビネット)を依頼して作ってもらったものの、重すぎて不便だったため、マーシャルの提案により4×12の2段積みとなったそうです。

 

 

ウォッチタワー

元ネタ:ジミ・ヘンドリックスがカバーしたボブ・ディランの曲『All Along The Watchtower』(邦題「見張塔からずっと」)

 


エクスペリエンス・ヘンドリックス~ベスト

アニメの中でミュウが演じる劇のタイトルも「All Along The Watchtower」です(2人が読んでいる台本のタイトルにそう書かれています)。

 

 

小ネタ集

デュアル・ショーマン(ジミのイクイップメント)

フェンダー社のヴィンテージ ギターアンプ「デュアル・ショーマン・リヴァーブ」(Dual Showman Reverb)。


Fender USA / 1977 Dual Showman Reverb With Basman70 Cabinet

 

劇中のセリフ

ミュウが演じた劇中劇のセリフは、(Bootlegによると)前出のアルバム「四重人格」のライナー(歌詞では無いようです)と、ローリング・ストーンズのアルバム「サタニック・マジェスティーズ」収録曲の歌詞だそうです(Bootlegより)。
(ここでローリング・ストーンズが出てきたのは、「この時代のブリティッシュロックを扱ってローリング・ストーンズが出ないのはなぜ?」となったからだそうです。Bootlegより)

 

・ミュウの劇でのセリフ
「さあ みんなで一緒に歌おう 胸を開けば色んな絵が浮かび上がる
目をつむれば 僕らがどこからやって来たのか きっとわかるんだ」

元ネタ:ローリング・ストーンズ『Sing This All Together

Why don’t we sing this song all together
open our heads, let the pictures come.
And if we close all our eyes together
then we will see where we all come from

 

 

「優雅に回る太陽を横目に 僕らは柔らかな爆発と共に 打ち上げられる
炎の海で溢れる星を目指して それはとっても寂しいこと
だって君はいま 故郷から100光年も離れたところにいるんだから」

元ネタ:ローリング・ストーンズ『2000 Light Years From Home』(邦題:2000光年のかなたに)

Sun turnin’ 'round with graceful motion
We’re setting off with soft explosion
Bound for a star with fiery oceans
It’s so very lonely, you’re a hundred light years from home

 

・エコヲのつぶやき
「青いドレスを着た彼女 見た事ってある?
横顔が、まるで船の帆みたく白くて」

元ネタ:ローリング・ストーンズ『She’s a Rainbow

Have you seen her dressed in blue
See the sky in front of you
And her face is like a sail
Speck of white so fair and pale
Have you seen a lady fairer

 

すべて、ローリング・ストーンズの中で最もサイケデリックなアルバム「サタニック・マジェスティーズ」(1967年) に収録されています。


サタニック・マジェスティーズ

 

また、終盤のミュウのセリフ「見張塔からずっと王子たちが外を見ている~」以降のセリフは、『All Along The Watchtower』の歌詞です。
All Along The Watchtowerの歌詞和訳はコチラ

 

 

小ネタ集

セリフ

・エコヲ「上空8マイルから地上に降りると、見た事のない不思議な景色が待っていた」

元ネタ:ザ・バーズ『エイト・マイルズ・ハイ

 


エッセンシャル・バーズ

 

 

・トミー「かつてある男が言った、愛こそがすべてだと。ならばこう言おう、愛がすべてを支配する、と」

元ネタ:ザ・ビートルズ『All You Need Is Love』(邦題:愛こそはすべて)
All You Need Is Loveの歌詞和訳はコチラ

 

ザ・フー『Love Reign O’er Me』(邦題:愛の支配)
Love, Reign O’er Meの歌詞和訳はコチラ

 

 

・トミー「ピンチヒッターとはいえ、彼女は十分役に立ってくれるでしょう」

元ネタ:(?) ザ・フー『Substitute』(邦題:恋のピンチヒッター)

 


ザ・シングルス+10

 

 

舞台の円形のセット

元ネタ:ピンク・フロイドのザ・ウォールライヴのセットをイメージしたものだそうです(Bootlegより)。

 

 

 

個人的な感想

モッズカルチャーに、ロックオペラの「トミー」「四重人格」、映画「さらば青春の光」。1つずつでもなかなかのボリュームですが、さらにビートルズやストーンズ、ジミヘンまで出てきて、元ネタかなり盛沢山な回となりました。
物語も目が離せない展開となってきました。
毎回違うエンディングテーマも楽しみです。


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あと、レオ・マーシャルの再登場・粋なセリフもよかったです。