【ジャンル解説】サイケデリックロック(Psychedelic Rock)
音楽ジャンルを歴史と一緒にわかりやすくまとめました。
Psychedelic Rcok:サイケデリック・ロックとは何か
始まり:1960年代アメリカ・イギリス
詳細解説
サイケデリックという言葉は1957年に精神科医が提唱した言葉で、”psycology”(心理学)と”delicious”(美味、心地よさ)の合成語だといわれる。
サイケデリックは、1960年代アメリカのヒッピー文化(既成概念に捉われず、自由で自然主義的な生活を志向した若者の文化)やLSDなどのドラッグカルチャーと深い関りを持つ。
ロックにおいても同様で、ドラッグの使用をインスピレーションとするアーティストもいた。
ロックにサイケデリックの表現が使われるようになったのは1960年代のビートルズ『トゥモロー・ネバー・ノウズ』や、ビーチボーイズの『グッド・ヴァイブレーション』だと言われる。
サイケデリックロックのサウンドは、主に以下の特徴を持つ事が多い
・多重録音やテープの逆再生・コラージュなどの加工
・ブルースやソウルの影響下にある熱狂的な演奏やジャム演奏
・シタールなどエキゾチックな楽器の使用や、浮遊感のある電子音やコーラス
・ファズやワウワウなどのエフェクターの大々的な使用。過度に歪みやエコーを聴かせたサウンド
・同じフレーズのループや、アナログ楽器(オルガンやメロトロン等)の使用
1960年代末には世界的にLSDが規制され、様々なアーティストがドラッグ中毒の犠牲となっていく中で、サイケデリックムーヴメントおよびサイケデリックロックは勢いを無くしていく。
しかし、80年頃のニューウェイブの登場で、再び勢いを取り戻す(これをネオサイケデリアともいう)。60年代が人力で泥臭くサイケデリックを表現していたのに対し、80年代以降はエフェクターなどを駆使しクールに表現している印象を受ける。
その後もオルタナティヴロック、インディーロック界隈では、サイケデリックは欠かせない要素になっている。
代表的なアーティスト
【サイケデリックの影響を感じさせるアーティスト】
・ヤードバーズ(The Yardbirds 活動期間:1963-1968, 1992-)
・ジェファーソン・エアプレイン(Jefferson Airplane 活動期間:1965-1973, 1989-1990)
・グレイトフル・デッド(Grateful Dead 活動期間:1965-95)
・クリーム(Cream 活動期間:1966-1968)
・シルヴァー・アップルズ(Silver Apples 活動期間:1967-70, 1996-99, 2006-)
・13thフロア・エレベーターズ(The 13th Floor Elevators 活動期間:1965-69, 1978, 1984)
・ホークウインド(Hawkwind 活動期間:1969-)
※グレイトフル・デッドやホークウンドはスペースロックとも表現される
【80年代以降(ネオ・サイケデリアとも呼ばれる)】
・スージー・アンド・ザ・バンシーズ(Siouxsie & The Banshees 活動期間:1976-1996, 2002)
・エコー&ザ・バニーメン(Echo & The Bunnymen 活動期間:1978-1993, 1996-)
・ストーン・ローゼズ(The Stone Roses 活動期間:1983-1996, 2011-)
・プリンス(Prince 1958-2016)
・フレーミング・リップス(The Flaming Lips 活動期間:1983-)
・スーパー・ファリー・アニマルズ(Super Furry Animals 活動期間:1993-)
・スペースメン3(Spacemen 3 活動期間:1982-1991)
・MGMT(エムジーエムティー 活動期間:2002-)
・アニマル・コレクティヴ(Animal Collective 活動期間:2003-)
【サイケデリックロックの先駆けとなったと言われるアーティスト】
ビートルズ、ビーチボーイズ、バーズ、ジミ・ヘンドリックス、ドアーズ
影響が強いジャンル
ブルースロック、ハードロック、ガレージロック、ソフトロック、オルタナティヴロック、ニューウェイブ、クラウトロック、ストーナーロック、マッドチェスター、シューゲイザー
動画(全部で17作品)
サイケデリックを広めたビートルズとビーチ・ボーイズ。
音楽ジャンル解説の目次はコチラ
サイケデリックロックとは、文字通りサイケデリックな感覚(超現実的な体験や幻覚作用)を連想させるロックを指す。ジャンルというよりサウンドの特徴を表す言葉といえ、様々なジャンルでサイケデリックな作品を聴く事ができる。
特に繋がりが深いジャンルは、ブルースロック、ハードロック、ガレージロック、ニューウェイブ、オルタナティヴロックなどである。