<歌詞和訳>Give Peace A Chance(平和を我等に) – John Lennon(Plastic Ono Band) 曲の解説と意味も
Plastic Ono Band – Give Peace A Chance
プラスチック・オノ・バンド – ギヴ・ピース・ア・チャンス(邦題:平和を我等に)
ジョン・レノンがプラスティック・オノ・バンド名義で1969年にリリースしたシングルです。
ジョンがソロで出した初めての曲となります。(ビートルズはアルバム「アビー・ロード」の制作中でした)
この曲が録音されたのは、ジョンとヨーコによる2度目のベッド・イン(「ホテルの一室に記者を招き入れ、平和について語り合う」という平和の為のパフォーマンス)の最中、カナダ モントリオール滞在中のクイーン・エリザベス・ホテルの室内でした。
その場に招かれたティモシー・リアリー、アレン・ギンズバーグ、フィル・スペクターらの著名人や報道陣もコーラスで参加しているそうです。
曲はリリース後まもなく反戦運動のアンセムとなり、同年ワシントンD.C.で行われた50万人規模の反ベトナム戦争のデモなどでも歌われたと言います。
1991年の湾岸戦争勃発時には、レニー・クラヴィッツがショーン・レノンらとともに大勢のゲストを招き、The Peace Choir名義でこの曲を録音しました。
(豪華な人から意外な人までたくさん集まっていますが、なんとも言えない出来…)
また、この曲はジョンによって書かれた曲ですが、リリース当初はレノン=マッカートニー名義となっていました。これは一説には、ジョンがソロ作品をリリースすることに後ろめたさを感じたから、と言われています(ただの手違いかもしれませんが)。
歌詞の意味と解釈
邦題は「平和を我等に」ですが、タイトル「ギヴ・ピース・ア・チャンス」を訳すと"平和にチャンスを与えろ“となります。
意味としては邦題「平和を我等に」の方がわかりやすいですが、原題の言い回しも素敵だと思うので、ここでは「平和にチャンスを」と訳しました。
(なお、「平和を我等に」を英語にすると「Give Us Peace」です)
歌詞と和訳
Written by John Lennon
Everybody’s talking about
Bagism, Shagism, Dragism, Madism, Ragism, Tagism
This-ism, that-ism, ism ism ism
みんなが話題にするのは
バギズムだのシャギズムだのドラッギズムだのマディズムだのラギズムだのタギズムだの
あれイズム、これイズム、イズム、イズム、イズムばかり
・bagism バギズム。ジョンとヨーコによる平和活動パフォーマンスの1つ。袋(バッグ)の中に入り外見による偏見を無くしたコミュニケーションを目的として行われた。
・shagism shagとはスラングで"性行為"の事。訳すと「セックス主義」
・dragism dragは"引っ張る、引きずる、妨げ"の意味。訳すと「妨害主義」。薬物のdrugとかけているのかもしれません。
・madism madは"狂っていること"の意味。訳すと「熱狂主義」
・ragism ragは"ボロ布、不平を言う"などの意味。訳すと「不平不満主義」
・tagism tagは"タグ・レッテルを貼る"などの意味。訳すと「タグ付け主義」
All we are saying is give peace a chance
All we are saying is give peace a chance
でも僕らが言ってるのは「平和にチャンスを」
「平和にチャンスを」って事なんだ
※ここのバースは、みんな(Everybody。メディアや大衆)は本質(Peace)ではなく表層的な言葉や思想(ism)にとらわれている、という事が言いたいのだと思います
(Come on)
Everybody’s talking about
Minister, Sinister, Banisters and Canisters
Bishops, Fishops, Rabbis, and Pop Eyes, Bye bye, Bye byes
みんなが話題にするのは
ミニスター(牧師)やシニスター(邪悪)やバニスター(手すり)やキャニスター(缶)に
ビショップ(聖職者)にフィショップにラビ(ユダヤ教指導者)にポパイで、バイバイ、さよなら
・fishop おそらく造語と思われます。fish shop(魚屋)の意味?
・pop eye ポパイ。アメリカの水兵がモチーフの漫画キャラクター
All we are saying is give peace a chance
All we are saying is give peace a chance
でも僕らが言ってるのは「平和にチャンスを」
「平和にチャンスを」って事なんだ
(Let me tell you now)
Everybody’s talking about
Revolution, Evolution, Masturbation, Flagellation, Regulation
Integrations, mediations, United Nations, congratulations
(はっきり言わせてくれ)
みんなが話題にするのは
レボリューション(革命)、エボリューション(進化)、マスターベーション(自慰)、フラギュレーション(むち打ち)、レギュレーション(規制)
インテグレーション(融合)、メディエイション(調停)、ユナイテッド・ネイション(国連)、コングラチュレーション(お祝い)
All we are saying is give peace a chance
All we are saying is give peace a chance
でも僕らが言ってるのは「平和にチャンスを」
「平和にチャンスを」って事なんだ
Everybody’s talking about
John and Yoko, Timmy Leary, Rosemary
Tommy Smothers, Bobby Dylan, Tommy Cooper
Derek Taylor, Norman Mailer, Allen Ginsberg, Hare Krishna
Hare Hare Krishna
みんなが話題にするのは
ジョンとヨーコ、ティミー・リアリー、ローズマリー
トミー・スマザーズ、ボビー・ディラン、トミー・クーパー
デレク・テイラー、ノーマン・メイラー、アラン・ギンズバーグ、ハレ・クリシュナ
ハレ・ハレ・クリシュナ
・Hare Krishna ハレ・クリシュナ(マントラの一つ)。もともとはヒンドゥー教のクリシュナ(神)への崇拝を示す言葉。ビートルズは1968年、超越瞑想の修行の為にインドに滞在。ジョンとジョージはインド文化に大きく影響を受けた作品を残しています。
※人物名については後述
All we are saying is give peace a chance
All we are saying is give peace a chance
でも僕らが言ってるのは「平和にチャンスを」
「平和にチャンスを」って事なんだ
名前が登場する著名人一覧
・Timmy Leary ティモシー・リアリー(Timothy Leary)
LSDの研究で有名なアメリカ ハーバード大学の心理学者。ビートルズの楽曲『Come Together』はもともと彼の為に作られた。
ティモシー・リアリー [DVD]
・Rosemary ローズマリー
前出ティモシーの当時の妻。
・Tommy Smother トミー・スマザーズ
アメリカのコメディアンでミュージシャン。弟とThe Smothers Brothersとして活動。TV番組「スマザーズ・ブラザーズ」(ザ・フーがドラムキットを爆破させた事件が有名)の司会など。
Sibling Rivalry: Best of
・Bobby Dylan ボブ・ディラン(Bob Dylan)
アメリカのシンガーソングライター。ジョンやビートルズの作品にも大きな影響を与えた。
Bob Dylan: Original Mono Recordings
・Tommy Cooper トミー・クーパー
イギリスのコメディアン。
Tommy Cooper: The Very Best Of
・Derek Taylor デレク・テイラー
ビートルズの広報宣伝活動を担当した新聞記者。5人目のビートルズの一人に挙げられる事もある。
・Norman Mailer ノーマン・メイラー
アメリカの作家。歌詞に登場してこの場にいなかった人はボブ・ディランとノーマン・メイラーのようです。
夜の軍隊 (ノーマン・メイラー選集)
・Allen Ginsberg アレン・ギンズバーグ
アメリカの詩人・活動家。
ギンズバーグ詩集
収録アルバム
アルバムジャケットを押すとアマゾンのページへ移動します。
Live Peace in Toronto 1969(1969年 邦題:平和の祈りをこめて)
1969年9月、カナダのトロントで行われたイベントでのライヴ演奏を収録したアルバムです。
『Blue Suede Shoes』などロックのスタンダードナンバーから、ビートルズの『Yer Blues』、後にリリースする『Cold Turkey』、前衛的なヨーコの作品など全8曲を収録。
Working Class Hero – The Definitive Lennon(決定盤ジョン・レノン~ワーキング・クラス・ヒーロー 2005年)
2枚組38曲収録のベストアルバムです。ややマイナーな曲も入っており、ジョンのソロキャリアを総括するには最適です。
Power To The People – The Hits(2010年)
15曲に絞られたベストアルバムですが、前出の「Lennon Legend~」よりも音質が向上しています。