<歌詞和訳>Civil War – Guns N’ Roses 曲の解説と意味も
Guns N’ Roses – Civil War
ガンズ・アンド・ローゼズ – シヴィル・ウォー
アメリカのロックバンド ガンズ・アンド・ローゼズの曲で、もともとはルーマニアの孤児救済のためのコンピレーションアルバム「Nobody’s Child」(1990年)に提供された曲です。
Nobody’s Child: Romanian Appeal
(1980年代のルーマニアでは独裁政権下で大量の孤児が誕生しており、1989年のルーマニア革命後、諸外国にその存在が明らかになりました(詳しくはwikipedia「ルーマニアの孤児」を参照)。ジョージ・ハリスンと妻オリビアは孤児の支援の為、チャリティーアルバムを企画しました。参加アーティストはかなり豪華です)
その後、バンドの3rdアルバム「Use Your Illusion II」(1991年)に収録されました。
シングルとしても、1990年にアメリカで、1993年に世界各国でリリースされました。
冒頭のセリフは映画「Cool Hand Luke」(1967年。邦題は「暴力脱獄」)で、脱獄に失敗した主人公(ポール・ニューマン)に向かって、刑務所長が吐き捨てるように言ったセリフの引用です(アメリカでは有名なセリフとなったそうです)。
また、曲の終盤に登場するセリフは、ペルーの極左ゲリラ組織センデロ・ルミノソ(輝ける道)の言葉から引用したものだそうです。
歌詞の意味と解釈
タイトル「シヴィル・ウォー」は、直訳すると"市民の戦争“となりますが、一般的には"内戦“、"内乱“と訳されます。
ここでは、シヴィル・ウォーの意味を"内戦"に限定せず、「一般市民の為と称して行われる戦争」と広く解釈して訳しました。
一般市民の自由や権利、安全を守るためと称して行われる戦争も、所詮は権力者がカネや権力を手に入れる為に行われるものであり、苦しむのはいつも市民である、というのが歌詞の大まかな内容と思われます。
このような社会的なテーマを扱った、反戦の歌はガンズ・アンド・ローゼズには珍しいです。
アルバムでもボブ・ディランの『Knockin’ on Heaven’s Door』をカバーしており、歌詞もボブ・ディランの影響を強く感じさせます(特に、『Masters Of War』(戦争の親玉)とテーマがかなり近いです)。
歌詞と和訳
Written by Duff McKagan, Slash & Axl Rose
What we’ve got here is failure to communicate
Some men, you just can’t reach
So you get what we had here last week
Which is the way he wants it
Well, he gets it
And I don’t like it any more than you men
“ここにあるのは、コミュニケーションの欠落だ
どうしたって伝わらないヤツがいる
だから先週と同じ目に遭う
それはヤツが望んでいることだ
まあ、ヤツもわかるさ
俺だって好きでやってるわけじゃない"
Look at your young men fighting
Look at your women crying
Look at your young men dying
The way they’ve always done beforeLook at the hate we’re breeding
Look at the fear we’re feeding
Look at the lives we’re leading
The way we’ve always done before
見るんだ、争っている若者達を
見るんだ、泣いている女達を
見るんだ、死んでいく若者達を
昔のまま、何も変わらない
見るんだ、俺達が生み出す憎しみを
見るんだ、俺達が育てる恐怖を
見るんだ、俺達が送る生活を
昔のまま、何も変わらない
・breed 産む、繁殖させる、引き起こす
My hands are tied
The billions shift from side to side
And the wars go on with brainwashed pride
For the love of God and our human rights
And all these things are swept aside
By bloody hands, time can’t deny
And are washed away by your genocide
And history hides the lies of our civil wars
俺の両手は縛られている。
途方もないカネがつぎ込まれ
戦争は続いていく、神の愛という
洗脳された誇りの為に。そして
人の権利などすべて
血塗られた手により
払い除けられる。時間は事実を否定できない
そして、大量殺戮ですべてを浄化するように
歴史は"市民戦争"の嘘を隠ぺいする
・billion 十億
・shift 変える、移す、移る、交代
・deny 否定する、拒む、自制する
・wash away 洗い流す、取り除く
D’you wear a black armband when they shot the man
Who said: “Peace could last forever"?
And in my first memories, they shot Kennedy
I went numb when I learned to see
So I never fell for Vietnam
We got the wall in D.C. to remind us all
That you can’t trust freedom when it’s not in your hands
When everybody’s fightin’ for their promised land
「平和は永遠に続く」と唱えた男が撃たれた時
君は黒い腕章を付けたか?
そして俺の最初の記憶は、ケネディの暗殺
事実を知った時、俺は茫然とした
だから、俺はベトナム戦争にそそのかされはしなかった
D.C.の慰霊碑が、俺達に思い出させる
誰もが自分の約束の地の為に戦っている時、
手に入らない自由など信用できないという事を
・go numb しびれる、感覚を失う
・the wall in D.C. ワシントンDCにあるベトナム戦争戦没者慰霊碑を指しているようです
A Rift in the Earth: Art, Memory, and the Fight for a Vietnam War Memorial (English Edition)
・fall for ほれこむ、引っ掛かる
※このパートは、キング牧師やケネディ大統領の暗殺や反ベトナム戦争などのテーマが盛り込まれています。反ベトナム戦争を主張したキング牧師やケネディが暗殺されたのは、戦争を望む者達による陰謀であるとここでは匂わせています(事実はさせおき)。
And I don’t need your civil war
It feeds the rich, while it buries the poor
You’re power-hungry, sellin’ soldiers in a human grocery store
Ain’t that fresh? I don’t need your civil war
Ooh, no, no, no, no, no, no
お前らの市民戦争など要らない
それは金持ち共を儲けさせ、貧しい者を葬り去る
権力に飢えたお前らは、人間スーパーマーケットで兵士を売っている
それは大層なものかよ? お前らの"市民の為の戦争"など要らない
・bury 埋める、沈める、埋葬する、隠す、忘れる
・grocery store 食料品店、スーパーマーケット
・fresh 新鮮な、新たな、素晴らしい
ここでは"新鮮な兵士"と、"素晴らしい行い"の、皮肉を込めたダブルミーニングになっていると思われます
Look at the shoes you’re filling
Look at the blood we’re spilling
Look at the world we’re killing
The way we’ve always done beforeLook in the doubt we’ve wallowed
Look at the leaders we’ve followed
Look at the lies we’ve swallowed
And I don’t want to hear no more
見るんだ、お前は誰の後釜になったのか
見るんだ、俺達が流す血を
見るんだ、俺達が破壊する世界を
昔のまま、何も変わらない
見るんだ、俺達が耽っていた疑いを
見るんだ、俺達が従ってきた指導者を
見るんだ、俺達が飲み込んできた嘘を
こんなものは、もうたくさんだ
・fill one’s shoes ~の跡を継ぐ
・spill こぼす、流す、漏らす
・wallow 転げまわる、ふける
My hands are tied
For all I’ve seen has changed my mind
But still, the wars go on as the years go by
With no love of God or human rights
And all these dreams are swept aside
By bloody hands of the hypnotized
Who carry the cross of homicide
And history bears the scars of our civil wars
俺の両手は縛られている
今まで見てきたすべてが、俺の心を変えた
それでもまだ、戦争は続き
神の愛も、人権も得られぬままに、年月は過ぎていく
そして、それらの夢は払い除けられる
殺人の十字架を背負う
洗脳された者の血塗られた手によって。
そして歴史に市民戦争の傷跡が刻まれる
・homicide 殺人、殺人犯
We practice selective annihilation
Of mayors and government officials
For example, to create a vacuum
Then we fill that vacuum
As popular war advances
Peace is closer
“我々は、例えば
市長や政府高官を選択的に抹殺し
政治的空白を作る、
そして民衆による戦争を進めることで
その空白を埋める。
平和は近づいているのだ"
・practice 実践する、練習する、習慣的に行う
・annihilation 消滅、全滅
I don’t need your civil war
It feeds the rich, while it buries the poor
You’re power-hungry, sellin’ soldiers in a human grocery store
Ain’t that fresh? I don’t need your civil war
No no no no no no no no no no no no
I don’t need your civil war
I don’t need your civil war
You’re power-hungry, sellin’ soldiers in a human grocery store
Ain’t that fresh? I don’t need your civil war
No no no no no no no no no no, no, no
I don’t need one more war
Ooh, I don’t need one more war
No no no, no woah, no woah
お前らの市民戦争など要らない
それは金持ち共を儲けさせ、貧しい者を葬り去る
権力に飢えたお前らは、人間スーパーマーケットで兵士を売っている
それは大層なものかよ? お前らの"市民の為の戦争"など要らない
お前らの市民戦争など要らない
お前らの市民戦争など要らない
権力に飢えたお前らは、人間スーパーマーケットで兵士を売っている
それは大層なものかよ? お前らの"市民の為の戦争"など要らない
これ以上戦争は要らない
これ以上戦争は要らない
What’s so civil 'bout war anyway?
一体戦争のどこが"市民の為"なんだ?
収録アルバム
アルバムジャケットを押すとアマゾンのページへ移動します。
Use Your Illusion II(1991年)
「Use Your Illusion」というタイトルを冠したアルバムをIとIIの2枚に分けて同日にリリースした作品。全米アルバムチャート1位・2位を独占するなど、当時のガンズの勢いを感じさせます。チャート的にはIIが1位を獲得し、Iは2位どまりとなりました。
評判的には、IIは聴き易く、Iは聴き込むと味が出る、という感じです。
Greatest Hits(2004年)
これまでのリリースされたアルバム3枚、ミニアルバム1枚、カバーアルバム1枚、そしてサントラ提供曲から1曲と、万遍なく収録されたベストアルバムです。