【ジャンル解説】ガレージロック(Garage Rock)
音楽ジャンルを歴史と一緒にわかりやすくまとめました。
Garage Rock:ガレージロックとは何か
始まり:1960年代中盤アメリカ
詳細解説
1960年代前半のアメリカでは、ビートルズやローリング・ストーンズなどイギリスのロックバンドに触発され、多くの若者がバンドを始めたという。
それらのバンドは主に自作曲を自宅の車庫(ガレージ)で練習していた事から、ガレージロックと名付けられたという(なお、車庫と言っても日本のものとはサイズや隣家との距離は大きく異なる)。
また、アマチュアバンドの事をガレージバンドと呼ぶ事もあったと言われる。
ガレージロックは、シンプルな曲構成と荒々しいサウンドを特徴としている。演奏技術が低く、音楽知識も不足していたため、そうならざるを得なかったとも考えられる。
当時のハードロックやプログレッシヴロックなどがロックを重厚長大・複雑化していったのとは対照的に、ガレージロックはロックの衝動性や猥雑さを取り戻す動きだったとも言える。
ガレージロックは、音楽だけでなくスキャンダラスなステージングでも話題を呼んだ。イギー・ポップはステージ上で自分の体をナイフで傷つけ、ガラスの破片の上を転げまわり、MC5のウェイン・クレーマーは顔面を金色に塗って卑語を連発したという。
ロックバンドの形容として”変態”という言葉が使われるのは、ガレージロックが最初だと言える。
ガレージロックは商業的には成功しなかったが、後のパンクロックやグラムロック、サイケデリックミュージックやオルタナティヴロックに大きな影響を与え、再評価された。
特に、イギー・ポップ&ストゥージズは”パンクロックの元祖”だと言われる(しかし、その当時はパンクロックという言葉は無かった)。その為、ガレージパンク、ガレージサイケと呼ばれる事もある。
クランプスやヘッドコーツなどを除くと、70年代以降に登場したガレージバンドで、有名なバンドは多くない。
しかし2000年代になると、ザ・ストロークスやホワイト・ストライプスに代表されるガレージロック・リヴァイバルと呼ばれる動きがあった。これはメディアが煽っていた向きがあるものの、ガレージロック・リヴァイバルのシンプルなサウンドと楽曲は、当時のロックシーンでは新鮮であり、大きな反響をもって迎えられた。しかし、元々のガレージロックが持っていた毒やキワモノ感はなかった。
代表的なアーティスト
・イギー・ポップ&ザ・ストゥージズ(Iggy Pop & The Stooges 活動期間:1967-1974, 2003-)
・MC5(エムシーファイヴ 活動期間:1964-1972, 2003-)
・13thフロア・エレベーターズ(The 13th Floor Elevators 活動期間:1965-1969)
・ソニックス(The Sonics 活動期間:1960-)
・クランプス(The Cramps 活動期間:1976-2009)
・ヘッドコーツ(Thee Headcoats 活動期間:1989-2000)
動画(全部で7作品)
音楽ジャンル解説の目次はコチラ
ガレージロックとは、1960年代にアメリカの若者が演奏したシンプルで荒々しいロックミュージックを指す。ガレージ(車庫)で練習していた為、この名がついたと言われる。
60年代当時はあまり注目されなかったが、後のパンクロックやオルタナティヴロックに大きな影響を与え、再評価されるようになった。