【ジャンル解説】カントリーミュージック（Country Music）
音楽ジャンルを歴史と一緒にわかりやすくまとめました。
Country Music：カントリーミュージックとは何か
始まり：1920年代アメリカ
詳細解説
カントリーミュージックは、北米地域に渡ったヨーロッパ系移民の音楽（ケルト音楽、ヨーデル、ポルカ等）が起源と言われる。アパラチア山脈地方の移民（白人労働者）の音楽が、山岳地帯や農村部などで発展し、”オールドタイム・ミュージック”や”ヒルビリー”と呼ばれ、カントリーミュージックの基礎を形成したという。
なお、ヒルビリーとは”丘陵地帯の田舎者の白人”という意味で、蔑称的ニュアンスがあるという。
1920年代以降、カントリー（ヒルビリー）のプロミュージシャンが登場し、レコードをリリースするようになる。30年代から40年代にかけては、西部劇映画で人気の高かったカウボーイ・ミュージックやウエスタン・ミュージックと一緒に、「カントリー＆ウエスタン」という名称で紹介されるようになったと言う（しかし、アメリカ南部で生まれたカントリーと西部で生まれたウエスタンは別の音楽である）。ヒルビリー・ミュージックからカントリー・ミュージックへと呼称が変わったのも40年代と言われる。
50年代にR&B、ジャズ、ブルース、ゴスペルといった黒人音楽との融合が始まり、様々なサブジャンルが生まれる。それと並行して、カントリーのもつ民謡的な要素は薄れていったと言われる。
カントリーの周辺ジャンルとして、アメリカの安酒場ホンキートンクで流行した粗野な演奏のカントリーミュージック”ホンキートンク”や、ロックと融合した”ロカビリー”（ロック＋ヒルビリー）などがある。
カントリーの伝統的なスタイルを貫いたものは”ブルーグラス”と呼ばれ、1940年代に別のジャンルとして確立されたという。ブルーグラスの演奏にはアコースティック楽器（ギター、フィドル、マンドリン、バンジョー、ウッドベース、ドブロ）が使われ、電気楽器は使われない。ブルーグラスは今もカントリーの1ジャンルと扱われる事もある。
カントリーは様々な音楽を取り入れて大衆化を進め、カントリーロック、カントリーポップ等のサブジャンルが生まれた。また、ロックやポップスと、古典的なカントリーミュージックの中間とも言える”ニューカントリー”は、アメリカ国内で高い人気を誇っている。
カントリー・ミュージックの演奏楽器はアコースティックギターの他、フィドルやバイオリン、バンジョー、マンドリンなどの弦楽器やハーモニカ、シンプルなリズム楽器などが用いられていた。1940年頃にはエレキギターが導入される。現在ではロックやポップスと変わらない楽器が用いられるが、”カントリーらしい”アレンジの為にフィドルやスティールギターなども用いられる。
音楽から見える「アメリカ」―カントリー&ウェスタンとともに40年
カントリーの歌は、家族や故郷、田舎の素朴さ、人の温もり、逞しさや荒っぽさを愛する傾向が強く、アメリカの白人保守層に特に高い支持を得ていると言う。
レコードの売上では、ガース・ブルックスのように、海外ではあまり知られていなくてもアメリカ国内では莫大なセールスを挙げているミュージシャンも多い（アメリカ国内のみで1億3000万枚以上のセールスを上げ、ビールズに続き、エルヴィス・プレスリーやイーグルスをも上回る売り上げとなっている）。また、楽曲を「ポップ向けとカントリー向け」の2パターン用意するシャナイア・トゥエンやテイラー・スウィフト（初期）のようなアーティストもいる。
代表的なアーティスト
・ジミー・ロジャース（Jimmie Rodgers 1897-1933）
・カーター・ファミリー（The Carter Family 活動期間：1927-1943）
・ビル・モンロー（Bill Monroe 1911-1996）※ブルーグラスの創始者と言われる
・ハンク・ウィリアムズ（Hank Williams 1923-1953）
・ウィリー・ネルソン（Willie Nelson 1933-）
・ジョニー・キャッシュ（Johnny Cash 1932-2003）
・ジョン・デンバー（John Denver 1943-1997）
・ガース・ブルックス（Garth Brooks 1962-）
・ディキシー・チックス（Dixie Chicks 活動期間：1989-）
・シャナイア・トゥエイン（Shania Twain 1965-）
・テイラー・スウィフト（Taylor Swift 1989-）※カントリーミュージシャンとして成功後、ポップスに進出した
動画（全部で11作品）
音楽ジャンル解説の目次はコチラ
カントリーミュージックとは、アメリカのヨーロッパ系移民・白人労働者の音楽を起源とするポピュラーミュージックである。楽器はアコースティックギターの他、フィドル（バイオリン）やバンジョー、シンプルなリズム楽器などが用いられる。山岳地帯や農村部などの田舎（＝Country）で生まれた。
ロックやポップスの要素を取り入れた”ニューカントリー”は、アメリカの白人層を中心に高い人気を誇る。