<歌詞和訳>An Innocent Man – Billy Joel 曲の解説と意味も
Billy Joel – An Innocent Man
ビリー・ジョエル – アン・イノセント・マン
アメリカのシンガーソングライターでピアノ奏者 ビリー・ジョエルの9thアルバム「An Innocent Man」の表題曲です。
同アルバムの3枚目のシングルとして、1983年12月にリリースされました。
歌詞の意味と解釈
タイトルにある「イノセント」とは、”無罪の”、”純潔な”、”無垢な” などと訳せます。
「イノセントマン」とは一体どんな人なのか、歌詞を読み込まないとイメージできません。
歌詞の大まかなシチュエーションは、「過去の恋人に傷つけられ人を信じられなくなった女性へ、イノセントマンが献身的な愛を注ぎ、彼女を救おうとする」というものです。
過去の恋人が「罪深い男」であるので、その対比として「罪の無い男」と呼んでいると思われます。
もう一歩踏み込んで訳せば、「誰も傷つけない男」という感じになります。
歌詞と和訳
Written by Billy Joel
Some people stay far away from the door
If there’s a chance of it opening up
They hear a voice in the hall outside
And hope that it just passes by
扉を開くチャンスが訪れても
扉から離れたままの人たちがいる
外の廊下で呼ぶ声が聞こえても
彼らは何事もなく過ぎ去る事を願っている
・hall ホール、玄関、広間、廊下、集会場
・pass by 通り過ぎる、過ぎ去る
Some people live with the fear of a touch
And the anger of having been a fool
They will not listen to anyone
So nobody tells them a lie
人と触れ合う事を恐れ、
愚かな過去に憤りながら生きる人たちがいる
誰の言葉にも耳を貸そうとしない
だから嘘つきですら彼らと話さない
I know you’re only protecting yourself
I know you’re thinking of somebody else
Someone who hurt you
君はただ、自分を守っているだけなんだ
君は誰かに、
君を傷つけた誰かに固執している
But I’m not above making up for the love
You’ve been denying you could ever feel
I’m not above doing anything
To restore your faith if I can
でも僕は、その愛の埋め合わせをしてみせるよ
君は自分の気持ちを否定していたね
君の ”人を信じる気持ち” を取り戻せるのなら
僕はどんなことだってしてみせる
・not above doing 必要とあらば~するのを厭わない、平気で~する
・restore 返す、修復する、取り戻す
Some people see through the eyes of the old
Before they ever get a look at the young
I’m only willing to hear you cry
Because I am an innocent man
若者に目を向ける前に
老人の視点で世の中を語る人たちがいる
君が泣くのを、ただ聞いているだけでもいい
だって、僕は罪のない男<人を傷つけない男>だから
I am an innocent man
Oh, yes I am
僕はイノセントマン
そう、僕はイノセントマン
Some people say they will never believe
Of the promise they hear in the dark
Because they only remember too well
They heard somebody tell them before
暗闇の中で聞いた約束を
決して信じようとしない人たちがいる
なぜなら彼らは、誰かが同じ約束をするのを
よく聞いていたから
Some people sleep all alone every night
Instead of taking a lover to bed
Some people find that it’s easier to hate
Then to wait anymore
恋人とベッドをともにする事もなく
毎晩一人で眠る人たちがいる
これ以上待つよりは、いっそ憎んでしまった方が
簡単だと気付く人たちがいる
I know you don’t want to hear what I say
I know you’re gonna keep turning away
But I’ve been there
僕の話なんて聞きたくないよね
君はいつだってそっぽ向いている
だけど僕はずっとそばにいる
And if I can survive I can keep you alive
I’m not above going through it again
I’m not above being cool for a while
If you’re cruel to me, I’ll understand
もし君が見捨てないでいてくれたら、君に生きる力を与えてあげられる
またやり直すのも厭わない
しばらく、落ち着いて考える事もできる
君が辛くあたってきても、わかってあげられる
Some people run from a possible fight
Some people figure they can never win
And although this is a fight I can lose
The accused is an innocent man
勝ち目がある戦いから逃げ出す人たちがいる
絶対勝てないと決めつけてしまう人たちがいる
これも戦いの一つだけど、僕は負けたっていい
”罪を背負う” のは罪なき男なんだ <だから君は何も怖がることは無いよ>
・accused 被告人、罪に問われた
I am an innocent man
Oh, yes I am
An innocent man
僕はイノセントマン
そう、僕はイノセントマン
誰も傷つけない男
You know you only hurt yourself out of spite
I guess you’d rather be a martyr tonight
That’s your decision
君はやけになって自分を傷つけている
それどころか、今夜は殉教者にでもなるつもりだろう?
それが君の ”判決” なんだね
・out of spite 腹いせに、悪意で
・rather いくぶん、むしろ、それどころか
・martyr 殉教者、受難者
・decision 決定、判決、決意
But I’m not below anybody I know
If there’s a chance of resurrecting a love
I’m not above going back to the start
To find out where the heartache began
でも僕は誰にも従わない
君の愛を蘇らせるチャンスがあるなら
その傷心の原因を見つけ出す為に
最初からやり直すのも厭わない
・resurrect 復活させる、生き返らせる
Some people hope for a miracle cure
Some people just accept the world as it is
But I’m not willing to lay down and die
Because I am an innocent man
奇跡的な救いを待ち望む人たちがいる
ありのままの世界を受け止める人たちがいる
でも僕は横になって終わりを待つつもりはない
なぜって、僕はイノセントマン
I am an innocent man
Oh, yes I am
An innocent man, Oooh
僕はイノセントマン
そう、僕はイノセントマン
誰も傷つけない男
BILLY JOEL ビリー・ジョエル – 81 TOUR/Tシャツ/メンズ 【公式/オフィシャル】
さらに解説
歌詞は一つのストーリーというよりも、Some people の話が格言じみた感じで続きます。
最初に歌詞を読んだ時は、イノセントマンや傷ついた彼女と無関係に思われました。
これは実は、彼女が心を閉ざすあまりに「Some people のような人になっている」という事をイノセントマンが諭そうとしているようです。
かなり回りくどい愛の歌ですが、本当に心を閉じている人に対しては、このくらいじわりじわりと距離を詰めていかなければダメなのかもしれません。
このしつこいくらいに念入りな感じは、いかにもビリー・ジョエルの詞らしいと思いました。
ピアノ & ボーカル ビリー・ジョエル グレイテイスト・ヒッツ
収録アルバム
アルバムジャケットを押すとアマゾンのページへ移動します。
An Innocent Man(1983年)
1950年代~60年代のアメリカン・ポップスを意識した作風の9thアルバム。ヒット曲が多数収録された80年代の傑作です。
Billy Joel: The Ultimate Collection(邦題:ビリー・ザ・ヒッツ 2000年)
キャリアを総括した全36曲2枚組のベストアルバム。ベストアルバムは何種類か出ていますが、代表曲を網羅するにはこれが一番と思われます。
Piano Man The Very Best Of Billy Joel(2004年)
19曲入りのお手軽なベストアルバムです。
栄光と挫折が明かされるロングインタビュー