<歌詞和訳>Chop Suey! – System Of A Down 曲の解説と意味も
System Of A Down – Chop Suey!
システム・オブ・ア・ダウン – チャップ・スイ!
アルメニア系アメリカ人4人によるロックバンド システム・オブ・ア・ダウンの2ndアルバム「Toxicity」(邦題:毒性 2001年) に収録されている曲です。
同アルバムからの最初のシングルとして、2001年8月にリリースされました。
システム・オブ・ア・ダウンを代表する曲で、意味深な歌詞も強く支持されています。
歌詞の意味と解釈
タイトルの「チャプスイ」とは、アメリカ式の中華料理の一種で、あんかけチャーハンやタンメンのようなイメージです。
Chop Suey Nation: The Legion Cafe and Other Stories from Canada’s Chinese Restaurants
しかし、元のタイトルは、歌詞にも登場する「Self-Righteous Suicide」(独善的な自殺) です。このシリアスなタイトルを、遊び心で「Self-right-Chop Suey-cide」としたものが「Chop Suey!」の元となっています(元のタイトルはレコード会社から反対されたそうです)。
この曲の歌詞については、欧米のリスナーの間では様々な解釈がされるとともに、強いメッセージソングとして熱く支持されています。
曲の解釈としては「虐待」「戦争」「薬物」「宗教」など、様々です。
ただし、この曲で扱われている「自殺」が、聖書の「キリストの死」が結びついているのは、間違いないように思われます。
というのも、この曲の山場である「Father, into your hands I commend my spirit」という歌詞は、ほぼそのまま福音書での十字架に磔にされたキリストの言葉だそうだからです。
その解釈をもとに、ここでは「人類を罪から救うべく十字架に磔にされたキリスト」のように、「自殺という手段で自ら(または世の中) を救おうとする者」を、肯定的に描いたものとして、訳しました。
また、序盤の早口でまくし立てるパートは「主人公への呼びかけ」(バンドからリスナーへの呼びかけ) で、ゆっくり歌われるパートは「主人公の言葉」として、訳しています。
歌詞と和訳
Written by John Dolmayan, Shavo Odadjian, Serj Tankian & Daron Malakian
We’re rolling “Suicide"
我々は “死" の上を生きている
Wake up (Wake up)
Grab a brush and put a little makeup
Hide your scars to fade away the shakeup
(Hide the scars to fade away the)
Why’d you leave the keys upon the table?
Here you go, create another fable
起きろ(起きろ)
ブラシを手に取り、身だしなみを整えろ
傷跡を隠し、平静を装え
(傷跡を隠し、平静を装え)
テーブルの上に鍵を置いていったのはなぜだ?(お前はもう戻らないつもりだろう?)
さあ、お前が神話を作る番だ
・shake up 刷新する、狼狽させる、奮い立たせる、振って混ぜる
・fable 寓話、作り話、神話
You wanted to!
Grab a brush and put a little makeup
You wanted to!
Hide the scars to fade away the shakeup
You wanted to!
Why’d you leave the keys upon the table?
You wanted to!
お前の望みだろ!
ブラシを手に取り、身だしなみを整えろ
お前の望みだろ!
傷跡を隠し、平静を装え
お前の望みだろ!
テーブルの上に鍵を置いていったのはなぜだ?
お前の望み通りに!
I don’t think you trust
In my self-righteous suicide
I cry when angels deserve to die
「あなたは信じないでしょう。
私の死は “独りよがり" と言われるのでしょう。
私が嘆くのは、天使達(罪なき人々)すら死に追いやる狂った社会」
・self-righteous ひとりよがりの、独善的な
・deserve 価値がある、受けるに値する
Wake up (Wake up)
Grab a brush and put a little makeup
Hide the scars to fade away the
(Hide the scars to fade away the shakeup)
Why’d you leave the keys upon the table?
Here you go, create another fable
起きろ(起きろ)
ブラシを手に取り、身だしなみを整えろ
傷跡を隠し、平静を装え
(傷跡を隠し、平静を装え)
テーブルの上に鍵を置いていったのはなぜだ?
さあ、お前が神話を作る番だ
You wanted to!
Grab a brush and put a little makeup
You wanted to!
Hide the scars to fade away the shakeup
You wanted to!
Why’d you leave the keys upon the table?
You wanted to!
お前の望みだろ!
ブラシを手に取り、身だしなみを整えろ
お前の望みだろ!
傷跡を隠し、平静を装え
お前の望みだろ!
テーブルの上に鍵を置いていったのはなぜだ?
お前の望み通りに!
I don’t think you trust
In my self-righteous suicide
I cry when angels deserve to die
In my self-righteous suicide
I cry when angels deserve to die
「あなたは信じないでしょう。
私の死は “独りよがり" と言われるのでしょう。
私が嘆くのは、罪なき人々を死に追いやる社会。
私の死は “独りよがり" と言われるのでしょう。
私が嘆くのは、罪なき人々を死に追いやる社会」
Father! (Father!) Father! (Father!)
Father! (Father!) Father! (Father!)
Father, into your hands I commend my spirit
Father, into your hands
Why have you forsaken me?
In your eyes, forsaken me?
In your thoughts, forsaken me?
In your heart, forsaken me?
「父なる神よ!(父なる神よ!)父なる神よ!(父なる神よ!)
父なる神よ!(父なる神よ!)父なる神よ!(父なる神よ!)
父よ、あなたの手へ、私の魂をお返ししましょう
父よ、あなたの手へ。
どうして私を救ってくださらない?
あなたの目は、私を救ってくださらないのですか?
あなたの教えは、私を救ってくださらないですか?
あなたの御心は、私を救ってくださらないのですか?」
・commend 称賛する、推薦する、委ねる、託す
・forsaken 見捨てる、見放す
Oh, trust in my self-righteous suicide
I cry when angels deserve to die
In my self-righteous suicide
I cry when angels deserve to die
「私の独りよがりな死。
私が嘆くのは、罪なき人々を死に追いやる社会。
私の独りよがりな死。
私が嘆くのは、罪なき人々を死に追いやる社会」
【SYSTEM OF A DOWN】システムオブアダウン オフィシャルバンドTシャツ#2 (S)
独りよがりの死とは?
自殺というものは、その原因や意図がなんであれ、他者や社会に大きなインパクトを与えます。
自ら命を断つつもりの主人公は、それが「自分の苦しみから逃れるためのもの」であれ、「社会に対する強烈な抗議のため」であれ、ある種の「神話」になる可能性を持っています。
この曲がアメリカのリスナーを中心に熱烈に支持されるのは、自殺に対する独特のスタンス(自殺を否定しない)によるものかもしれません。
また、別の見方をすると、自殺者の多くは前者の理由(苦しみから逃れる為)かと思いますが、時には後者の理由で自ら命を断つ人もいます(例えばレイジのアルバムジャケットの僧侶のように)。
レイジ・アゲインスト・ザ・マシーン-20thアニヴァーサリー・エディション-
この曲がリリースされたのは、アメリカ同時多発テロが発生する1か月前の事です。
当時は「自分の命を捨ててでも、おかしな社会を断罪したい」という不穏な空気が社会に充満していたとも考えられ、この曲はそんな空気を表現している曲、といえるかもしれません。
収録アルバム
アルバムジャケットを押すとアマゾンのページへ移動します。
Toxicity(邦題:毒性 2001年)
ハードコアからスラッシュメタル、東欧・中東風のフレージング、激しい緩急と、絶叫とメロディアスパートの歌い分けなど、バンドの個性が凝縮された2ndアルバム。全米アルバムチャート1位を獲得しました。