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<歌詞和訳>The Night Watch(夜を支配する人) – King Crimson 曲の解説と意味も

2023-07-11King Crimson 歌詞和訳[表現] 詩的/文学的

King Crimson – The Night Watch
キング・クリムゾン – ザ・ナイト・ウォッチ(邦題:夜を支配する人)

 

イギリスのプログレッシヴ・ロックバンド キング・クリムゾンの6thアルバム「Starless And Bible Black」(1974年 邦題「暗黒の世界」)に収録されている曲です。

同曲は1973年11月のオランダ アムステルダム公演でのライヴ音源が収録されています。
(同公演は、1997年にライヴアルバム「ザ・ナイトウォッチ 夜を支配した人々」としてリリースされました)

 

歌詞の意味と解釈

タイトル「ナイト・ウォッチ」には、"夜を支配する人“というやや大げさな邦題が付いていますが、残念ながらこの邦題は曲のテーマとは一致していません。

この曲は、オランダの画家レンブラント(1606-1669)の同名の絵画(De Nachtwacht)について書かれた曲です。


キャンバスプリント有名な油絵《夜警》レンブラントの壁画の装飾リビングルームの装飾のための古典的な絵画50x60cmフレームレス

 

歌詞の内容は、絵画を通して目の前に広がる300年以上昔の人々の様子。そこには、スペインとの独立戦争(八十年戦争)を経て、自由を勝ち取り黄金期を迎えていくオランダ市民の、誇らしげな暮らし、息遣いまでも映し出されている。
「芸術作品は時を超える」、どうかそのことをすべての人にわかって欲しい、というのが歌詞の主題と思われます。

 

【レンブラント作「夜警」について】
アムステルダム市民の自警団を描いた絵画ですが、タイトルの「夜警」は通称であり、正式名称は『フランス・バニング・コック隊長とウィレム・ファン・ライテンブルフ副隊長の市民隊』(De compagnie van kapitein Frans Banning Cocq en luitenant Willem van Ruytenburgh)となっています。

また、この絵は夜ではなく昼の情景を描いた作品である事が、後に発見されました。(経年により絵画が黒ずみ、夜の風景だと誤解されていた)

なお、この絵は依頼者からは不評でしたが(依頼者の身長を高く描かなかった・顔を似せて描かなかった、依頼者である裕福な商人達が喜ぶような煌びやかな作風ではなかった等)、画家レンブラントは自身の芸術への信念を曲げず、没落していく事となったそうです。

 

歌詞と和訳

Written by Robert Fripp, John Wetton & Richard Palmer-James

Shine, shine, the light of good works shine
The watch before the city gates depicted in their prime
That golden light all grimy now
Three hundred years have passed
The worthy Captain and his squad of troopers standing fast

輝き、輝き、傑作が持つ輝きよ
描かれし最高の瞬間、城門の前に立つ自警団
300年の時が経ち
黄金の光は今や、黒くすすけていようとも
勇敢な隊長とその一団は、堂々とそびえ立つ

 

depict 描く、描写する、表現する
in one’s prime 最盛期の、最盛期に
grimy 汚れた、すすけた
worthy 価値がある、値する、立派な、立派な人
squad 分隊、チーム
trooper トルーパー、騎兵、騎馬警官
stand fast しっかり立つ、堅持する、一歩も引かない

 

The artist knew their faces well
The husbands of his lady friends
His creditors and councillors
In armour bright, the merchant men
Official moments of the guild
In poses keen from bygone days
City fathers frozen there
Upon the canvas dark with age

画家は彼らをよく知っていた
女友達の夫達
出資者達、評議員達
輝く甲冑に身を包んだ商人達
ギルドの役人が鋭い姿勢をとったその一瞬
それらは過ぎ去りし日々の事
年とともに黒ずんだキャンパスの上
街の長達は冷たく眠る

 

creditor 債権者、貸し主
councillor 議員
merchant man 商人、商船
guild ギルド、組合
keen 鋭い、すばらしい、哀歌、泣き叫ぶ
bygone 過ぎ去った、過去の

 

The smell of paint, a flask of wine
And turn those faces all to me
The blunderbuss and halberd-shaft
And Dutch respectability

They make their entrance one by one
Defenders of that way of life
The redbrick home, the bourgeoisie
And guitar lessons for the wife

絵の具の匂い、ワイン入りの瓶
皆の顔が私に向けられる
ラッパ銃、ハルベルトの槍
オランダの偉人達

登場する一人一人が
その生活を護る者達
赤レンガの家、中産階級
妻に施すギターレッスン

 

flask フラスコ、携行瓶
blunderbuss ラッパ銃(17~18世紀ごろの筒先の太い短銃)
halberd ハルベルト、矛槍
shaft シャフト、柄、軸
respectability 信用、立派な地位、尊敬すべき人、お歴々
make one’s entrance 登場する、入る
defender 防衛する人、ディフェンダー、保護者
bourgeoisie ブルジョワジー、中産階級、資産家階級

※赤レンガの家やギターレッスンは、レンブラントと比較されることも多い同時期のオランダの画家 フェルメールの作品(「The Little Street」「The Guitar Player」)を意識したものとも考えられます。

 

So many years we suffered here
Our country racked with Spanish wars
Now comes a chance to find ourselves
Quiet reigns behind our doors
We think about posterity again

長い間、我々<オランダ人> は耐え忍んだ
スペインとの戦争で苦しめられた我が祖国
今こそ、自分<の自由> を取り戻す時なのだ
ドアの向こうに待ち受ける穏やかな治世
再び子孫に思いを巡らす

 

rack with 苦しめる
posterity 後世の人々、子孫

 

So the pride of little men
The burghers good and true
Still living through the painter’s hands
Request you all to understand

それは名もなき人々の誇り
善良で誠実な市民達は
画家の手により、今も生き続けている
あなた方皆に、どうかわかって欲しい

 

burgher 市民、ブルジョワ、豊かな市民

 

 

収録アルバム

アルバムジャケットを押すとアマゾンのページへ移動します。

Starless and Bible Black(1974年 邦題:暗黒の世界)

6枚目のスタジオアルバムで、スタジオ録音の曲とライヴで即興演奏された曲が混在しています。(ライヴ録音のものは拍手や歓声などの音は取り除かれていますが、注意深く聴くとわずかに拍手が聴こえるそうです)