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【ジャンル解説】ポストロック(Post-Rock)

2018-04-17音楽ジャンル辞典

音楽ジャンルを歴史と一緒にわかりやすくまとめました。

 

Post-Rock:ポストロックとは何か

 

 

始まり:1990年代前半アメリカ

  ポストロック(Post=後の)とは、既存のロックのフォーマットに縛られないロックミュージックを指す言葉である。
 1990年代に、主にアンダーグラウンドのアーティストが行った”ロックらしくない演奏”(即興演奏や環境音楽、交響曲や現代音楽、テクノミュージックのような演奏)や、オーケストラ楽器・エレクトロニクスを全面的に取り入れるなどの”ロックミュージックの再構築”から生まれたジャンルである。
 歌よりもインストゥメンタルが重視され、10分を越える長尺の曲も多い。

 2000年代以降のロックミュージックに大きな影響を与え、現在ではメジャーなロックバンドによるポストロック的アプローチ(変拍子や転調、エレクトロニクスの導入、パートに縛られない複数の楽器の演奏、ステージ上での機材操作など)は、珍しくなくなった。

 

 

詳細解説

 1994年、アメリカのロック評論家サイモン・レイノルズによって、ポストロックは次のように定義されている。「ロックの楽器をロックとは違う目的に使用し、ギターをリフやパワーコードのためでなく、音色や響きをつくるために使う」。

 

 ポストロックという言葉は、70年代頃から度々使用されていたという。しかし、この言葉が定着したのは、90年前半に、シカゴのインストゥルメンタルバンド トータスがアンダーグラウンドなシーンで支持を集めるようになってからになる。

 なお、トータスの中心人物ジョン・マッケンタイアはポストハードコアパンクのバンド バストロの元メンバーであり、ポストロックがポストハードコアを経由した音楽である事がわかる。

 

 ポストロックは音に比重を置いたロックだと思われがちだが、ハードコアパンク経由の政治的な姿勢を見せるバンドも少なくない。
 カナダのポストロックバンド ゴッド・スピード・ユー!ブラック・エンペラー(バンド名は日本の暴走族ドキュメント映画から)は、歌詞こそないものの、アートワークや活動を通して「軍国主義」や「大量消費」、「エンターテイメント産業の在り方」などへ激しい批判を表現し、21世紀のパンクロックとも呼ばれた。

 

 ポストロックの影響元としてはポストハードコア以外にも、ドイツの実験的な音楽”クラウトロック”や、70年代末に現れた実験的なサウンドの”ポストパンク”、そしてフリージャズやアンビエント、現代音楽、室内楽などが挙げられる。

 

 また、シカゴはポストロックの中心地となり”シカゴ音響派”と呼ばれるコミュニティも生まれた(楽器も電子音も等しく音のテクスチャーとして、”音の響きを構築する”為に使う、という作風だった)。

 

 2000年前後には、スコットランド グラスゴーのインストゥルメンタルギターバンド モグワイや、前述のカナダの大所帯インストバンド ゴッド・スピード・ユー!ブラック・エンペラーなどが人気を集め、ポストロックは一部で熱心なファンを生む音楽ジャンルとなる。

 

 2000年以降、当初斬新だったポストロックのアーティストも、何枚も作品を重ねるごとに前衛性は薄れ、現在ではポストロックという言葉もあまり聞かなくなった。
 しかし、それはポストロックを経由して”ロック”がより幅広い音楽要素を許容されるようになった、と解釈すべきといえる。

 

 

代表的なアーティスト

トータス(Tortoise 活動期間:1990-)
モグワイ(Mogwai 活動期間:1995-)
ガスター・デル・ソル(Gastr del Sol 活動期間:1991-98)
ジム・オルーク(Jim O’Rourke 1969-)
ゴッドスピード・ユー!ブラック・エンペラー(Godspeed You! Black Emperor 活動期間:1994-2003, 2010-)
シー・アンド・ケイク(The Sea and Cake 活動期間:1994-)
・アルバム・リーフ(The Album Leaf 活動期間:1998-)

 

 

動画(全部で7作品

 

 

 

 

 

 

 

 

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