<歌詞和訳>Woman Is The Nigger Of The World(女は世界の奴隷か!) – John Lennon 曲の解説と意味も
John Lennon – Woman Is The N**ger Of The World
ジョン・レノン – ウーマン・イズ・ザ・ニガー・オブ・ザ・ワールド(邦題:女は世界の奴隷か!)
ジョン・レノンとオノ・ヨーコの共作アルバム「Sometime in New York City」(1972年) に収録されている曲です。
アメリカや日本ではシングルとしてリリースされましたが、"nigger"という差別用語を含んでいることなどが問題となり、アメリカのラジオ局はオンエアを拒否、レコード会社もプロモーションに消極的だったため、商業的には失敗となりました(全米チャート57位はジョンの作品の中で最下位)。
一方で、女性の権利をテーマにしたプロテストソングとして、国や時代を超えた評価を得ています。
政治色が強い同アルバムの中でも、より直接的な女性解放やフェミニズムをテーマにした曲です。
歌詞の意味と解釈
タイトルを直訳すると「女は世界のニガーだ」となります。
ニガーとは、黒人に対する蔑称です(例外的に、黒人同士で仲間を呼ぶ時に使用されます。現在のアメリカでは"Nワード"と呼ばれ、ニューヨーク市では条例で使用が禁止されています)。
ジョンはインタビューで、この言葉を「"虐げられている人々を指す言葉“として使用した」と語っています。
なお、タイトルは、オノ・ヨーコが1969年にイギリスの雑誌ノヴァのインタビューで語ったフレーズ(表紙にも使われた)がもとになっています(この発言は、ヨーコがあまりにも男性優位だったロンドンの音楽シーンで感じたものだそうです)。
また、ジョンはこの曲のインスピレーションがアイルランドの革命家ジェームズ・コノリー(wikipediaへ)だと述べており、彼の発言「The worker is the slave of capitalist society, the female worker is the slave of that slave」(労働者は資本主義社会の奴隷であり、女性労働者はその奴隷の奴隷である)もまた、歌詞に影響を与えています。
A James Connolly Reader (English Edition)
ジョンはヨーコと出会ったことで女性の権利について真剣に考えるようになったと言われています(それ以前は当時の他の男性同様、男性優位の考え方だったそうです)。
ジョンは1975年に生まれた息子ショーンの育児に専念する為、1976年から5年間音楽活動を休止し、専業主夫となりました。
ちなみに、ヨーコは日本で『女性上位万歳』という曲をリリースしており、小規模ながらヒットしたそうです(小泉今日子もカバーしています)。
歌詞と和訳
Written by John Lennon & Yoko Ono
Woman is the nigger of the world
Yes she is, think about it
Woman is the nigger of the world
Think about it, do something about it
女は世界中で奴隷だ
その通りさ、考えてみなよ
女は世界中で奴隷扱い
考えみるんだ、どうすれば解決できるのか
We make her paint her face and dance
If she won’t be a slave, we say that she don’t love us
If she’s real, we say she’s trying to be a man
While putting her down, we pretend that she’s above us
男は女に化粧させ、ダンスさせる
女が従わなければ、男は愛が無いと責める
女が主張すれば、女を捨てていると言う
女を見下していながら、崇めるフリをする
Woman is the nigger of the world
Yes, she is
If you don’t believe me, take a look at the one you’re with
Woman is the slave of the slaves
Ah, yeah, better scream about it
女は世界中で奴隷だ
その通りさ
信じられないなら、一緒にいる相手を見てみな
女は奴隷の中の奴隷
そうだ、もっと声を上げるんだ
We make her bear and raise our children
And then we leave her flat for being a fat old mother hen
We tell her home is the only place she should be
Then we complain that she’s too unworldly to be our friend
男は女に子供を産ませ、育てさせる
そのくせ、太って老いぼれた口うるさい女だと言って、家に置いてけぼりにする
男は家庭だけが女の居場所だと言い聞かせる
そのくせ、女は世間知らずで話し相手にもならないと愚痴をこぼす
・bear a child 子供を産む("bear"には「耐える・我慢する」以外にも「産む」という意味があります)
・flat アパート、平らな、平べったい、単調な、退屈な
・hen めんどり、おせっかいな女
・unworldly 超俗の、世間知らずの、うぶな、天上界の
Oh, woman is the nigger of the world
Yes she is
If you don’t believe me, take a look at the one you’re with
Oh, woman is the slave to the slaves
Yeah, alright, hit it!
女は世界中で奴隷だ
その通りさ
信じられないなら、一緒にいる相手を見てみな
女は奴隷の中の奴隷
そうだ、気にするな、やってやれ!
We insult her every day on TV
And wonder why she has no guts or confidence
When she’s young, we kill her will to be free
While telling her not to be so smart, we put her down for being so dumb
男は毎日テレビで女を侮辱する
女にはなぜ自信も根性も無いのかと首をかしげる
女が若いうちに、男は女が自由であろうとする意志を潰す
女に賢過ぎるのはよくないと教えながら、女はバカだと見下す
・insult 侮辱する、バカにする、侮辱
・confidence 信頼、自信、度胸、厚かましさ
・dumb 口がきけない、バカな、のろま
Well, woman is the nigger of the world
Yes, she is
If you don’t believe me, take a look at the one you’re with
Woman is the slave to the slaves
Yes, she is
If you believe me, better scream about it
女は世界中で奴隷だ
その通りさ
信じられないなら、一緒にいる相手を見てみな
女は奴隷の中の奴隷
その通りさ
信じてくれるなら、もっと声を上げてくれ
We make her paint her face and dance (×6)
男は女に化粧させ、ダンスさせる
小野洋子「女性上位万歳」
収録アルバム
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Sometime in New York City(1972年)
ジョンとヨーコの共作した政治色の強い2枚組アルバム。2枚目はプラスティック・オノ・バンドのライヴ音源を編集したものとなっています。
Working Class Hero – The Definitive Lennon(決定盤ジョン・レノン~ワーキング・クラス・ヒーロー 2005年)
2枚組38曲収録のベストアルバムです。ややマイナーな曲も入っており、ジョンのソロキャリアを総括するには最適です。